2025.03.31
サッカー部の7選手が今春、JリーグとJFLのチームに入団する。部員1人もアナリスト(試合データなどの分析担当者)としてJ3の栃木SCに入社が決まり、8人は多摩キャンパスで2024年12月11日に記者会見し、新天地での抱負や決意、中央大学の4年間で学び、糧としたことなどを語った。
新たなステージで活躍が期待される8人の会見での言葉を紹介します。
(学部・学年の後ろは身長/体重)
会見に臨んだ選手たち。(左から)大野篤生、小川嵩翔、星野創輝、湯谷杏吏の各選手、アナリストの飯田佳亮さん、牧野虎太郎、加納大、家坂葉光の各選手
=2024年12月11日、多摩キャンパス「FOREST GATEWAY CHUO」ホール
★家坂葉光(ようこう)選手(文4) 170 / 70
内定先:ファジアーノ岡山 ポジション:MF
目標は東京ヴェルディ時代の先輩、藤田譲瑠チマ選手。腐らず諦めずにプレーする姿を見てきた。プロの世界は夢見ていた世界なので、内定したときはうれしいし、ホッとしたというのが正直な気持ち。今はプロの舞台でどれだけやれるかが楽しみで、やらないとという強い気持ちを持っている。
中央大学では3年次のシステム変更でウイングバックをやらせてもらい、一気に成長できた。それが今のアピールポイントである上下運動と推進力にもつながっているので、そこを見てもらいたい。今後の目標として一番大きいのはA代表。まずは、ファジアーノ岡山というJ1の舞台で自分の特長を出して活躍したい。それがA代表にもつながると思っている。
★大野篤生(あつき)選手(経済4) 179 /80
内定先:沖縄SV ポジション:DF
ピッチ外でのキャラクターが強み。愛される選手になりたい。沖縄SVのSNSに出るので見てほしい! 大学4年間で、自分に負荷をかけすぎて、「サッカーが楽しくない」「早く辞めたい」と思うこともあったが、自分でコントロールできるところとできないところを割り切るという、そのあんばいを学んだ。
目指していた舞台ではないため悔しさはあるが、ここ(会見場)にいるJリーグチームに入るメンバーに早く追いつきたい。高校の同期で現在はJリーグチームのプロ、櫻井
辰徳選手からは、プロになる選手の振る舞いというものを感じてきた。希望や夢を忘れない姿など、自分にない部分は目標としたいが、負けたくもない。いずれは一緒の舞台で、一緒のチームでプレーしたい。目標は、沖縄SVとともにカテゴリーを上げていくこと。現役生活にはリミットを設けて、まずはSVにささげ、死ぬ気でやっていく。
★小川嵩翔(しゅうと)選手(商4) 167 / 66
内定先:沖縄SV ポジション:MF
目標は(OBの)中村憲剛さん。技術はもちろん、チームをまとめていく方法やメンタルなど人間性の部分も見習いたい。これからもサッカーを本気でできる環境を与えてもらい、感謝している。ここまで応援し支えてくれた家族にも感謝し、あとは自分がやるだけ、自分を出して、はい上がりたい。
強みは運動量とキックです。ピッチのどこにでもいる選手になっていきたい。一番の目標はJリーグの舞台でプレーすることであり、まずは試合に出て勝利に貢献し、目指す舞台へと参入したい。中央大学での4年間、プレー面では、ボランチとして守備の意識を高めることができた。ピッチにいる選手で状況を変えていくということを学び、それは今後も強みとしてプレーに生かしていきたい。
★加納大(はる)選手(商4) 173 /73
内定先:A C長野パルセイロ ポジション:FW
大学4年間で学んだ「うまくいかないときに逃げずに自分と向き合い、自分の闘志を燃やし続けることの大切さ」を今後も生かしたい。今はプロの舞台で戦えることがうれしく、家族やチームメイトに感謝の気持ちでいっぱいです。AC長野パルセイロの練習に参加したとき、選手間の雰囲気が良く、コミュニケーションが取れていて、仲が良いのを感じた。自分自身も受け入れてもらい、すごくやりやすかった印象でした。今後はチームのためにできることをすべてやり、全身全霊、身を粉にしてささげる。その覚悟でいる。
目標とする選手は、(元日本代表の)興梠慎三・元選手です。身長がなくても前線でゴールを量産する技術やプレーに学ぶべきことが多い。特長であるゴールへの姿勢と両足からのシュートを最大限に生かし、自分もゴール、アシストで勝利に貢献したい。まずは一試合でも多くスタメンとして出場したい。そしてチームの昇格に貢献したい。
チームのマスコットやチュー王子を手にする選手たち
★星野創輝(そうき)選手(商4) 184 /84
内定先:栃木SC ポジション:FW
自分の夢をかなえられ、サッカーをする姿を見せ続けられることがうれしいです。今までお世話になってきたすべての人たちに感謝しています。この4年間で、責任を背負った中での試合でもマイペースな気持ちでプレーすることを学びました。
入団後は、攻撃の起点になってチームを勝たせることができる存在になりたい。見ている人が鳥肌が立つようなプレーができる存在感のある選手になりたいです。目標は、チームがJ3で優勝し、J2に昇格することです。
★牧野虎太郎選手(経済4) 185/80
内定先:AC長野パルセイロ ポジション:GK
歴史のあるチームでプレーできることに感謝しています。内定してたくさんの祝福をいただき、自分が愛されているという自覚と強い責任を感じました。この4年間で、試合に関われないときの立ち居振る舞いやチームに与える影響を学びました。
(AC長野パルセイロの)練習に参加した際は、一人ひとりの高い志と多くの勝利を目指して練習する部分に共感し、このチームに入りたいと感じました。自分の強みのキックを生かして活躍し、勝利のために多方面から貢献できる選手になりたいです。目標は、試合出場と、J3優勝、J2昇格です。チームのために自分ができることをしていきたい。
★湯谷杏吏(あずり)選手(経済4) 180 /75
内定先:ベガルタ仙台 ポジション:MF
今まで関わってきた人たちに感謝しています。内定が決まったときは、とてもうれしかった。プロの世界で戦う厳しさへの覚悟を持つとともに、自分がどれだけプロの世界で通用するのか、楽しみな気持ちがあります。観戦している人を圧倒し、チームを勝たせることができる選手になりたいです。
目標は、多くの試合に出場してチームに貢献し、2025年、J1に昇格することです。特に守備に対する意識を今まで以上に強く持ってプレーしていきたいと思っています。
★飯田佳亮(けいすけ)さん(商4)
内定先:栃木SC 担当:アナリスト
プロの舞台でチームの一員として戦えることを誇りに思います。大学からアナリストに挑戦し、この挑戦を支えてくれた人たちに対する感謝の気持ちを常に持って、これから先も挑んできたいと思っています。この4年間で、準備する力と、それを続ける力を伸ばすことができました。選手を100%サポートするために、120%の準備ができるアナリストになりたいです。
目標はJ2復帰のサポートをしていくことです。トレンドや最新技術を学び続け、活用していきたいと思います。
選手たちの前向きな意気込みが強く感じられる会見だった。まず、選手たちは今まで関わってきた人々に感謝し、これからもサッカーを続けられることを喜んでいた。プロの世界でプレーすることを楽しみにしていて、個々の言葉からあふれる“やる気”が印象的だった。
加納樹里部長や宮沢正史監督は、「日々の積み重ねが大事」「どんなときも応援したくなる選手になってほしい」と選手に語りかけ、一生懸命、物事に取り組むことの大切さを強調した。特に、加納部長が言われた「サッカーの神様は見ている」という言葉が印象に残る。長年、選手たちを見続けてきた加納部長は、「どんなときも応援したくなる選手」「全力で挑み続ける選手」にはチャンスが巡ってくると話した。門出を迎えた選手たちは、この言葉を忘れず、全力のプレーを見せ続けてほしい。
多くの選手がチームのリーグ昇格を目標に挙げていた。その目標のため、多くの試合に出場し、チームに貢献したいという熱い思いが伝わってきた。自身が試合に出場していないときも、自分がチームに与える影響を考えて行動していきたいという牧野虎太郎選手の言葉も印象に残った。
選手たちの言葉から、中大での4年間で、技術面も精神面も大きく成長したことがわかった。その成長が自信にもつながっているのだろう。これからの活躍を楽しみにするとともに、新たなステージでも活躍し、ファンに愛される選手になってほしいと願っている。
会見が始まった瞬間、感じたのはそこにある緊張感と強い思いだった。選手たちは質問に答えるたびに笑顔が増え、真剣な表情で目標を語り、柔らかい表情で今感じているうれしさや感謝の気持ちを述べていた。私は彼らと同じ大学4年生である。進路に対する不安、決定したときの安堵、そしてこれから進んでいく未来への希望――。歩んでいく道は違えども私自身も感じてきた。
だからこそ、選手たちが口にする今後の目標、自分が選んだ道をまっすぐ見つめる姿勢に強く胸を打たれた。特に印象的だった言葉は、加納大選手の「全身全霊、身を粉にして(チームに)ささげる。その覚悟でいる」という言葉だ。これほど強い言葉ではっきり宣言できるということは、相当な努力をし、強い思いがあるはずである。
この言葉に「私も負けていられないな」と、社会人として自分はどうありたいかを考えるようになった。また、大野篤生選手の「サッカーが楽しくない、早く辞めたいと思うこともあった」との発言も印象的であり、大好きだったこと、やりたかったことが嫌になったとき、そこで踏ん張る力とその原因を考えようとする姿に感銘を受けるとともに、自分との向き合い方に共感した。
壁にぶつかったときに逃げずに向き合い、自分を客観視して解決への道を考えられる人。そういう人こそが成功するのではないか、と思った。
実は私自身も、小学生の頃から高校卒業までサッカーをしていた。周りには、努力してプロ選手になり夢をかなえた人、かなえられずに苦しんだ人がいた。サッカーの次のステージへと羽ばたく選手、アナリストの皆さんの姿を目にし、ぜひ自分の強みを生かして活躍してほしいと強く思った。
同じ中大卒業生として誇りを持って、私も負けないように自分の夢を追いたい。会見後の写真撮影で見せた彼らの和気あいあいとした表情や無邪気な笑顔は、今後、ピッチで見せてくれる顔とは違うのかもしれない。彼らはどんな表情でどんなプレーをするのか。その姿を見られる日が待ち遠しい。
記者会見では、新天地での抱負や決意を一人ひとりが表明した