研究開発機構

研究開発機構教授 内田 龍彦、福岡 捷二:土木学会論文賞を受賞

2017年06月13日

研究開発機構教授 内田 龍彦(論文発表時)、福岡 捷二(「持続可能な河川・流域システムの研究プロジェクト」代表)は、論文「非平衡粗面抵抗則を用いた一般底面流速解析法の導出と局所三次元流れへの適用」において独創的な業績をあげ、これが土木工学における学術・技術の進歩、発展に顕著な貢献をなしたと認められ、平成28年度土木学会論文賞を受賞しました。平成29年6月9日に開催された土木学会総会において授与されました。

 

~授賞理由~

 

底面の抵抗が大きい礫床河川の流れの数値解析において、粗面境界条件を適切に評価することは極めて重要である。本論分では、種々のスケール粗度の相互作用を考慮するために、非静水圧準三次元解析法と底面の非平衡粗面抵抗則を組み合わせた新しい解析法が提案されている。この解析法では、大きなスケールの流れを平面二次元解析法の枠組みで解くと同時に、二次流等の局所的な三次元流れと底面極近傍の渦度の強い非平衡流れを力学的に考慮することを可能としている。
  本論文では、従来の二次元解析法や三次元解析法の妥当性が確保できる適用条件・範囲と本解析法の必要性を明らかにするとともに、室内実験結果と現地実験結果により本解析法の妥当性を示しており、新規性、有用性ともに高く評価できる。平衡状態を仮定した粗面抵抗則に基づく従来の方法ではできなかった、礫床河川の河床極近傍や礫表層の空隙間の非平衡流れの解析を、本解析法によって可能にした意義は大きい。本研究成果は礫床河道における砂礫の挙動解析や河床の凹凸を利用している魚類、底棲生物の環境評価等に必要な流れ場の分析に展開可能であり、大きな発展性を有する独創的な研究成果である。以上により、本論文は、解析が困難であった種々の粗面スケールをもつ底面境界付近に生じる水理現象に対して、新しい学術、技術の展開に大きく貢献するものであり、土木学会論文賞に相応しいと認められた。


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