Eventイベント

社会科学研究所

公開研究会開催のお知らせ(「文化現象の政治的、歴史的、法的分析:学際的挑戦」チーム)

日程
2025年2月27日(木)14:00~17:00
場所
茗荷谷キャンパス 3階3E03教室と オンライン会議システム(Webex)によるハイブリッド形式
日程
2025年2月27日(木)14:00~17:00
場所
茗荷谷キャンパス 3階3E03教室と オンライン会議システム(Webex)によるハイブリッド形式
内容

報告者1   稲木 徹 客員研究員(韶関学院⦅中国⦆外籍教師)

 

テーマ     「宗教の自由の制限と職場の内部規則」

 

報告要旨     日本でも、外国出身者の増加に伴い、文化的要望に対応する必要が増えてきた。近年、職場でのヒジャブの着用を許可する例も出てきた一方、脱ぐことを強制したり、着用しないことを採用の条件にしたりする例もあるようである。本報告では、職場の内部規則による宗教的標章の着用の禁止について判断された欧州司法裁判所、欧州人権裁判所、自由権規約委員会の事例を紹介しながら、この問題について考えたい。

 欧州司法裁判所は、民間事業者(子どもデイケアセンターを含む)および自治体によるヒジャブの着用の制限について先決裁定が求められた。前者では顧客に対する中立的イメージの提示(親や子どもに対する中立方針の追求)および事業所における社会的対立の防止、後者では完全に中立的な行政環境の確保が正当な目的とされた一方、真の必要性が証明されること、方針が一貫的かつ体系的な形で真に追求されていること、十分に具体的なリスクが証明されること、厳密に必要な制限に限定されていることなどを条件とするという判断が示されてきた。

 欧州人権裁判所では、民間企業のスタッフおよび国立病院の看護師による十字架の着用の制限が問題となった。前者は企業イメージの投影、後者は病棟における健康および安全の保護が正当な目的とされた一方、前者については十字架が控えめであり、企業イメージに影響を与えないことなどから、公正なバランスがとれていないとされ、宗教の自由の侵害が認められた。自由権規約委員会では、民間保育所の内部規則によるヒジャブの着用の制限が問題となった。子どもと親の基本的な権利及び自由の保護が正当な目的とされた一方、ヒジャブの着用がこの目的を侵害するという十分な根拠が示されていない等の理由から、目的に比例した措置ではないとして、条約違反が認められた。

この問題については、例外を認める余地や使用者と被用者の間の対話の有無に差が見られたり、宗教的標章を禁じる効果をもつ内部規則が組織の設立目的から導かれるかどうかや「中立」をめぐる様々な考えも議論されたりしている。

多文化共生社会と言われる日本で多文化の表明を職場においても積極的に認めていくかは大事な問題であり、日本はいかなる社会(であるべき)かという問いも避けられない。少なくとも、制限が問題となる場合、使用者と被用者の間で十分な対話が図られることが必要だと思われる。

 

 

報告者2   竹内 雅俊 客員研究員(東洋学園大学准教授)

 

テーマ    「『やさしい日本語』と国民保護法制:地方自治体の責任を事例として」

 

報告要旨   近年の日本の社会状況と多文化共生の理念を実現するツールとして行政において「やさしい日本語」が1995年以降注目されてきた。「やさしい日本語(Easy Japanese)」は、主に非母語話者(マイノリティ)に対して災害情報などを伝える手段として言語学者を中心に発達してきた。また、「やさしい日本語」には非専門家に対して複雑な文章を平易に伝える技術(Plain Japanese)という意味合いも国際的な文脈から付与され、区別されて活用されつつある。やさしい日本語は、これまで英語や多言語化を中心に進めてきた行政サービスに新たな方向性を与えつつある。

 これまで東洋学園大学で筆者が参加している研究チームでは、観光と学内文書(履修要綱)の「日本語から日本語」への翻訳を行ってきた。本報告では、一部行政事業に限定されてきた「やさしい日本語」のプロジェクトの法分野への適用を検討する。その意味で法令文の「難しさ」を特定し、非専門家/非母語話者を想定した、法令文をPJ/EJに翻訳するためのモデルを提案する。事例として、地方自治体の国民保護法上の義務と国民保護法第81条を取り上げる。

 


【参加方法】

ご希望の方は、以下のGoogleフォームよりお申込みください。

  申込フォーム

 

【申込締切日】2月26日(水)正午

URLを開く際、ブラウザはGoogle chromeをご使用ください。

※開催案内は幹事よりご登録メールにお送りいたします。

※ご入力いただいた個人情報は、研究会以外の目的では使用いたしません。

【注意事項】
<オンライン参加の注意事項>
・参加にはアプリのダウンロードが必要になります。
・レクチャー中の録音・録画はお控えください。
・オンライン会議に関するお問合せは幹事までお願いします。
 事務室では対応いたしかねますのでご了承ください。
<対面参加の注意事項>
・構内でのマスクの着用については個人の判断に委ねることが基本となりますが、3密を回避できない場合はマスクの着用を推奨します。
・手洗い手指消毒などの基本的な感染防止対策にご協力ください。    

 

参加費

無料

企画実施名義

主催 中央大学社会科学研究所
「文化現象の政治的、歴史的、法的分析:学際的挑戦」チーム(幹事:西海 真樹)