2025.08.19

「最速152キロに8つの球種」 優勝の原動力のバッテリー
東都春季リーグ戦制覇の準硬式野球部
大山北斗投手(商4)・若林舜大捕手(文4)に聞く

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準硬式野球部が、東都大学準硬式野球の2025年春季リーグを制覇した。春秋リーグ戦の優勝は通算72度目。昨秋のリーグ戦で優勝を逃した悔しさをバネに、「王者中大を取り戻す」(若林舜大捕手=文4)と部員全員が一丸となって挑み、全チームから勝ち点を挙げる完全優勝を飾った。優勝の原動力となったエース格の一人、大山北斗投手(商4)と若林捕手のバッテリーに話を聞いた。(記事中の写真はすべて準硬式野球部提供)

東都準硬式野球春季リーグ制覇を喜ぶ部員たち

中1日で完投、完封勝ち

春季リーグ戦で、大山投手は投球数111球で専修大に完投勝ちし、中1日で登板した日大戦も127球で完封勝ちした。大山投手は「中1日でも球速が落ちなかった。(登板間隔が)短くても行けるという自信がついた」と振り返る。

 

配球は、1年生からバッテリーを組み、春季リーグで挙げた6勝のうち、4試合でマスクをかぶった若林捕手と組み立てる。三振を奪うフォーク、フォーシーム、ツーシーム、チェンジアップの4つの球種を中心に、カーブ、スライダー、スプリット、カットボールを交えて投げ分ける。

 

「投げたい球をいつもサインで出してくれる」と、女房役のサインに首を振ることはない。高校時代までは投手だった若林捕手が、投手の心理に寄り添ったリードをしているといえそうだ。ストレートの最速は高校時代の143キロから152キロに伸びた。球の表面がゴムで覆われ、空気抵抗の関係で硬式より球速が3~5キロ出にくいとされる準硬式では驚くスピードだ。

 

大山投手の特長は、披打率(投手が安打を打たれる確率)や防御率の低さ。打たれ強く、大量失点しないというのも強みだ。若林捕手が「淡々と投げるが、ここぞという場面ではギアが入り、強気に攻めていく。すごい投手です」と褒めれば、大山投手も「配球にリズムがあり、テンポよく投げられる。盗塁阻止率も高く安心感がある」と若林捕手に全幅の信頼を置く。

8月の全日本大学選手権に照準

大山北斗投手

 

準硬式野球部は部員32人全員が寮生活を送り、「圧倒的に豊富な練習量」(若林捕手)がチームの自信や支えとなっている。チームの最大目標は、8月の全日本大学準硬式野球選手権の前年に続く連覇だ。

 

大山投手は「(トーナメントの)全ての試合で投げるつもりで練習し、(夏恒例の)秋田合宿でもしっかり投げ込みたい。肩の可動域を広げ、(連投でも)けがをしないような体づくりをしたい」と話す。若林捕手も「(全日本では)大山も毎試合、本調子というわけにはいかないかもしれない。しっかりとリードできる捕手として、得意な球以外でも勝負できるように、大山の投球に新しい“引き出し”を作りたい」と考えている。

 

春先から日本のプロ野球4球団のスカウトが大山投手の投球を視察に訪れ、準硬式では異例ともいえる注目を集めている。大山投手は「スカウトの方が来られたと聞き、準硬式からプロに行ける可能性があるんだと驚いた。野球に取り組む励みにもなっています」と語り、今秋のドラフト会議を待つつもりだという。スカウトのアドバイスを耳にして、体重を増やし、下半身を強化しようと、「一日5食」を実践している。

 

☆ 若林舜大捕手

 

わかばやし・しゅんだい。島根・平田高卒、文学部4年。178センチ、85キロ。春季リーグ戦の打撃成績は10打数3安打1打点。高校時代は投手だったが、平田高の植田悟監督に、「大学からは捕手に」と勧められた。

 

捕手としては肩の強さが武器。コロナ禍で大会が中止された高校選抜大会の21世紀枠として、夏に甲子園で開催された交流試合に出場した経験がある。

 

尊敬する人は両親と、平田高の植田監督。

 

☆ 大山北斗投手

 

おおやま・ほくと。沖縄・興南高卒、商学部4年。180センチ、78キロ。右投げ右打ち。興南高時代は甲子園出場なし。三振を奪える最速152キロのストレートやフォークが決め球。

 

春季リーグ戦では6勝1敗、防御率0.71。63イニングを投げ、奪三振53、与四死球13。大学での主なタイトルはリーグ戦ベストナイン(3回)、最優秀投手賞(2回)、全日本大学選手権の優秀選手賞など。

 

尊敬する人は両親と、高校の2学年先輩でプロ野球オリックスのエース、宮城大弥投手。「ピッチングも素晴らしく、人柄も温かい」と、宮城投手をたとえている。

 

東都大学準硬式野球 2025年春季リーグ戦成績

 

1位 中央大  10 勝2敗(5)

2位 国士舘大 8勝5敗(3)

3位 専修大  7勝5敗(3)

4位 日本大  5勝6敗1分(2)

5位 東洋大  2勝8敗(1)

6位 帝京大  2勝8敗1分(1)

  ※カッコ内は勝ち点。5、6位は順位決定戦による

 


 

☆ 準硬式野球

 

硬式野球との違いは使用球にある。準硬式のボールは、表面と見た目は軟式球のようにゴムで覆われ、中身は硬式球と同じようにコルクを糸で巻いたものが入っている。握った感触や大きさは軟式球と同じだが、打った感触と跳ね方は硬式球と同じ。バットは木製、金属製を問わないが、大半の選手は強い打球が飛ぶ金属製を使用している。

 

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