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概要

PFASは、熱や薬品に強く、撥水剤やコーティング剤などとして半導体や通信などの産業分野をはじめ、生活用品にも幅広く利用されてきました。しかし、水に溶けやすく分解されにくいため、環境中に長期間残留し、水道水や河川などの水質への影響が指摘されています。特にPFASの一部であるPFOSやPFOAは人の健康への影響が懸念されており、近年は、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)、REACH規制提案をはじめとする国際的な枠組みに基づき、製造・使用・輸出入の制限提案の検討が進められています。加えて、各国で飲料水や環境中の濃度基準も導入されており、今後さらなる規制の強化が見込まれます。
 現在、活性炭処理、イオン交換処理、RO膜処理などのPFAS除去技術や、高温焼却による分解処理が実用化されていますが、前者ではPFASを含む残渣の処理が課題となり、後者では高エネルギー消費によるコスト増が問題となっています。しかし、半導体製造分野のようにPFASの代替が困難な分野も存在することから、高い分解性能と経済性を兼ね備えた、実効的なPFAS分解・無害化技術の開発が強く求められています。

 本ユニットでは、半導体製造分野やフッ素化学製品製造分野等で発生するPFAS含有RO濃縮水の完全無害化を達成するために、①水中の共存物の前処理技術、②PFASの吸着技術、③プラズマを用いたPFAS分解技術、④処理水のPFAS濃度の迅速測定技術を組み合わせた「PFAS自己濃縮型回転円板プラズマ分解装置・検出装置」を開発します。中央大学は、本研究を統括すると共に、イオン交換やRO膜によるPFAS処理や水処理における吸着メカニズム解明で培った技術と経験を活かして、②PFAS濃縮技術の開発、③のプラズマ処理リアクター開発を行います。

 今後3年間で要素技術開発を進め、その後はシステム最適化、実証フェーズと順にスケールアップしながら開発を進めていく予定です。PFAS分解後のフッ素を回収するケミカルリサイクルの実現も視野に、産学共同での取組みを推進していきます。

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