2025.12.19

「ダートの中央」伝統守った!
90余年の部史上で初 自動車部が男女の個人・団体を制覇
2025年度全日本学生ダートトライアル選手権

  • 中大ニュース
  • アスリート

未舗装路で自動車の走破タイムを競う2025年度全日本学生ダートトライアル選手権大会(8月3日、広島県安芸高田市・テクニックステージタカタ)で、自動車部が男女の団体・個人を完全制覇した。

 

ダートトライアルにおける完全制覇は90年を超える部の歴史の中で初の快挙。男子団体優勝メンバーの倉品翼選手(法4)は、「仲間に支えられた優勝です。『ダートの中央』と言われる伝統を守ることができた」と喜びを話す。倉品選手を含む団体優勝メンバー3人に勝因などを聞いた。 (ダートトライアル選手権大会での写真はすべて自動車部提供)

2秒差を最後に逆転
優勝とわかり絶叫、感激の涙

 

男子団体の優勝メンバーは、倉品選手と、野村飛美樹(ひびき)主将(国際経営4)、伊藤光翼(つばさ)選手(法4)の3人。野村主将は個人戦も優勝した。

 

「団体、個人ともに絶対に勝てると思って挑みました」。野村主将は、6月の全関東学生ダートトライアル選手権で2位だった悔しさをバネに果敢にコースを攻めた。全関東は前日に車両トラブルに見舞われたことが結果に響いた。「車の状態さえ良ければ今回はいける」と手応えを感じていたという。

 

最初のコーナーへの入りに勢いをつけすぎて、タイムロスしたが、「冷静さを失ったら終わりだ」と思い直し、その後は落ち着いてコースを攻められた。ゴール後、沿道で声援を送っていた仲間の反応から優勝したことに気づき、「絶叫しました。(部員の)皆の様子を見て感激して泣きました」と勝利の瞬間を振り返った。

 

中大の3選手は自動車部所有のスパイラルシビックに乗り、当日発表されたコースを時速100キロ超のスピードで駆け抜けた。3人が2回ずつ走行し、良かった方のタイムの合計で勝負が決まる。最後の野村主将が、トップの早稲田大につけられていた約2秒の差を逆転し、栄冠をつかんだ。

ダートトライアルの男女優勝メンバー。(写真左から)倉品翼、伊藤光翼、野村飛美樹、古川佳愛、武内結の各選手

チーム一丸の勝利
部OBのアドバイスも力に

ダート路を疾走する自動車部のスパイラルシビック
=2025年8月3日、テクニックステージタカタ

「コーナーに限界ぎりぎりのスピードで突っ込んでいけるかどうか。その度胸が試される」。伊藤選手はダートトライアルで運転者に求められる能力を、ハンドル操作のテクニックと並び、「度胸」とたとえた。「中大自動車部の皆は(2回の走行のうち)2本目に懸ける気持ちが強い。僕も1本目にミスをしたが、2本目は緊張に打ち勝てた」と胸を張る。

 

伊藤選手と同様に1本目はミスをしたという倉品選手は、それでも「自分らしい走りをすれば勝てる」と信じていた。その理由は「部のメカニックの技術力は日本一と思っている」からだ。倉品選手だけでなく、ハンドルを握った3選手は、車の整備、メカニックを担当した部員たちへの感謝をそろって口にした。

 

このコースで走行経験のある自動車部OBのアドバイスも大きかった。事前にコースを下見して歩く「慣熟歩行」に同行したり、コースの特徴を教えてくれたりしたという。

 

野村主将は「チームが一丸となって大会に向けて、それぞれの仕事を責任をもって行った」ことを勝因に挙げた。車に乗る選手は自分と向き合ってテクニックの向上に努め、後輩たちも選手がポテンシャルを最大に発揮できるようサポートを惜しまなかった。

けた違いのスピード感
反射神経の勝負

 

日常の車の運転で味わえないモータースポーツとしての魅力を尋ねると、野村主将は「スピード感の違い」と教えてくれた。ハイスピードの状態の車には、一瞬のハンドル操作がよりダイレクトに伝わり、コンマ数秒の操作や判断の遅れが車の動きに即座に現れるそうだ。車窓の景色も速く流れ、反射神経の勝負でもあるという。

 

4年生の3選手にとって、中大生として最後のダートトライアル選手権大会で有終の美を飾ったことになる。自動車部の後輩たちへのメッセージを頼むと、倉品選手は「勝てたのも、部員が一丸となって車や選手をサポートしてくれたおかげ。目標をもって突き進んでほしい」と語り、伊藤選手は「楽しむときは楽しむ、(部活動を)やるときはしっかりやる。モータースポーツは危険と隣り合わせなので、メリハリをつけて活動に打ち込んでほしい」と呼びかけた。

 

野村主将は「負けたり、うまくいかなかったりしたとき、落ち込むのでなく、そんなマイナスをプラスに変えてほしい」と訴え、さらに「勝利をイメージし、そのためにどうしたらいいかを追求してほしい」と結んだ。

ダートトライアル選手権の男女の団体・個人を制覇し、部員らの笑顔が弾けた=2025年8月3日、広島県安芸高田市のテクニックステージタカタ

0秒73差、2位早稲田大を上回る
ダートトライアル男子団体

ダートトライアルは、砂利を踏み固めて作られたコースを、スピードや安全性の規定にのっとった自動車で走破する競技。コースはアップダウン(高低差)がある上に、ドリフトや高速走行で攻め抜くコーナリングがふんだんに設けられ、運転の技量が試される。

 

今回は時速100キロ超のスピードが出るコース設定。レース前、選手がコースの特徴を熟知するため、実際に徒歩で立ち入る「慣熟歩行」と呼ばれる事前の下見を経て、中大自動車部の野村飛美樹主将、伊藤光翼選手、倉品翼選手の3人が、部所有の赤色スパイラルシビック(1800㏄)を乗り継いだ。3選手が2回ずつ走行し、団体は速かった方の合計タイム(5分13秒45)が、2位早稲田大を0秒73上回った。

 

走行車両の排気量の制限が切り替わる移行期間が2024年から設けられ、2025年度は旧規定と新規定で争われた。中大は旧規定に参戦した。

 

より正確な運転技術を求められる種目「フィギュア」、舗装路を使ったタイムトライアルの「ジムカーナ」を合わせた3種目の総合点で順位を競うのが「全日本学生自動車連盟年間総合杯」(全日本総合杯)で、自動車部が一番の目標に掲げているタイトルである。

☆ 野村飛美樹選手

のむら・ひびき。東京・南多摩中等教育学校卒、国際経営学部4年。自動車部主将。物心ついたときからの車好き。入学式の日、式場の多摩キャンパス第1体育館に向かう途中にある自動車部のガレージで部車「シビック」を“目撃”した。これが縁で入部したという。

 

 

☆ 伊藤光翼選手

いとう・つばさ。神奈川・中央大学附属横浜高卒、法学部4年。自らの運転の特長を「繊細さ」とたとえる。大学1年の頃からの夢だった全日本の優勝を果たし、「成長できたことを仲間に感謝したい」と話す。

 

 

☆ 倉品翼選手

くらしな・つばさ。中央大学附属杉並高校卒、法学部4年。父親の影響で子供の頃からの車好き。「好きな車で本気で日本一を目指せる環境を求めて、強豪の中大自動車部に入った」という。

(左から)伊藤光翼選手、野村飛美樹主将、倉品翼選手=多摩キャンパス・自動車部ガレージ

感謝と恩返しの優勝

同期と後輩が作り上げた最高の試合車に誇り

女子団体、個人で優勝・古川佳愛選手(法4) 団体優勝・武内結選手(法4)

 

全日本ダートトライアルで個人、団体をともに優勝できたことを非常にうれしく思っています。前年度は団体は制したものの、個人優勝を逃しており、今年こそはと思い、支えてくれた方々への恩返しとして臨んだ大会でした。

 

たくさん練習の機会をいただき、同期や後輩がきちんと作り上げてくれた最高の試合車で走れたことをすごく誇りに思っています。また、尊敬する先輩のコーチングがあってこその結果でした。男女ともに個人、団体すべてを優勝するという結果を残せて、本当にうれしかったです。

 

男女ともに個人、団体優勝は、90年を超える中央大学自動車部の歴史の中で初めてであり、それもうれしく思っています。周りの方々の支えのおかげで得た結果なので、部員や家族、先輩、OB、OGの皆様などたくさんの方に感謝の気持ちでいっぱいです。

◇ 2025年度全日本学生ダートトライアル選手権大会

(8月3日、広島県安芸高田市・テクニックステージタカタ)

 

〈旧規定男子の部・個人〉

① 野村飛美樹(中央大)1分41秒39

② 吉田太郎(早稲田大)1分42秒35

③ 横堀太一(青山学院大)1分43秒98

⑦ 伊藤光翼(中央大)1分45秒61

⑧ 倉品翼(中央大)1分46秒45

 

〈旧規定男子の部・団体〉

① 中央大  5分13秒45

(野村飛美樹、伊藤光翼、倉品翼)

② 早稲田大 5分14秒18

③ 立命館大 5分18秒13

 

 

〈旧規定女子の部・個人〉

① 古川佳愛(中央大)1分49秒32

② 高橋聖奈(青山学院大)1分51秒58

③ 武内結(中央大)1分53秒65

 

〈旧規定女子の部・団体〉

① 中央大 3分42秒97 

(古川佳愛、武内結)

② 青山学院大 3分53秒12

③ 関西学院大 4分06秒82

 

(注)記録は全日本学生自動車連盟サイトより抜粋

GO GLOBAL!
スポーツ・文化活動
中大スポーツ
Connect Web
Careers