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2025.08.05

無心で挑み、つかんだ「勝利」と「信頼」
日本拳法・全日本体重別選手権66キロ未満の部で優勝
拳法部・竹原照真主将(経済4=大会時3年)

  • 中大ニュース
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拳法部主将の竹原照真選手(経済4=大会時3年)が2025年2月の日本拳法・全日本体重別選手権大会66 キロ未満の部で優勝した。大会の2カ月前に新チームの主将となって迎えた初の公式戦で、重圧をはね返し、堂々の成績を収めた。竹原選手は「良い成績を残せば、主将の自分に対するチームメイトからの信頼は一層高まる。優勝できてほっとしています」と笑顔で振り返っている。(記事中の写真は全て拳法部提供)

全日本体重別選手権大会を制した拳法部主将の竹原照真選手(前列中央)

チームを引っ張る主将の重責
「意識が変わった」

全日本体重別選手権大会を制した竹原照真選手(右)

竹原選手は、主将としてチームを引っ張る立場となり、競技やチームメイトと向き合う意識が変わったという。「以前は自分の活躍ばかりを考えてきたが、仲間を勝利に導けるようなアドバイスや声かけを積極的に行うなど視野が広がった」と話す。リーダーの役割を胸にしっかりと留めているようだ。

 

今回の体重別選手権でも「目標はもちろん優勝。主将の自分が勝つことが、部員のモチベーションを上げる一つのきっかけになればと思っていた」と頼もしい言葉を口にし、「優勝という経験で吸収できたことをチームに還元したい」と続けた。

 

今回、印象に残った試合に、平原一馬選手(陸上自衛隊)との決勝戦を挙げた。カウンターの打撃技が得意な自身の強みが顕著に出た一戦だった。試合開始から約1分の間に、カウンターの面横打ち(左フック)2本を決め、電光石火の早わざで決着をつけた。決勝までの4試合では、相手に1つも一本を取らせない完全勝利を飾った。

戦える楽しさ、リラックスして挑む

実は体重別選手権で、「調子はあまり良くない」と感じていた。しかし、だからこそ「集中できた」と胸を張る。優勝した瞬間の気持ちを尋ねると、「無心で挑んでいたので、よく覚えていないんです」と意外な言葉が返ってきた。それには訳がある。

 

高校3年のとき、練習でひざを負傷して1年間、拳法に本格的に取り組めない時期を過ごし、復帰できたのは中大入学直後の1年生の5月。いきなり東日本大学リーグ戦に出場して活躍し、中大の優勝に貢献した。

 

高校時代は、試合になるといつも緊張して無心で戦えない自分がいた。けがから復帰後は「戦える楽しさを感じて、リラックスして試合に出られるようになった」と打ち明ける。これぞまさに、「けがの功名」といってよいだろうか。不安を振り払い「無心」の状態で試合に挑めるようになったのだという。

「府立」制覇へチーム一丸

 

拳法部が一番の目標に掲げているのが「府立」制覇だ。試合会場のエディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館) の名称から「府立」と呼ばれ、毎年12月に開かれる「全日本学生拳法選手権大会」のことだ。

 

竹原選手は中学1年のとき、大会審判をしていた父親に連れられ、初めて観戦した。「最高峰の学生の大会はレベルが高く、見ているだけで競技の面白さが伝わった」と胸が高鳴った。以来、「府立」をあこがれの舞台として、本気で拳法に向き合うようになった。

 

中大は「府立」(男子団体)で、竹原選手が1年生だった2022年に12年ぶり3度目の優勝を果たした。2023年は3位、2024年はベスト8だった。3年ぶりの王座奪還に向けて、竹原選手は「キャプテンになってからは、どれだけ練習してもこれで本当に大丈夫だろうかと不安になる」と話しながらも、「優勝して後輩たちに府立制覇という僕が見たのと同じ景色を見せたい」と言葉に力を込めた。

☆ 竹原照真選手

 

たけはら・しょうま。愛知・桜丘高校卒、経済学部4年。169センチ、68キロ。拳法歴18 年。日本拳法経験者の父親の影響で競技を始めた。カウンターの胴突きや面横打ち(フック)など打撃技が得意。駆け引きから相手の動きを見抜いたり、ちょっとしたくせに気付いたりするのも特長だ。

 

練習は週6日、多摩キャンパス第1体育館拳法道場で行う。日本拳法は本来、体重別の階級はなく、竹原選手は今回初めて約1カ月で5キロという減量を体験した。カロリーの摂取制限、消費促進を繰り返し、「着実に減量が進む過程を楽しめた」というから驚く。

 


 

 

☆ 日本拳法(拳法)

 

面と胴、グローブ、股当てなどの防具を装着し、こぶしと蹴りの打撃技と、投げ技、寝技で戦う武道。逮捕術のベースにもなっている。竹原選手は「防具により外傷は圧倒的に抑えられる。実戦的で安全な総合格闘技」とたとえている。ボクシング、キックボクシングなどにも選手を輩出している。

 

中央大学拳法部はマネジャーを含む男女37人が在籍。大学から始める部員は空手や柔道の経験者が多いという。

 

 

 

日本拳法・全日本体重別選手権大会男子66キロ未満の部

(2025年2月15日、ひがしんアリーナ=東京都墨田区)

 

竹原照真選手優勝までの道のり

 

〈1回戦〉  不戦勝

 

〈2回戦〉  竹原照真 2―0 利根川悠太(静岡大)

 

〈準々決勝〉 竹原照真 1―0 長倉直弥(明治大)

                                        (延長)

 

〈準決勝〉  竹原照真 2ー0 山本和希(陸上自衛隊)

 

〈決勝〉   竹原照真 2―0 平原一馬(陸上自衛隊)

 

  (注)試合時間3分間の3本勝負。2本先取で勝利となる

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