2025.12.19
軟式野球部が2025年8月の第48回全日本学生軟式野球選手権大会で6回目の優勝を果たし、大会3連覇を達成した。決勝戦は、九回に4点差をひっくり返す逆転サヨナラでの勝利。劇的な幕切れに笑顔と涙顔のナインが歓喜に包まれた。海老沼樹喜(たつき)主将(経済3)と、決勝のサヨナラ打を放ち、大会の最高殊勲選手賞(MVP)に輝いた片倉裕文選手(法3)に話を聞いた。(記事中の写真はすべて軟式野球部提供)
逆転サヨナラだ! ホームベースに駆け寄る中大ナイン
「チームの皆が必死でつないでくれたチャンス。そこで打てて感無量でした」。2点を返し、5-7の2点差と迫った九回一死満塁の場面、左打席の4番片倉選手が外角直球を振り抜くと、打球はレフトへ。「捕られるかも」と思ったのも一瞬、ボールは左翼手の頭を越えた。走者一掃の逆転サヨナラ打。ホームベースに歓喜の輪ができた。
九回の攻撃前、ベンチ前で円陣を組み、海老沼主将が語気を強めた。「ここまで何のために頑張ってきたのか。全日本で優勝するためだよな」。奮い立ったナインは誰ひとりあきらめることなく、後続にチャンスをつないでいった。
春の東都リーグでは打率1割台と、「チームへの貢献が十分ではなかった」と振り返った片倉選手。全日本の決勝では三回の先制機でこそ凡退したものの、土壇場でチームを救う起死回生の一打を放った。最後の打球に「皆の思いが乗り移った」と声を弾ませた。
サヨナラの場面で海老沼主将は二走として本塁に生還した。ナインが喜びにわく中で「安心感、ほっとしたという心境でした」と記憶をたどった。喜びよりも、安心感がまず胸にわいた。勝たなくては、という責任感から解放された思いだったという。
前年の先輩たちは「黄金世代」と称され、圧倒的な強さで全日本を制した。「今年も絶対に勝ちたい」。安堵の思いは3連覇へのプレッシャーが大きかったからにほかならない。
表彰式後、胴上げされる海老沼樹喜主将
=2025年8月26日、スリーボンドスタジアム八王子
大会で、海老沼主将は準決勝の福岡工業大戦の自身のプレーが記憶に残っている。九回二死二、三塁で、遊撃手の自分のところに飛んできたライナー性の打球を止めきれず、同点を許してしまう。記録は安打だったが、この失点を何とか取り返したいという気持ちが、タイブレークとなった十回表の中前適時打を生み、決勝進出につながったという。
海老沼主将は「3連覇のプレッシャーは大きく、苦しいこともあった。心の支えとなってくれた片倉、小牧(颯太選手)の2人の副キャプテンをはじめ、チームの皆に感謝したい」と笑顔を見せた。片倉選手は「個性の強いメンバーをよくまとめてくれた」とキャプテンを思いやり、勝因について「全員野球。皆の力が不可欠だった」と胸を張った。
軟式野球部は春の東都リーグ戦と全日本に続き、秋リーグ戦でも優勝を飾った。
海老沼樹喜主将
片倉裕文選手
☆ 海老沼樹喜主将
えびぬま・たつき。群馬・館林高卒、経済学部3年。164センチ、55キロ。内野手。右投げ右打ち。小中高校でも野球チームで主将を務めてきた。走攻守の三拍子そろった選手。「とくに守備は安心して見ていられる」と周囲の評価が高い。
☆ 片倉裕文選手
かたくら・ひろふみ。東京・日大二高卒、法学部3年。173 センチ、70 キロ。外野手。右投げ左打ち。肩と足に自信がある。声を出してチームを引っ張るムードメーカーの役割も果たしている。
第48回全日本学生軟式野球選手権大会
(2025年8月23~26日、スリーボンドスタジアム八王子ほか)
〈決勝〉
東洋大 000 330 001 ―7
中央大 000 101 105X ―8
(東)黒須、濱岡、廣瀬-藤原
(中)井出、田邉-寺沼
〈準決勝〉
中央大 000 002 000 4―6
福岡工業大 000 000 002 2―4
(大会規定により十回からタイブレーク)
(中)中田、井出-寺沼
(福)宮山、奥田-斉藤
〈2回戦〉
慶應義塾大理工 000 020 000―2
中央大 000 320 00X―5
(慶)佐藤-小泉
(中)井出、田邉-寺沼
※中大は1回戦シードでの勝ち上がり。記録は全日本学生軟式野球連盟公式サイトより抜粋