「安全」と「安心」は、前者は客観的側面が強く、後者は主観的側面が強いという違いがあるものの、相互に関連するものであって、「安全であるが不安である」、「危険であるが安心である」、「危険であり不安である」といういずれの状態も望ましいものではなく、社会発展の基盤として「安全であり安心である」という状態を維持することが、極めて重要な課題となる。 今日の社会は、国境を越える極めて複雑な分業とネットワークによって構成されており、これを「安全であり安心である」という状態で維持するためには、分業とネットワークを構成する個別の要素分析に加えて、ネットワーキングの状態そのものに係る分析を起点とする総合的検討が必要であり、これを行いうるシンクタンクの形成及びその前提としてのシンクタンク機能の育成は、喫緊の課題と理解されるところである。 このような背景で、今般内閣府は、安全・安心について調査研究するシンクタンクを設立すべく、その設立準備作業を委託事業として構築し、本学は二つの事業について委託事業者として決定された。 この委託事業決定を承けて、本ユニットにおいては、シンクタンク機能育成に必要な①国内需要動向調査を行い、更に、国内需要動向調査、及び、本学とは別機関が担当するシンクタンク育成事業に関する②国内外の技術動向調査、➂国際政策動向・情勢分析を踏まえた上で、シンクタンク機能育成に必要な④統合需要分析及び政策提言を行うことを目的とする。