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2025.08.05

「学生日本一」で取り戻した自信
全日本学生ウエイトリフティング個人73キロ級を制覇
重量挙部 神谷亮輔選手(商3)

  • 中大ニュース
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重量挙部の神谷亮輔選手(商3)が2025年5月の第71回全日本学生ウエイトリフティング個人選手権大会の男子73キロ級で優勝した。2024年11月のインカレ(第70回全日本大学対抗選手権)はスナッチで失敗してトータルの記録を残せず、メンタルや身体にもダメージが残った。“復活”を期して挑んだこの大会で見事に頂点に立ち、失いかけた競技への自信を取り戻した。

スナッチで自己記録を更新

表彰台で笑顔をみせる神谷亮輔選手(中央)

スナッチ1回目の試技で持ち上げた125キロを「軽い」と感じた。2回目に自己新記録の135キロに挑み、「さわったこと(あげたこと)のない重量で怖さもあったが、平常心を保つことができた」と、バーベルを高く掲げたときの心境を思い返した。

 

大学2年だった半年前のインカレでは、スナッチを3回ともあげられず失格。クリーン&ジャークの記録(3位)は残したものの、トータルは記録なしに終わり、チーム(団体戦)に貢献できなかった。1年生のインカレでもスナッチ5位の後、クリーン&ジャークでは記録を残せなかった。

 

大事な舞台で2年続いた不本意な成績にショックを受け、食欲も減った。一時は「シャフト(バーベルを支える棒)を握るのも怖かった」と振り返る。しかし、不振の原因を「試合直前の調整がうまくいかなかったから」と捉え、原点に戻って自分のウエイトリフティングを組み立て直そうと心に決める。

 

股関節の高さまで背中と脚の筋力でバーベルを引き上げるデッドリフトやスクワットなど、基本となる体づくりのトレーニングにそれまで以上に力を入れ、一時は60キロ台後半まで減った体重を戻すため、食事と睡眠にも十分に気を配った。

 

迎えた今回の大会は、神谷選手にとって「絶対にやるという気持ち」で挑んだアスリートとしての復活を懸けた大会だった。

「試合で練習以上の力を発揮」

クリーン&ジャークの1回目、147キロに成功した神谷亮輔選手

 

自身の強みを尋ねると、「大会(公式戦)で練習以上の力を発揮できるところ」と頼もしい言葉が返ってきた。ほかの競技の選手から「練習でできないことは本番でもできない」と、取材で何度も耳にしてきたので意外な答えにも感じた。

 

練習で持ち上げるバーベルの軽重を「重い日→軽い日→重い日→軽い日」などと、日によって交互に変え、体全体の筋力の“出力”を調整する。そうやって調子の波を作りだし、本番にピークを持っていく。調整がうまくいけば「できる」という自信が生まれ、「試合でスイッチが入り、力を発揮できる」と説明する。

 

課題はフォームの安定性を高めること。そのためには背中や太ももの筋力アップが欠かせない。そして、記録が思うように上がらなくても、多摩キャンパス第1体育館の道場に来てしっかり練習する。自炊してしっかり食べる。しっかり睡眠を取る。当たり前のことを当たり前に継続することが一番大事だと信じている。

多くのサポートに「結果で応える」

 

今回の大会には前日まで水分摂取を控えめにし、2キロ減量して出場した。このためか、スナッチの試技を終えた後、クリーン&ジャークの準備中に両足がつってしまった。それでもクリーン&ジャークで全体6位となる147キロをクリアして優勝した。ただ、「最後まで万全で戦えなかった」という悔いは残ったという。

 

「後輩たちが『中大の重量挙げといえば神谷』という気持ちで入部してくると考えて、その期待や、支えてくれる周囲の期待に応えたい」という思いが、競技に向かうモチベーションになっている。ウエイトリフティングの魅力は、自分の成長が記録として出るところだという。

 

競技を基礎から教えてくれた高校時代の恩師でともに中大OBの並木良憲さん(ソウル五輪出場、中大元監督)と清水洋平さんやトレーナー、中大の三木功司監督ら見守ってくれている大勢の人の支えを胸に、毎日バーベルと向き合う。神谷選手は「サポートには結果で応えるしかありません」と、“恩返し”を心に誓っている。

優勝メダルを掲げる神谷亮輔選手(左)。右は重量挙部の同僚で2位の田島佳選手

☆ 神谷亮輔選手

 

かみや・りょうすけ。東京・東亜学園高卒、商学部3年。171センチ、75キロ。中学3年のとき、東京都のトップアスリート発掘・育成事業で重量挙げを体験、15人ほどがクリーン&ジャークに挑戦した中で、ただ一人、最も重い40キロを持ち上げることができた。これが競技を始めたきっかけになったという。

 

将来の目標はオリンピック出場。中大ではインカレの個人、団体の優勝と大学新記録が目標だ。主なタイトルは高校3年のインターハイ(67キロ級)と中大1年の全日本ジュニア選手権(67キロ級)。

 

 


 

 

☆ ウエイトリフティング(重量挙げ)

 

体重別に階級が分かれる。バーベルを一気に頭上に引き上げる「スナッチ」、最初の動作で肩まで引き上げて立ち上がり、次の動作で頭上に差し上げる「クリーン&ジャーク」の2種目がある。それぞれ3回の試技で持ち上げた最高重量の合計の重量を競う。試技3回とも失敗すると失格。

 

 



 

 

第71回全日本学生ウエイトリフティング個人選手権大会 男子73キロ級

(2025年5月17日、大阪府羽曳野市・タケダハムはびきのコロセアム)

 

                                      体重   スナッチ     クリーン&ジャーク   合計

①神谷亮輔(中央大) 72.75     125◎  135◎ 140✕       147◎    150✕    150✕    282

②田島 佳(中央大) 73.00     125✕   125◎ 130✕       150◎    158✕    158✕    275

③増井颯士(日本大) 73.00     120◎  125✕  125✕       145◎    150◎   155✕    270

   ※上位3人。◎成功、✕失敗。単位はキロ

 

練習でバーベルを持ち上げる神谷亮輔選手=多摩キャンパス第1体育館

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