受賞論文【優秀賞】「レジ袋削減は本当に必要か」

貝掛 柚香子

レジ袋などの容器包装ごみの減量を目指し、国が小売業者に改善命令を出すことができる制度を盛り込んだ、改正容器包装リサイクル法(容リ法)が、国会で成立した。レジ袋、紙製の手提げ袋などの減量目標を各業者に策定するように求めていくことになる。これにより、レジ袋の10%程度の減少を見込んでいる。だが、レジ袋を削減することが環境改善にそれ程効果的なことであるのだろうか。むしろ政府指導による目先の弱者への押し付けではないか。この改正法の問題点を見ていくことにする。

レジ袋は70年代後半から、丈夫で安価なことから、多くのスーパーで使用されるようになり、わずかな間で生活に定着した。

現在レジ袋は、日本では年間300億枚、乳幼児を除いた国民一人あたり約300枚が使用されている。これを原料の石油に換算すると、年間50万キロリットルになる。これは、日本人一人あたり、わずか3リットルに過ぎない。普通車で、30キロメートル分の外出を一日我慢すれば、一年分のレジ袋の節約ができる量なのである。日本の石油消費量は年間約2.4億キロリットルであり、このうちの50万キロリットルなのだから、レジ袋の石油使用量は、日本の石油消費量のわずか0.2%に過ぎないのである。しかも、レジ袋のほとんどは、アジア諸国からの輸入品なので、実際には0.1%にも満たない。製造工程のための原油必要量が別に必要であることを考えても、決して石油使用量の大削減とはいかない。

もちろん、少しの削減でもすべきだという人もいるだろう。しかし、レジ袋を削減したところで、不便になり、快適性が損なわれるばかりで、エネルギー消費という観点ではほとんど効果が得られない。

次に、燃やしたときに有害ガスが出ると言われているが、基本的にレジ袋は高密度ポリエチレン製であり、二酸化炭素と水が発生するだけで、有害な気体は発生することはまれである。色つきのものは、顔料に金属元素が使われているものもあるが、銅が含まれる濃い緑色のものや、鉛の含まれる濃い黄色のものは、スーパーでは利用されていない。ポリエチレンでも不完全燃焼すれば、発がん性物質であるベンゼンなどが発生する危惧があるが、高温で燃焼焼却すればその可能性は小さい。レジ袋は本来プラスチックであり、不燃物なのだが、フィルム系プラスチックとして、焼却炉の助燃剤として焼却していることもある。プラスチック製の袋は、薄くて発熱量が高く、エネルギー回収も効率的に行うことができる。実はプラスチックは焼却炉の餌になるのである。生ゴミだけ燃やすには、余計に原油が必要となり、逆に資源のムダ使いになるのである。

ではどのようにすることが、環境問題の解決につながるのだろうか。

例えば、ごみ問題の解決に効果的なのは、4Rと言われている。これは、

リフューズ (無駄な消費をやめる)

リデュース (減量)

リユース  (再使用)

リサイクル (再利用)

の順で有効である。が、今まで日本では、もっぱら効果の低いリサイクルを優先としてきた。そのために、リサイクル用に回収されたペットボトルが山積みになったまま処理できず、新たなごみ問題にもなっている。不燃物として回収されたものの、リサイクルは自治体の税金で賄われており、人力や余計なエネルギーも必要となり、効率が悪い。まずは使わないことだ。この意味で、たった5分しか使わず、かつマイバッグを持って行けば済むだけのレジ袋は目くじらを立てられる訳なのである。

しかし、本来行うべきことは、化石燃料などの枯渇型資源を最大限努力して、使用量削減をすることである。目の前のレジ袋に白羽の矢を立て、環境に配慮しない極悪人だと競争力の無い中小業者を狙い撃ちするような今回の改正法は、弱い者いじめにさえ映る。レジ袋をゼロにしても、石油使用量の多さに比すれば焼け石に水のような有様だ。

まず、政府指導で行うのならば、もっと効果の高いことを推進すべきであろう。例えば、ノーカーデーを国が指定することだ。現在、一部の自治体が試行しているが、なかなか広がりをみせない。自動車を使用しないことが、ガソリン削減にはテキメンである。

例えば、燃費10キロメートルパーリットルで、片道10キロメートルの通勤の人が、年間250日仕事に出かけると、使用するガソリンは、500リットル、ドラム缶二本半である。更に、この時に発生する二酸化炭素は、実に30万リットル、ドラム缶にして千五百本に相当する。日本中のサラリーマンが、一日でも協力すれば、どれ程空気はきれいになるだろう。

マイカー自粛は、何よりの環境対策だ。国や各自治体もパークアンドライドや自転車利用の呼びかけなど、すこしずつはしており、改善されてはいるが、まだまだ認識は薄い。この夏のガソリン代の高騰を受け、急速にガソリンの節約に、国民の目が向けられた。今がチャンスなのだ。まずは、効率のよいエコドライブからでもいい。アイドリングストップでもいい。いきなりゼロでなくてもいいのだ。乗り合わせや公共交通機関への乗り換え、自転車利用へと進めばなおよい。その努力に、奨励金を出したり、逆に、マイカーの通勤手当てを減らしてもいい。

また、ガソリンの代替品への開発研究、使用緩和へと政府は動く時だ。とにかくガソリンを使わない、燃やさないことが、何よりの環境対策なのだから、これにつながるのなら何でもトライするのもいいだろう。

これらガソリン削減に繋がる努力に対しては、 税金の投入もやぶさかではない。支援し、補助し、積極的に促すべきであろう。

企業レベルで考えるならば、効率的な資源、エネルギーの利用の実現である。ここで大切なのは、経済産業の衰退を招かぬような対策でなければ意味がないということだ。産業は活性化しつつも、エネルギーの使用量を減らすというのは、並大抵ではない。かつ、生活の快適性、利便性は守る製品作りも続けていきたい。このためには、やはり政府の力が必要だ。企業にノルマを課すだけでなく、国全体で考えていくべきだ。民間企業は、余分なエネルギーなど使ってはいない。ギリギリの工程を組み、極限まで効率を図っている。この上なお削減と言われても、打つ手がないところもあるはずだ。皆で知恵を出し合い、企業間で技術や資源を共有し合い、協力して改善するしかない。横のつながりを強化させるのも、上に立つ公官庁の役目でもあろう。

現代人には手放せない快適な文明がある。どこまで、妥協し、我慢し、利便性も維持できるのかを人類の知恵を出し合う時だ。目先の小さなものだけに目くじら立てていないで、本質部分で資源の削減を図るべきだ。