2020.12.17
文/陸上競技部長距離ブロック(駅伝)マネジャー 三浦里織(りおん)=経済4
予選会で力走する森凪也選手(ゼッケン24番)、吉居大和選手(28番)
=10月17日、陸上自衛隊立川駐屯地
新春の第97回箱根駅伝に出場する中大陸上競技部長距離ブロック(駅伝)チーム。創部100年目の今年、予選会(10月17日)を2位で突破した選手たちは、間近に迫った本番への調整や、体調管理に余念がありません。コロナ禍の入場制限のため、予選会場で選手の走りを見届けた、ただ一人の駅伝マネジャー、三浦里織さん(経済4)に箱根路への期待や、今の心境を綴ってもらいました。
三浦里織マネジャー
初めて安心して見ていられた10月の予選会でした。理由は3つあります。まず、出場した12人全員が最高の走りをしてくれたこと。次に暑すぎず、良好な気象条件だったこと。そして、今年は駐屯地内を約8周するコース設定だったので、約9分に1回、選手の走りや表情、様子を見て、調子の善しあしなどを確認できたことです。ハーフマラソンで、こんなに何回も選手を見られる機会はめったにありません。幸運だなとも思いました。
結果発表も印象に残っています。例年、予選会で最も緊張する瞬間のひとつで、選手の喜怒哀楽がテレビ中継される場面は皆さんもご存じだと思います。それが今回は、ほとんどの選手が体を落ち着かせる「クールダウン」に行っていたので、私たちスタッフ陣と選手2人だけで発表を待っていました。2位と分かった瞬間も、選手2人がハイタッチする光景がテレビ中継され、1位の順天堂大さんとの“温度差” (順大さんは大勢の選手が喜ぶ様子が中継されました)に思わず笑ってしまいました。
ただ、これはこれで良かったなとも思います。このときのチームの雰囲気は「予選会はあくまで通過点」であり、喜ぶ段階ではないという空気を感じました。レースを終えた選手との会話でも、みんなが冷静にレースを振り返っており、決して浮かれず、本戦に挑もうとしている様子から、「まだまだ中大はこんなもんじゃないな」と頼もしく感じました。
コロナ禍の今年はたくさんの大会が中止になったり、合宿や練習が思うようにできない時期があったりと、非常に苦しみました。とくに全日本大学駅伝(11月)の予選会が中止になり、前年の10000メートルのタイムで出場校(注・関東学連推薦校7校、中大は次点の8位)が決まったことは、一番悔しい出来事でした。
全日本大学駅伝に関しては完全燃焼できずに卒業することになってしまい、「最終学年でこんなことに…」と毎日のように思い返します。だからこそ箱根では自分たちが納得のいく結果を出したいと強く思うようになりました。全日本大学駅伝に出られなかった分も、箱根で暴れたい。選手もそう思っているはずです。中大の存在感を示したいですね。
駅伝の女子マネジャーはいま8人います。主な仕事は、練習、駅伝や記録会における選手のタイム計測、給水、他大学のタイムのデータ集計、SNSによる広報活動などです。今やっていることが、チームや選手にとって本当に最適か、より良い方法はないかと、常にブラッシュアップすることを心掛けています。
今年はとくに、チームのインスタグラム(2018年3月開設)の充実に努めました。写真だけでなく、走っている姿やインタビューの動画を盛り込むなど、選手をより身近に感じてもらうため、コンテンツに工夫を凝らしました。フォロワー数は新チームになってから5000人増えて、7000人に達しています。
私は「考えるよりもまずはやってみる」というタイプ。浮かんだアイデアは、すぐに同期の「おだりさ」(織田理紗子マネジャー=商4=の愛称)に声をかけ、意見を聞き、中身を磨いてから実行に移しています。
チームとして好成績が出たり、選手が自己ベストを更新したりしたときが一番、やりがいを感じる瞬間です。このようなハイレベルの環境(チーム)にいられることを光栄に思います。本番まで残りわずかという今、真摯に走ることに向き合う選手たち。素晴らしい“景色”を間近で見られていることに、チームの皆に感謝の気持ちでいっぱいです。
伝統の「C」復活へ。箱根での上位進出に期待が膨らむ
高校時代の私は、進学してもやりたいと思うことが見つかっていませんでした。大学でマネジャーになったのは、陸上や駅伝が大好きな母に勧められたのがきっかけです。母は自宅の福島から箱根に日帰りで観戦に行くほどの筋金入りの箱根ファンです。受験する大学を決めるときも、「箱根駅伝の常連校」が母と私の一番の条件でした。
後輩たちには「個」を大事にしてほしい。人によって長所短所があり、性格もさまざまです。短所を改善する努力は必要ですが、人によって向き不向きがあると思います。ですから短所ばかりに目を向けるのではなく、長所を伸ばし、短所は仲間で補い合い、高め合いながら、一人ひとりが完璧を目指すのではなく、みんなで1つの完璧な組織、チームを作るというのが理想かなと思っています。
長距離ブロック(駅伝)の女子マネジャーに、同じ学年の選手の特長、性格などをひとことで表現してもらいました。(学年後ろはマネジャー名)
4年生(織田理紗子、三浦里織)
〇池田勘汰選手(主将)「みんなを笑わせる天才ですが、人見知りで繊細なところもある」
〇畝(うね)拓夢選手「多趣味で行動力があり、個性の強い4年生のまとめ役」
〇大森太楽(たいら)選手「天然いじられキャラ。一喜一憂しやすいタイプだが、1つのことを長く続けられる」
〇加井虎造選手「歌がうまくて、1人で長距離運転するくらい車が好き」
〇川崎新太郎選手「落ち着いているため淡白なように見えて、よくしゃべるし、優しさも持ち合わせている」
〇三須健乃介選手「おっちょこちょいなところはあるが、人をよく観察し、見抜く力を持っている。ファッションセンス抜群」
〇矢野郁人(ふみと)選手「安定した走りが持ち味で、関西人らしいワードセンスを持っている」
3年生(萩野結月)
〇三浦拓朗選手「積極的な走りが持ち味の笑顔がかわいいムードメーカー」
〇森凪也選手「負けず嫌いで芯のある性格が、人の心を打つ力強い走りを体現する」
〇手島駿選手「荒波を乗り越え、着実に力をつけてきたイケメンランナー」
2年生(出納=すいどう=佳、炭山遥香)
〇若林陽大(はると)選手「物静かそうに見えるが、誰よりも練習熱心で負けず嫌い」
〇中澤雄大選手「いつも元気で明るい笑顔だけど、その裏には日々の努力がある。ストイックな哲学ランナー」
〇千守倫央(ともひろ)選手
「お調子者だけど、やるときはしっかり決めてくれる肝の座った次世代エース」
1年生(怡土=いと=涼香、小林菜緒)
〇園木大斗選手「静かそうな印象があるが、礼儀正しく、優しさも持っている」
〇湯浅仁選手「コミュニケーション能力が高く、ムードメーカーでもあり、リーダーシップも持っている」
〇吉居大和選手「控えめでかわいらしいイメージだが、学年一おちゃめ。甘え上手」