概要 |
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海外では、学術研究目的のために、公的統計だけでなく、行政記録情報を含む公的な大規模データの利活用が進められてきた。各種の社会人口的属性や経済的属性を包含する公的な大規模データと医療・健康・福祉等の他分野のミクロデータとのリンケージが行われることによって、リンケージデータの広範な利活用が展開されている。 本研究ユニットは、わが国の公的な大規模データを主たる研究対象とした上で、リンケージされた大規模データの利用可能性と秘匿措置を方法的に探究することである。そのため本研究では、リンケージデータの安全な利用方法についても考慮した上で、公的統計ミクロデータを中心としたデータリンケージの方法論を追究するだけでなく、リンケージデータを対象にした有用性と安全性に関する定量的な評価を行う。 具体的には、共通の直接識別子やIDを用いたレコード同士の完全照合(exact matching)とは異なる、統計的照合(statistical matching)の手法も用いることによって、リンケージの可能性を追究するだけでなく、リンケージデータの有用性に関する検証を行う。また、機械学習によるアプローチも含めた形で、リンケージデータを用いた実証研究のさらなる可能性を探究する。さらに、リンケージデータの安全な利活用を可能にするための法制度的措置と技術的な措置を検討した上で、安全な利活用に関する各種の実証実験を行うことによって、リンケージされた大規模データを対象にした安全性の評価方法の確立を目指す。 |