法学部の歴史は1885年の英吉利法律学校創設から始まります。
英吉利法律学校は、経験を重んじ自由を尊ぶイギリス法(英米法)の教育を通して、実社会が求める人材を養成しようとしました。1905年の経済学科設置により法律学科が設置され、1920年に旧制大学として認可されたことで法学部となりました。
戦後直後の1948年に通信教育課程が設置され、翌年には新制大学として認可されます。
1954年に法律学科と政治学科が設置され、初めて法律課程以外の学科が法学部に誕生します。1993年には国際企業関係法学科が設置され3学科制となりました。国際企業関係法学科は国際的に通用する法律専門家を育成すること、企業の組織と行動を国際的視野のもとに理解することを目的としています。
2023年に茗荷谷キャンパスが完成して都心展開し、法学部・ロースクールとの一体的運用(Law&Law)が実現するとともに、本学都心キャンパス群(法学部・理工学部・国際情報学部)が文理融合を展開しています。
英吉利法律学校の創設 The Establishment of Igirisu Horitsu Gakko (English Law School)
1885(明治18)年の英吉利法律学校設置広告には設立趣旨が記載されています。
方今いまだ英米法律の長所たる法律実地応用の道に通ずるもの甚だ少なし(…中略…)専一の力をその全体に及ぼし、もって実地応用の素を養うものいまだかつてこれあるを見ず。これまさに英米法学者の慨嘆するところなり。余輩ここに見るところあり、数多くの英米法学者相集まりて英米法律の全科を教授し、その書籍を著述し、その法律書庫を設立するの目的をもって本校を設置す(…後略)
当時の高等教育では、英米法律の長所である「法律実地応用」の素を養うことができていないため、英米法学者を集めて学生に教授し、書籍を執筆して法律書庫を設立することで法律家養成に貢献することが目的でした。
規則や学則では、一科(日本語)と二科(外国語)に分かれていたことや学期が9月開始であったことなどが定められています。
中央大学への展開 Becoming the Chuo University of Today
本学は、1889(明治22)年に東京法学院、1903年に東京法学院大学、1905年に中央大学に改称します。その総則の変遷に注目してください。
本院は帝国法律の実地応用を練習せしむるを目的とし、本邦制定の法律を教授するのほか、広く法理に通達するため邦語または英語をもって法律学を講授するものとす。
(東京法学院学則、1890年)
本大学は法律、政治および経済に関する高等専門の学術を教授す。
(東京法学院大学学則、1903年)
本大学は法律、政治、経済、商業に関する学術の理論および応用を教授し、ならびにその蘊奥を攻究するところとす。
(中央大学学則、1925年)
法律学専門の学校から総合大学へと展開していく様相とともに、創設からの応用を重視する学風を読み解くことができます。
また本学の機関誌も『萬国法律週報』から『法理精華』、そして『法学新報』へと展開していきます。
戦前の学生生活 Chuo Campus Life in Prewar Period
3つのテーマから戦前の法学部学生の生活を紹介します。
①授業ノート
筆者である堀口貞武氏は、1927年に中央大学予科を卒業し、1930年に中央大学法学部を卒業しました。在学中の授業ノートは、当時の授業風景を感じることのできる貴重な資料です。
②卒業証書
1888年、英吉利法律学校の卒業証書です。講師の署名・捺印があります。1903年の東京法学院大学の卒業証書では学長のみ、1907年の中央大学の卒業証書では講師全員の自署・捺印による証明に基づき学長が授与するなど、相違点にも注目してみてください。
③アルバム
中央大学法律本科第1回卒業生の記念アルバムです。すべてポートレートで、のちに本学幹事などを務める天野徳也を含む14名の卒業生が記念写真を残しています。
新制大学法学部 Faculty of Law approved by New University Decree
1949年に新制大学として認可されたのち、1954年に法律学科と政治学科の2学科を設置します。1993年に新学科が設置されるまで、法学部は法律・政治の2学科制でした。新制法学部に関する資料を展示します。
・新制大学法学部関係資料
1954年の法学部法律学科・政治学科設置認可申請書の目的には、「平和的、民主的かつ文化的国家および社会の発達に奉仕する人材を養成すること」とあります。1949年の卒業アルバム、1950年の法学部学生証、1953年の卒業証書など、新制大学法学部の様子が分かる資料を展示しています。
・周年記念論文集
法学部では、本学の創立記念に合せて論文集が作成されました。70周年(1955年)、80周年(1965年)、90周年(1975年)、100周年(1985年)に刊行されています。法学部の叡智が綴られた論文集は、すべて中央図書館で閲覧することができます。
多摩移転と新学科の設置 The Relocation to the Tama Campus and Opening of New Departments
1978年に法学部は多摩キャンパスに移転します。広大な多摩キャンパスでは、学生の学習環境を確保することのできなかった駿河台校地に比べて、学生ひとりひとりの学習環境を確保できました。6号館が法学部棟として設定され、研究・教育環境が整備されます。
1985年に創立100周年を迎えた本学では、1978年に国際交流協定を締結したフランスのエクス・マルセイユ第Ⅲ大学(現エクス・マルセイユ大学 Universite’ d’Aix-Marseille)への短期留学を法学部を中心に展開します。2019年には交流40周年を記念してご来訪いただきました。
1993年に40年振りの新学科、国際企業関係法学科が設置されます。キャッチコピーは「地球規模のリーガルマインドをめざして」。グローバル社会に対応する「法律学の国際化」という社会の要請に応じた新学科が誕生しました。
茗荷谷キャンパスと都心展開 Myogadani Campus and Chuo's Expansion to Urban Area
2023年、文京区春日通り沿いにイギリス・ミドルテンプルをイメージした外観で、地下2階、地上8階の茗荷谷キャンパスが完成し、法学部が移転しました。1978年の多摩キャンパス移転以来、法学部として約45年ぶりの都心展開です。
すでに2002年には専門職大学院法務研究科(法科大学院・ロースクール)が市ヶ谷キャンパスに開設されており(現在は駿河台キャンパス)、2019年には法学部3年+法科大学院2年の「法曹コース」が設置されたことにより、法学部と法科大学院との一体的運用が求められ、法学部の都心展開によってLaw&Lawが実現しました。
キャッチコピーは「東京の中央でリーガルマインドをその手に」、「ひろがる、つながる、ふかまる」。都心キャンパス群(茗荷谷・後楽園・市ヶ谷田町・駿河台)の新たな文理融合による展開が進められています。
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