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2026.03.30

シルエットも所作も大きく魅せる!
学生日本一 華麗な舞いで「夏冬」制覇
競技ダンス研究会の山崎奏汰選手(法4)、今西彩選手(東京家政大)ペア

学生記者 渡邊歩(総合政策2)

  • アスリート
  • ゼミ・サークル

競技ダンス研究会の山崎奏汰選手(法4)と今西彩選手(東京家政大4年=同会提携校)のペアが、2025年12月の全日本学生競技ダンス選手権大会・チャチャチャの部で優勝を飾った。2人は同年7月の全日本学生選抜競技ダンス選手権大会・ラテン総合の部でも頂点に立っている。それぞれ「冬全」「夏全」と呼ばれる全日本学生大会での優勝は、競技ダンス研究会の創部史上初の快挙となった。(競技写真はすべて「東部日本学生競技ダンス連盟」提供)

全日本学生競技ダンス選手権大会・チャチャチャの部で優勝した山崎奏汰選手、今西彩選手のペア
=2025年12月7日、埼玉県草加市の獨協大学

創部史上初の快挙

12月の冬全で優勝したチャチャチャの部は注目度のもっとも高い花形種目。男女が離れて踊る5つのラテン種目の中でも、明るいリズミカルな曲調の音楽に合わせて踊る、楽しく華やかなダンスだ。予選は1分半ほどの演技で、同時に演技する複数のペアの審査を10人ほどの審査員が担当した。決勝はさらに、単独の演技を審査する時間(約45秒)も設けられた。

 

山崎選手は「予選は1組あたり15秒ほどしか、審査の目を向けてもらえない。フロア上で目立てるような工夫も必要で、背後から見たシルエットの美しさや姿勢の良さ、体格の立派さと動きのキレのバランスが大事になる」と演技のポイントを説明してくれた。このため後背筋や太もも、しりの筋肉を鍛えることも大切だという。

 

7月の夏全はラテン5種目の総合順位で競い、「正真正銘の王者が決まる」(山崎選手)というラテン総合の部で栄冠を勝ち取った。山崎選手は「寝る時間も削って練習に打ち込むこともあり、続けてきてよかったと安堵の気持ちが湧いた」と笑顔をみせた。

2人で創り上げた演技
今西彩選手に尊敬と感謝の念

 

所作もシルエットも大きく魅せる。「日本人のダンサーに見えない」と言われる躍動感のある演技が山崎選手の特長だ。国内外の競技ダンスに知見の深いプロのコーチに2~1週に1度は指導を受け、外国人選手のダンスを参考にしながら自身のスタイルを磨き上げた。コーチの「パートナーとの間に誰も入れないような空気感を作る」という言葉も常に意識している。

 

大会では、2人で創り上げたシンクロする動きや一体感のあるパフォーマンスを披露した。カップルとしての演技のバランスが評価されたと、山崎選手は受け止めている。

 

パートナーの今西選手は幼少期より新体操の経験がある。大学1年のとき初めて今西選手の演技を見た山崎選手は、ダンスの才能と体の柔らかさに驚いたと振り返る。「今西選手の演技から『勝ちたい』という思いが強く伝わってきた。一緒に日本一を目指したい」と、ペア結成を申し出たという。

 

「2人で練習したほうが上達のスピードは早い」と、いつも一緒に練習した。有言実行で目標を達成できたことについて、山崎選手は「今西選手には尊敬と感謝の念を抱いています」と話している。

大会を盛り上げ、演技を楽しむ

 

中学、高校時代の部活動はバレーボールだった。中大では「何か新しいことで日本一を目指そう」と、入学後に新歓のブースを回り、「未経験でも全日本で上位に入り、活躍している先輩がいる。未経験者でも日本一を目指せる」と、競技ダンスの世界に飛び込んだ。部員の9割が高校まで競技ダンスを未経験だという。

 

現在は学生競技団体「東部日本学生競技ダンス連盟」副理事長の役職に就き、「学生の多くがさまざまな思いを抱いて競技を続けている」ことに気づかされた。選手が大会で着用する衣装やメイク、練習場の使用費などで家族や周囲のサポートは欠かせない。

 

山崎選手は「選手たちはそうした支えに感謝の思いを持って競技に臨んでいる。大学4年間、競技ダンスを続けるのは、それだけでも大変なこと」と説明し、競技に臨む気持ちにも変化が生じたと打ち明ける。1、2年生の頃は大会での「勝ち」にこだわっていたが、「同じ競技に打ち込む仲間たちと一緒に大会自体を盛り上げたい。自分自身も大会を楽しみたい」という思いが次第に強くなっていった。

 

卒業後は企業に勤め、仕事がメインという生活を送る一方で、競技ダンスも続けるという。「上位を目指す後輩たちの指導にもOBとして携わりたい」と話している。

☆ 山崎奏汰選手

 

やまざき・そうた。福島・県立郡山高校卒、法学部4年。身長179センチ。高校卒業時に「チャンスの機会の多い東京に行きたい」と、別の地域の大学ではなく中大に進学した。「中大では数えきれないほどのチャレンジを経験でき、満足しています」と、学生生活を振り返っている。

 

 



 

☆ 競技ダンス

 

社交ダンスを競技化した、美を競うスポーツ。学生競技ダンスの正式種目は、両手のホールドの状態(手を離さない状態)を保って踊るモダン5種目と、ペアが離れて踊るラテン5種目。モダン種目はワルツ、タンゴ、スローフォックストロット、クイックステップ、ベニーズワルツ。ラテン種目はチャチャチャ、サンバ、ルンバ、パソドブレ、ジャイブ。

 



 

☆ 競技ダンス研究会

 

1962年創部。藤岡祐聖主将。部員数は67人(うち卒業生14人)。

 

【取材後記】
「自転車に乗るように」 パートナーと一体になって舞う
誠実な人柄に尊敬の念
学生記者 渡邊 歩(総合政策2)

山崎奏汰選手(右)と学生記者の渡邊歩さん

 

中央大学競技ダンス研究会として、初めて「全日本」戦での優勝を果たした山崎奏汰選手(法4)。競技ダンスに向き合う姿勢、そしてそれを語る生き生きとした表情から誠実な人柄を感じ、一人の人間として尊敬の念を抱いた。

 

競技ダンス研究会の部員は約9割が未経験者で、入学と同時に競技を始める選手が多いという。山崎選手もその一人である。法学部で学ぶ山崎選手は、茗荷谷へのキャンパス移転前の1年生のときは多摩キャンパスを練習拠点としていた。2年生以降は自ら民間の練習場を探すなど、自主的な練習に取り組んできた。多い時期は週7日、つまり毎日、練習に打ち込んだという。

 

特に印象的だったのは、ペアの競技ならではのコミュニケーションについての話だ。国内外のダンスの潮流などに知見が豊富なコーチからの「素晴らしいペアのダンスは自転車に近い」という言葉を教えてくれた。

 

その意味は、何も意識せずに自転車に乗ることができることにたとえて、ペアで踊るうちに相手の存在を忘れるくらいに一体化することだそうだ。相手との境界線を曖昧(あいまい)に感じるほど、動きに一体感が生まれたとき、素晴らしい演技と受け止めてもらえるのだという。

競技と真摯に向き合う
そこで得た感覚と思考の変化

山崎選手は、このコーチの言葉をきっかけに、ミスが起きたときにパートナーへの他責的な思考を払拭することができたと語った。競技に真剣に向き合ったからこそ生まれる感覚と、思考の変化は、高みに達したアスリートしか得ることのできない財産のように思った。

 

未経験ながら1年生の頃から演技の面で頭角を現し、先輩からも期待をかけられていたという山崎選手。当初は一選手としてプレッシャーを感じることも多かったが、現在は学生競技団体(東部日本学生競技ダンス連盟)の副理事長などを務め、競技を運営面から支える立場ともなった。

 

競技を続けるためには練習場所の確保など、個々に金銭的な負担も生じるが、十分なサポートが得られないといった、さまざまな思いを背負って競技に挑んでいる選手が多いことを知った。実力の向上とともに、自身が競技という場を楽しむだけでなく、ダンス競技全体を盛り上げようと、意識が変化した。

 

卒業後は仕事の面から、さまざまな境遇にいる学生アスリートの支援にも携わりたいという。私は、そうした自身の経験を外的なアプローチにつなげるという山崎選手の姿勢が心に残った。山崎選手は「大学では何か新しいことで日本一になりたい」と決意し、競技ダンスの道を選んだ。言葉通りに日本一を成し遂げた粘り強さ、周りへの心配りを忘れない、人としての在り方を深く感じることができた取材だった。

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