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2026.03.30

「4年間楽しかったぞ」 主将への声かけに胸熱く…
先頭で走る姿「ぐしゃぐしゃに泣けてきた」
運営管理車に同乗 マネジャーが見た、感じた箱根駅伝

学生記者 倉塚凜々子(国際経営4)

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陸上競技部長距離ブロック(駅伝)チームが一年間の集大成となる第102回箱根駅伝(2026年1月2、3日)で総合5位(往路3位、復路6位)となり、翌年出場のシード権を獲得した。藤原正和監督とともに運営管理車に同乗し、選手を奮い立たせる指揮官の声を間近で聞き、仲間の背中を見続けた4年生のマネジャー2人に話を聞いた。

1月2日の往路は米山結夏さん、3日の復路は東玲実さんが、助手席の藤原正和監督と対角の運営管理車の後部席に座った。担当した仕事は、監督が選手に声かけをする基礎データとなる5キロごとの走破タイムの計測や、中継所の選手に付き添う部員と連絡を取り、最後の指示を出す監督との仲介役、各区間の沿道に配置されたマネジャーが寄せた気温、風向きなどリアルタイムの情報の監督への伝達など。米山さんと東さん、2人の記憶、思いを紹介する。

チームに勢いを与える走り 一秒でも長くテレビに!
往路1~5区 米山結夏さん

 

区間新記録の快走を見せた藤田大智選手(3年)の姿を、運営管理車から見ることができたのは1区のラスト約1キロ。出走前日も行動をともにしていたが、「気持ちにスイッチが入り、走ることへの覚悟を感じた」と振り返る。チームに勢いを与える走りに胸を打たれた。

 

「この一年間、ものすごくチームのことを考えてくれていた」と感謝の思いを込めて、2区の溜池一太選手(4年)の背中を見つめた。チームが不安に陥らないようにと、常に気にかけていた溜池選手の姿勢が胸に残る。だからこそ、「先頭に立って走る姿に、ぐしゃぐしゃに泣けてきた」。

 

出走前、「苦しい走りになるが、前回の自分を超える走りをする」と口にしていた3区の本間颯選手(3年)。米山さんは「心配はなかった。やってくれるという安心感があった」と信頼していた。藤原監督は序盤で「駒澤との差が詰まってきているが、本間自身の走りをしよう」とマイクで声かけ。安定した走りが2年連続の3区区間賞につながった。

 

練習でタイムを計測しているとき、「私も頑張ろうと思わせる走り」を体現しているのが4区の岡田開成選手(2年)。「いい走りをしている。一秒でも長くテレビに映っていてほしい。それがチームの力になる」と祈った。

 

5区を託された柴田大地選手(3年)の表情に、「想像以上に山上りはきつかったと思った」。藤原監督の声かけは「総合優勝を目指す走りをしよう」。終盤の下りで踏ん張り、盛り返した姿に、「柴田らしい走りだな」と手に力が入った。

2区の溜池一太選手(左)。仲間の給水に力をもらった ⒸGetsuriku

これまでの悔しさをぶつけるんだ 4年間で「本当に成長したな」
復路6~10区 東玲実さん

 

6区の並川颯太選手(2年)に伴走したのは小田急の箱根湯本駅を過ぎた地点から。前回出走できなかった悔しさをバネに、その走りから「良い緊張感と集中力」を感じ取れた。下りが得意で、「安心して見ていられた」。

 

積極的な走りに頼もしさを覚えたのが7区の七枝(ななつえ)直選手(2年)。走りがきつくなってくると上半身の揺れが大きくなるが、そんな様子は見えない。思ったような成績を残せなかった2年間。監督の「これまでの悔しさをぶつけるんだ」の熱い声かけに応えた走りを見せてくれた。

 

8区の佐藤大介選手(2年)は安定感と勝負強さが特長。前回の8区では低体温の影響から思った成績を残せなかったものの、「やってくれる」と今回も期待は大きかった。「立派な走り」で区間4位の結果を残した。

 

9区は駅伝主将の吉居駿恭(しゅんすけ)選手(4年)。「いつも通り笑顔で走ってくれていたら」と背中を見つめた。その走りから主将らしい責任感が伝わってきた。監督の声かけが今も胸に残る。「駿恭はまだまだこんなもんじゃないだろ。4年間、駿恭とやってきて、おれは楽しかったぞ」

 

吉居駅伝主将から副主将の10区・吉中祐太選手(4年)への襷(たすき)リレーに喜びを覚えた。吉中選手の4年間の成長度は学年で一、二を争う。身体も心も「本当に成長したな」と感じたという。

力を振り絞る9区の吉居駿恭駅伝主将 ⒸGetsuriku

アンカーを託された吉中祐太選手 ⒸGetsuriku

全力で向き合って得た充実感
駅伝マネジャー 米山結夏さん(商4)

中学・高校時代、長距離の陸上選手だった。高校1年のとき駅伝のメンバー入りがかなわず、落ち込んでいた自分に「頑張っていたのを知っている。私も悔しい」と励ましてくれたのが同学年のマネジャーだった。

 

「努力は無駄ではなかった。見てくれていた人がいた」。その後も「マネジャーのために」と走り続け、高2でメンバー入り。支えてくれる人の大切さを知り、大学ではマネジャーを志す。自分のために頑張って走ることには限界があると感じていたが、それでも「全力で打ち込む経験をしたい」と、中大入学式の日に決心したという。

 

運営管理車に乗って初めて気づいたことがある。どこの沿道でも中大への声援が「想像以上にすごかった」ことだ。ただ、旗を振るだけではなく、本気で「中大頑張れ」と声をからす人が大勢いた。沿道に立つ同期や後輩のマネジャーたちの真剣な表情からは、「こんなにいい顔をしているんだ」と、“熱”が伝わってきた。

 

4年間、仲間と優勝を目指して取り組んできた経験が、成長する糧になった。卒業の時を迎えた今、全力で向き合ったからこそ得られた充実感を胸に抱いている。

山形の蔵王合宿時、4年生で記念撮影。(左から)マネジャーの今村美唯菜さんと米山結夏さん、佐藤宏亮選手、伊東夢翔選手、吉中祐太選手、
折居幸成選手、マネジャーの東玲実さん(東さん提供)

かけがえのない経験、「自分との信頼」築く
駅伝マネジャー 東玲実さん(法4)

「大学生活でも後悔しない選択をしたい」「充実感は何かを達成したからこそ得られる」「自分のためだと限界はあるが、誰かのためなら限界はない」。マネジャーを志した入学時の思いを、そうした言葉で表した。東さんも中学、高校と陸上部に所属し、長距離が専門だった。

 

駅伝チームでは、SNSでの情報発信などを担当。選手のレベルが上がり、マネジャーの仕事への期待値も上がっていると感じていた。選手の頑張りでより高みへ、シビアなチームへと成長する過程を4年間、もっとも近くで見てきた。

 

「選手はやはり結果が全てと思っているかもしれない。でも使命感や責任感だけで走るのではなく、陸上を楽しむ気持ちも忘れないでほしい」。部活動を終えた今、そんな思いが胸に去来している。

 

4年間の部活動はかけがえのない大切な経験となった。“一生もの”の仲間と出会えた。いざというときに、誰かの背中を支えられる自分を見つけられたという。「部活動をやり切った自信。その自信から自分自身との信頼関係を築くことができました」と笑顔で話してくれた。

 

☆ 第102回箱根駅伝(2026年1月2、3日)

 中央大学 区間記録

 

          選手名   学部学年  記録(時・分・秒)

1区  藤田 大智  文3  1・00・37 ② =区間新

2区  溜池 一太  文4  1・06・06 ⑥

3区  本間  颯   経済3   1・00・08 ①=区間賞

4区  岡田 開成  法2     1・00・37 ②

5区  柴田 大地  文3     1・12・16 ⑪

          往路3位=5時間19分44秒

 

6区  並川 颯太  法2    57・36 ④

7区  七枝  直  法2  1・03・17 ⑦

8区  佐藤 大介  文2  1・04・34 ④

9区  吉居 駿恭  法4  1・08・47 ⑧

10区  吉中 祐太  文4  1・10・33 ⑮

          復路6位=5時間24分47秒

          総合5位=10時間44分31秒

 

※丸数字は区間順位

4年間、マネジャーを務めた東玲実さん(左)と米山結夏さん

【取材後記】
「マネジャーも主役なんだ」 自問自答と試行錯誤の4年間
学生記者 倉塚凜々子(国際経営4)

学生生活というのは学生それぞれが主役なのだ—。改めてそんなことを感じる取材だった。これまでの私のスポーツ取材では、競技者本人である選手を中心に話を聞いており、マネジャーへの取材は初めてだった。

 

正直に言えば、体育会系の部活動において、マネジャーは主役である選手を支える、さまざまな業務を担う存在という先入観がどこかにあった。部活動のような組織的なスポーツから長らく距離を置いていた私の頭には、そうした固定観念が出来上がっていたように思う。

 

しかし今回、長距離ブロック(駅伝)マネジャーの米山結夏さん、東玲実さんの2人に話を聞き、私の認識は大きく覆された。取材を終えた今では、マネジャーという役割も、ある意味で一つの競技のような存在ではないかと思っている。

 

なぜマネジャーを志し、どのような思いで日々の業務に向き合ってきたのか。過去には自身も競技者だった2人の言葉をたどると、過去から現在まで、自問自答と試行錯誤を繰り返してきたことが感じられた。その道のり、過程は、一歩一歩強くなろうとする選手たちの歩みと何ら変わらないように思えた。

 

マネジャーとして選手たちにどのような声かけをすべきか。マネジャーは勝利のために何ができるのかを常に考え続ける。タイムの計測ひとつを取っても、選手それぞれに異なり、一人として同じ方法は用いないのだという。

 

「もう一度、学生生活を送るならマネジャーになりたいですか」と尋ねると、簡単に首を縦に振らなかった様子から、相当の苦労があっただろうことも伺えた。それでも、2人の表情から4年間の日々が濃密で充実した時間だったことも伝わってきた。そんなふうに私が感じたのは、2人が真摯に自らの仕事と向き合い、あるべき姿を模索し続けてきたからこそなのだろう。

 

表舞台で輝く選手に比べ、マネジャーの存在は見えにくい。それはマネジャーにとって本望なのかもしれない。しかし、熱くひたむきに自らの役割に打ち込んできた2人の姿は、私には選手と同じようにまぶしく見えた。

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