卒業生
インタビュー

日清食品株式会社

中村 沙織さん

2007年 総合政策学部政策科学科卒業
頌栄女子学院中学校・高等学校出身

どんな時代、どんな環境でも常に好奇心を持ち、


楽しいことを探し続けていく

営業の現場から見えてくる社会のニーズの変化

現在、私は日清食品の営業部で、首都圏の小売企業を担当しています。スーパーやコンビニエンスストアに新商品の入荷や販促イベントなどを提案する仕事です。各店舗の即席めん売り場を日々回っていると、日本の食のシーンは変わり続けていることを実感します。
例えば、顧客の高齢化により、「麺の量が多くて食べきれない」「味が濃く感じる」といった意見がよく聞こえてくるようになりました。こうした状況では、同じ商品であっても麺の量を減らしたり、薄味にしたりすることで、売れ行きが変化します。また、個食と呼ばれる食生活の変化により、「5食パック」のような商品へのニーズは低下しています。新商品の開発においても、こうしたニーズの変化をいち早く察知しなければなりません。たとえ半年かけてじっくり開発した商品であっても、市場に送り出した結果、時代と合わなければ撤退せざるを得ないのです。

現代のビジネスでは
女性の視点や感性が強く求められている

今、食品業界が最も力を入れているのは、女性層の開拓です。かつて「チキンラーメン」は、台所に立つ時間を減らす「主婦の味方」と歓迎されました。現代では外に出て忙しく働く女性のニーズに応える商品、応援できる商品が必要です。実際、近年は低カロリー・健康志向の「カップヌードル」がヒットしましたし、健康食品の需要も増しています。この波に乗っていくには、同じ女性の視点や感性がもっと必要ですが、その数はまだまだ足りません。
日本の女性の社会進出は、世界と比べてかなり遅れています。世界経済フォーラムが2018年に発表した世界のジェンダー・ギャップ指数によると、日本は149ヵ国中110位。つい悲観したくなるデータですが、私は逆に「活躍する女性がこれから増える!」と前向きに捉えています。結婚や出産と仕事の両立が難しい環境のままなら、会社は人材不足に陥り、やがて経済が回らなくなってしまうはずです。もちろん、そうならないように社会は動いていくでしょう。

楽しいことを見つける能力が社会に出てからも役立つ

世の中の動きを敏感に察知して、楽しいことを見つけ出す能力は、社会人にとって強力な武器になります。私の場合、常に好奇心を持ち、さまざまな個性を持つ人々と積極的に会うことで、この能力が磨かれていきました。一方、自分の置かれた環境とポジティブに向き合い、そこで楽しいことを見つけ出すことも大切です。大学卒業後、志望の会社に入れても配属が希望部署とは限りませんし、今は人気の職種が10年後には消えるかもしれません。一方で全く新しいビジネスが生まれる可能性もあります。
未来のことは誰にもわかりませんが、好奇心を絶やさず、常に楽しいことを探す姿勢を貫けば、この先どんな世の中になったとしても、自分に合った道を見つけて生き抜くことができるはずです。今のうちに、自分が一体何にワクワクする人間なのかを知っておくといいと思います。ノートを広げ、好奇心を持てるものを全部リストアップしてみてください。その中にきっと、将来のあなたを輝かせるヒントがあるはずです。