2021.11.02

チーム力・競技力の強化、地域との交流促進へ
生まれ変わるサッカー部、フロント制を採用
今秋、日野市のスポーツ促進事業「青空たいそう」に協力

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サッカー部「事業本部」に所属する横山祐一郎さん(右から2人目)

中央大学サッカー部が地域貢献活動の一環として、東京都日野市の運動促進事業「ちょっとお散歩&青空たいそう~withコロナも元気に過ごす♪~」(以下、青空たいそう)に協力することになりました。

 

組織改革を行い、2021年4月からの今シーズンに挑んでいるサッカー部が、活動の幅を広げて、目に見える形でその存在意義や価値を高めていこうとしています。その狙いや経緯、成果などをサッカー部の横山祐一郎さん(経済3)に3回に分けて綴ってもらいます。

新型コロナウイルスの感染拡大で、地域コミュニティーの結びつきが弱まっているシニア世代や児童たちに向けて、安心・安全に運動する機会を提供するというのが、青空たいそうの狙いです。私たちがこの事業への協力に至ったのは、単なる偶然ではありませんでした。その経緯を知ってもらうため、まずサッカー部の組織改革について説明したいと思います。

青空たいそうに参加した児童たちと中央大学サッカー部員。まずは一緒になって入念に準備運動

学生がプレーし、学生が支える

 

昨今の大半のプロクラブには「フロント」と呼ばれ、試合の運営やスポンサー獲得、広報などクラブのさまざまな活動を担う組織体制があります。つまり、プレーヤーがいて、それを支えるフロントスタッフがいる。しかし、ほとんどの大学サッカー部では現在、この体制は敷かれていません。

 

中大サッカー部は2009年以降、獲得タイトルがなく、2020年には関東大学リーグ2部への降格が決まってしまいました。部として“生まれ変わる”必要性を痛感し、その一環で今季から大学サッカー版フロントを設立しました。新たに設けた「事業本部」は営業部、広報部、企画部、運営部の4部で構成し、計25人が所属。私は営業部に所属しています。いわば「学生がプレーし、学生がそれを支える」という体制です。

 

サッカー部としてさまざまな活動を行うことで、競技力だけでなく、人間力の向上も目的です。営業であればビジネスマナー、広報なら適切な言葉遣いなどを知り、大学という教育の場にいながら、広く社会について学ぶ機会を得られます。プレーヤーでない部員は従来、マネジャーと広報だけでしたが、事業本部の学生も部員として認め、サッカーという競技の枠を超えて活動の場を広げていきます。

部の活動や組織改革、地域貢献への思いを伝える

 

この事業本部に所属する部員の頑張りが、青空たいそうへの協力を引き寄せました。営業部がスポンサー活動の一環として、近隣の自治体、法人にあいさつのメールを300件ほど送付した中で、日野市の事業を担当する公益財団法人社会教育協会日野社会教育センターの担当の方に、サッカー部の組織改革や活動、地域貢献への思いについて説明する機会を得ました。そこで、共感していただけたからこそ、青空たいそうへの協力が実現しました。

 

協力できるという連絡を受け取ったときは、皆でガッツポーズをして喜びました。応援してくれる人を増やすことは、私たちのモチベーションや、応援されていることに対する責任感の向上につながります。そのためには、地域の皆さんに中大サッカー部の存在を認知してもらい、交流することが不可欠だと考えていた私たちにとって、青空たいそうは願ってもない機会でした。

 

青空たいそうはサッカー部を応援していただけるきっかけになり得ます。しかし、月並みの活動で終わらせないため、この機会を存分に生かしていきたい。このため、青空たいそうの趣旨にのっとり、「サッカーを通して運動することの楽しさを感じてもらう」「応援してくれる人、つまりファンを増やす」という、この2つを目的として明確にしました。

 

参加した児童たちとサッカー部員が1つのボールを追いかけた

「運動の楽しさを感じてもらう」「応援してくれるファンを増やす」

 

ファンになってもらうためには、サッカー部の活動を認知してもらう必要があります。「中大サッカー部の名前は知っているけど、実際にどんな活動をしていて、どんな選手がいるかがわからない」。こうした現状を変えるため、まずはサッカー部のSNSをフォローしてもらうことが私たちの目指すゴールです。

 

ゴールを決める道筋を描きました。キックオフは近隣の小学校にチラシを配ること。今回の参加対象は小学3~6年生にしています。土曜日開催の青空たいそうに大勢の保護者同伴での参加を期待できると考えています。

 

次に、青空たいそうの予行演習を兼ねて、日野市立みなみだいら児童館で児童たちと触れ合いました。ゴール前のラストパスは、青空たいそうを楽しんでもらう活動内容を用意すること。最後のシュートは活動後、花き(参加記念品)とともにサッカー部ホームページのQRコードやSNSの詳細が書かれたチラシを渡すことです。

 

この道筋がサッカーのゴールのように決まるとは限りません。しかし、失敗することも含めて事業本部の活動です。一つひとつ思いを込めて地域の方々と交流し、サッカー部としての価値を高めていきたい。サッカー部のこれからの活動に、ぜひ期待してください。

「サッカー部として地域に幅広く貢献を」 佐藤健サッカー部監督

 

「長い間、私たちは、サッカーの技術向上だけに力を注いでいました。大学生として、またサッカー部員として、選手たちが部活だけでなく4年間で何を経験すべきかを1つのテーマとして、今経験できることを行動に移すことにしました。それが、今回の日野市委託の青空たいそうです。この活動とは別に、すでにNPOを設立し中大のグラウンドで、中学生にサッカーを指導しています。多摩キャンパスに移転して43年、地域への貢献を中大の一員としてこれからも進めていきます」

☆ちょっとお散歩&青空たいそう~with コロナも元気に過ごす♪~

 

コロナ禍における適度な外出機会の創出と健康づくりを目的として、日野市が、市内の事業者や大学と連携して行っている事業。中央大学サッカー部は、サッカーボールを使った運動を「青空サッカー教室」として、10~12月の土曜日に計10回、市立平山中学校前の河川敷で行う。対象は小学3~6年生で、10月に開催された最初の4回はそれぞれ10~15人が参加した。サッカー部員は毎回、4~5人が指導に当たる。

中央大学サッカー部

 

1927(昭和2)年、中央大学蹴球同好会として創設された。塩﨑悠司主将(経済4)。現在、関東大学サッカーリーグ2部に所属し、選手とスタッフ、関係者が一丸となって関東リーグの1部昇格と、全国大会のタイトル獲得を目指している。主なOBに元日本代表の中村憲剛さん、シュミット・ダニエル選手(シント=トロイデンVV〈ベルギー〉)、古橋享梧選手(セルティックFC=スコットランド)ら。

                        (次回の連載「生まれ変わるサッカー部」は、11月下旬ごろに掲載予定です)

 

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