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2018年04月17日

公開研究会「トランプの乱とアメリカの衰退」開催報告(社会科学研究所)

2018年3月29日(木)、中央大学駿河台記念館310号室にて、下記の公開研究会を開催しました。

 

【テーマ】 トランプの乱とアメリカの衰退ー文明の転換期にみる危機の時代ー

【講 師】 川上 高司 氏(拓殖大学海外事情研究所長)

【日 時】 2018年3月29日(木)16:00~18:00

【場 所】 中央大学 駿河記念館310号室

【主 催】 社会科学研究所 研究チーム「国際関係の理論と実際」

 

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【要 旨】

 最初に、政治地理学の視点から、ボーダーランドという概念を提示し、境界に跨る地域を総称する言葉であるという説明があった。歴史的には、17世紀の主権国家を境界付けるウェストファリア的な主権について触れ、主権国家の確定と領土の再編成を、ボーダーリーションとリボーダーリゼーションという概念で説明した。

 ボーダースタディーズの分析的な手段としては、透過性(permeability)という概念が提示された。この概念は、国境という境界を前提としつつも、米墨国境や西欧のシェンゲン協定のように境界を越えて行き来できる可能性を示唆するものであり、境界を分析するうえでの有効なものであるとした。たとえばメキシコとグアテマラのある国境地帯は透過性が100パーセントのところが存在する。旧ソ連とキューバとの関係にも透過性がみられた。

 海洋の境界の問題は複雑であり、陸地と違い可視的ではないところに特徴があり、また共に利用することができる点にも特徴がある。これは特に排他的経済水域ではなくて、その周辺の共同水域(公海)である。それだけでなく日韓で問題となっている竹島(独島)周辺、尖閣諸島周辺も境界が実質的に曖昧となっている点を指摘した。

 報告者は研究対象の1つでもある北方領土問題にも言及し、国境の正当性問題から千島列島あるいはクリル列島の問題を取り上げた。千島列島は地理的に南北千島に分かれるが、南千島がいわゆる北方四島であるが、国境という点からみてサハリンもまたこの地域の境界地域に属しており、タイムラインという視点で考察する必要があると説明された。最後に、国境をめぐってはボーダーツーリズムの必要性を主張した。

(主催チーム記)