2025.03.28
スケート部のアイスホッケー部門が2024年12月の第97回日本学生氷上競技選手権大会(インカレ)で優勝を飾った。一番の強敵とみられた東洋大に準々決勝で競り勝ち、2015年度以来9大会ぶり(93回大会はコロナ禍のため中止)に頂点に駆け上がった。
大会の最優秀選手に選出された種市悠人主将(総合政策4)、ポイントゲッターとして活躍したフォワード(FW)の堤虎太朗選手(同)に喜びや今後の抱負などを聞いた。
(記事中の写真は全てスケート部アイスホッケー部門提供)
2015年度以来のインカレ制覇を喜ぶ選手たち
「一番の目標だったインカレ優勝。達成感を覚えました」
決勝の残り10秒、種市主将は勝利の瞬間を待ちきれなかった。ベンチで戦況を見守っていたが気持ちが高ぶり、リンクに飛び出して仲間の歓喜の輪に加わった。
前日の準決勝(関西大戦)の第1ピリオド、開始数分で氷上に倒され、後頭部を打ち脳しんとうと診断された。これ以降、ベンチで見守るしかなかった種市主将だが、「体を張って相手にぶつかっていってくれた」と、チームメイトの気迫あふれる戦いぶりに感謝した。欠場せざるを得なかった決勝は医師やコーチに氷上に出ることを止められていたが、気づくと駆け出していたという。
堤選手は「(優勝は)すごくうれしかったけれど、1年間頑張った結果が出て、安心もしました」と振り返った。事実上の決勝といわれた東洋大との準々決勝を制し、さらに自信と弾みをつけて、準決勝、決勝を快勝した。
準々決勝の終了間際、堤選手は、同じセットでプレーするFWの夏野晃輔選手(商4)が氷上で勝利を確信して号泣する姿に、「もらい泣きしそうになった」という。
熱いタイプだが、普段はクールだという夏野選手を含め、中大から5人が大会のベスト6に選出され、チームの選手層の厚さ、レベルの高さも証明した。
種市悠人主将
種市主将、堤選手の2 人は同じ武修館高校(北海道釧路市)を卒業し、中大に進学した。氷上で計7年間、同じチームでプレーをともにした仲で、息はぴったりだ。インカレを含む試合で、同じセットではプレーしていないものの、堤選手は副主将として種市主将を支えてきた。
「氷上の格闘技」とたとえられるアイスホッケーは、原則として選手交代は自由で、攻守の切り替えや展開の速さ、スピード感が魅力でもある。ヘルメットやグローブ、フェイスマスクなどの防具で体を守っているとはいえ、フィジカルコンタクトが激しい競技だ。当然、選手の体のケアや体調管理も大切になってくる。
実は、堤選手も準々決勝で、テーピングをぐるぐる巻きにするほど右ひざを痛めた。準決勝の関西大戦は出場を予定していなかったが、チームは第1ピリオドに0-1と先制を許してしまう。第2ピリオドに志願して出場した堤選手は2得点の活躍を見せ、逆転勝ちに貢献した。
堤虎太朗選手
中大のアイスホッケーは「クリエイティブな攻めのホッケー」(種市主将)で、創造性や意外性のあるプレーが特長だという。ただ、選手たちはタレントぞろいでも、「自分勝手にプレーするのではなく、チームのために個人技を発揮する」(堤選手)という姿勢を貫いている。だからこそ、「中大のチームでプレーするのは楽しい」(堤選手)という思いも生まれてくる。
中大で過ごした4年間で、2人ともアスリートとして成長した。種市主将は「フィジカル面の成長で、試合で当たり負けはしない。スティックのしなりを使って崩れた体勢からでもシュートを打てるようになった」と胸を張る。
堤選手は、OBのプロ選手とともに筋力トレーニングに力を入れ、「プレーの幅が広がった」と語った。2年生の夏から3年生の3月まで米国ジュニアリーグのチームへの留学も経験している。
種市主将は卒業後、一般企業で仕事に就く一方で、アジアリーグアイスホッケーに加盟するプロチーム、横浜グリッツに所属する。堤選手は米国留学で1年間休学した経緯があり、2025年秋以降のプロチーム所属を目指している。2人がいずれは日本代表選手として世界選手権、五輪などの世界の舞台で活躍する姿を期待したい。
アイスホッケーは、硬質ゴム製の円柱状のパックを打ち合い、相手方ゴールに入れた得点を競う。1ピリオド20分の3ピリオド制。氷上に一度に出場できるのは、ゴールキーパーを含む1チーム6人まで。一部の判定でプレー停止中のときを除き、選手交代は自由にできる。
フォワード(FW)3選手とディフェンス(DF)2選手の5人1組を「セット」と呼ぶ。全速力でプレーするためスタミナの消耗が激しく、各チームが複数のセットをローテーションで交代させてゲームが進む。頻繁に選手交代することで、スピーディーなゲーム展開が生まれる。
☆種市悠人主将
たねいち・ゆうと。北海道・武修館高卒、総合政策学部4年。170 センチ、71キロ。ポジションはフォワード(FW)。父や叔父の影響で4歳の頃からアイスホッケーを始めた。ハードなプレー、クイックシュート、巧みなスケーティングが持ち味。
☆堤虎太朗選手
つつみ・こたろう。名古屋市出身。北海道・武修館高校卒、総合政策学部4年。173 センチ、73 キロ。ポジションはフォワード(FW)。父の影響で5歳から競技を始める。がむしゃらなプレーが持ち味。コーナーバトルでパックを奪われない技術力と突破力、スピードにも自信がある。
第97回日本学生氷上競技選手権大会 ファーストディビジョン
(2024 年12 月24 ~ 29 日、青森県八戸市・テクノルアイスパーク八戸、FLAT HACHINOHE)
中央大学戦績
〈1回戦〉中央大 13 -0 八戸学院大
〈2回戦〉中央大 25 -0 東海大
〈準々決勝〉
1P 2P 3P 計
中央大 3 1 1 ― 5
東洋大 2 1 0 ― 3
(中大得点者)角丸陸斗2、夏野晃輔、小岩獅竜、種市悠人
〈準決勝〉
1P 2P 3P 計
中央大 0 5 1 ― 6
関西大 1 0 0 ― 1
(中大得点者)堤虎太朗2、高崎泰成、小岩獅竜、夏野晃輔、下坪久晃
〈決勝〉
1P 2P 3P 計
中央大 1 4 3 ― 8
明治大 0 2 1 ― 3
(中大得点者)夏野晃輔2、角丸陸斗2、大野将輝、辻崇太郎、小岩獅竜、藤間航哉
☆最優秀選手賞
FW 種市悠人選手(総合政策4)
☆大会ベスト6=中大から5人選出
GK 川合温大選手(文3)
DF 大野将輝選手(商4)
FW 堤虎太朗選手(総合政策4)
FW 角丸陸斗選手(国際経営3)
FW 夏野晃輔選手(商4)
(注)記録、成績は日本アイスホッケー連盟サイトより抜粋
第97回日本学生氷上競技選手権大会での優勝おめでとう。スケート部にとっては9年ぶり、97回の歴史の中で4回目の学生日本一の栄冠を獲得することができました。
今シーズンは、種市主将の強力なリーダーシップのもと、「日本一になること」を目標に掲げて始動しましたが、春大会・秋リーグではここ一番で勝利を手にすることができず、歯がゆいシーズンを過ごしてきました。12月の全日本選手権では、トップリーグのチームと互角に渡り合い、負けはしたものの自信を深め、集大成のインカレではチーム一丸となり、厳しいゲームを勝ち切ることができました。
日本一までの道のりには紆余曲折あり、美談ばかりではなかったけれど、最上級生としてチームを牽引し、その姿を見て下級生も一丸となって戦ってくれたこと、最後はしっかりとチームをまとめてくれたことに心から感謝しています。
新たなステージに向けて船出の時が来ましたが、最初は戸惑うことも、失敗することも、悩むこともあるでしょう。時に落ち込むこともあると思いますが、どんな時も「前向き」にチャレンジする気持ちを忘れないでください。何事も「前向き」に取り組んでいれば、自ずと道は開かれていくと私は信じています。これからの益々の活躍を祈念しています。