2026.03.30
アメリカンフットボール部「RACCOONS」のワイドレシーバー(WR)、宮澤光士郎選手(経済4)は、新潟県立新潟高校の野球部で3年間、甲子園出場を目標に練習に励んだ元球児だ。中大進学後は、大学日本一を決める「甲子園ボウル」で勝つため競技に打ち込んできた。同じ甲子園という「聖地」を目指した4年間のフィナーレとなった2025年11月の試合で、縦横無尽にフィールドを駆ける宮澤選手の姿を、ふるさとの新潟のテレビ局が密着取材して放送し、話題を呼んだ。 (記事中の写真はすべてアメリカンフットボール部提供)
2025年度TOP8最終戦でチームメイトと(右が宮澤光士郎選手)
宮澤選手が特集されたのは、2025年11月17日のUX新潟テレビ(テレビ朝日系)のニュース番組内で放送された約11分間のコーナー。1週前の多摩キャンパスでの練習を含め、今季最終戦(11月8日、横浜スタジアム)に臨んだ宮澤選手に迫ったドキュメントだ。
未知のスポーツだったアメリカンフットボールを中大で始めた経緯や、4年間真摯(しんし)に競技に向き合い努力を重ねたこと、仲間たちと挑む最後の試合への思い、支えてくれた人への感謝などを、宮澤選手へのインタビュー、RACCOONSのコーチ陣やチームメイトの証言などで紹介した。
放送を見た地元の人の中には、中大でアメリカンフットボールをプレーしていることを知らない人もいたが、皆が喜んでくれた。2025年の暮れに高校の同窓会で顔を合わせた新潟高野球部の監督や顧問の先生、当時の担任教諭や友達もテレビを見て、たくましさを増した宮澤選手の姿に目を見張ったという。
宮澤選手も「競技に打ち込んでいる姿を喜んでもらえた。どれだけ本気でプレーしていたかを知ってもらえた」と笑顔で振り返った。
高校3年、野球部最後の夏の新潟県大会は3回戦で敗退。甲子園出場の夢が消え、「不完全燃焼」の思いが残った。中大でどのような4年間を過ごすか。明確な道筋は描いていなかったという入学当時、多摩キャンパスの新歓ブースで、当時のRACCOONSの選手に「大学日本一を決める舞台は甲子園。アメフトで甲子園を目指せるよ」と声をかけられ、不完全燃焼だった記憶が頭をよぎった。
新歓のときにミニゲームも体験し、楕(だ)円形のボールをキャッチするのが「面白い」と感じた。当時の選手からも「ボールを取るのがうまいね。レシーバーになりなよ」と言われ、入部することに。以来、ポジションは攻撃のパスキャッチが役割のワイドレシーバー。野球でフライを捕球していた外野手としての空間把握能力が役立っているという。
パスキャッチに成功した宮澤光士郎選手(右)
もともと足の速さには自信があった。それに加えて、中大の4年間で一番に成長したのは、たとえばボールをキャッチした後、相手にタックルされてもひるまないようなフィジカルの強さ。肉弾戦のアメリカンフットボールでは大きな強みになる。
体重は入学時の65キロが4年生で80キロ台半ばまで増え、「大柄な相手からも逃げないでプレーできるようになった」という。自らのブロックで、味方のほかのレシーバーの進路を切り開くといった動きも十分に意識するようになった。
4年間で印象に残っているプレーは引退試合と、リーグ戦で初のタッチダウン(TD)を記録した2年秋の立教大戦。30ヤードを超えるロングパスキャッチからのTDは、以後のプレーに自信となった。
残念ながら大学でも甲子園には届かなかったが、何も知らない状態から始めた競技で努力の大切さを学んだ。1つのボールを追いかけ、団結した4年生22人(選手18人、スタッフ4人)には「このメンバーだから4年間、一緒にできた」と感謝を忘れない。
卒業後は「選手として日本一になりたい」と語り、一般企業で働きながらクラブチームで活躍する未来を描いている。夢は終わらない。
いつも応援に…両親に感謝
☆ 宮澤光士郎選手
みやざわ・こうしろう。新潟県立新潟高校卒、経済学部4年。181 センチ、84キロ(部活動引退後は80キロ)。2年秋から関東リーグ1部に相当するトップ8に出場、2年時にワイドレシーバーとしてベスト11、オール関東に選抜された。一人暮らしが初めてだったという大学の寮生活で感じたのは両親のありがたさ。いつの試合も必ず応援に駆けつけてくれた両親に感謝している。地元でのテレビ放送については「注目していただけたのは本当にうれしい。より多くの人がアメリカンフットボールに興味を持ってもらえたら」と話す。
☆ アメリカンフットボール
4回の攻撃で10ヤード(1ヤードは約91.4センチ)前進すると、新たな攻撃権が与えられ、フィールドの相手ゴールライン奥(エンドゾーン)までボールを保持して運べばタッチダウン(TD、6点)。キックによるフィールドゴール(FG、3点)を狙う作戦もある。パス、ランを駆使した4回の攻撃で10ヤード前進できないと、相手に攻撃権が移る。ワンプレー中に一度だけ、前方にパスを投げることができる。選手の体を守る防具は総重量が3~4キロ。鍛え抜かれた選手同士の肉弾戦であるとともに、さまざまな作戦を駆使した頭脳戦という要素も強い。
RACCOONS 2025年度関東学生リーグTOP8戦績
8月31日 中央大 3-17 法政大○
9月14日 中央大 35-48 早稲田大○
9月20日 ○中央大 31-17 慶應義塾大
10月5日 中央大 10―20 立教大○
10月12日 中央大 20-24 東京大○
10月25日 中央大 31-34 明治大○
11月8日 ○中央大 41-7 桜美林大