人文科学研究所29.ツァロートの道 ユダヤ歴史・文化研究

(表紙カバーより)
オットー・ウンガー(Otto Ungar)『劇場(Das Theater)』
ウンガー(1901-1945)はブルノ(チェコ、当時はオーストリア)生まれのユダヤ人。1942年、ナチス・ドイツのプロバガンダを目的とした強制収容所「テレージエンシュタット・ゲットー」に移送される。そこでは、SSの監視下、囚人に対して異様な「自由」が許容され、さまざまな文化的活動が行われていた。この絵もそうした日常の光景を描いたものである。ウンガー自身は、その後アウシュヴィッツを経てブーヘンヴァルトへ移送され、1945年4月に衰弱状態で解放の時を迎えたが、その後わずか3ヵ月後に世を去った。

2002年3月30日発行
中央大学人文科学研究所 編 中央大学出版部発行
本体価格5,700円(税別)
ISBN 4-8057-4207-0
(A5判496頁)

まえがき  
第一部 啓蒙の可能性  
モーゼス・メンデルスゾーン?啓蒙されたモーセ 平山 令二
   一 その生涯  
   二 ラーヴァターとの論争  
   三 マナッセー・ベン・イスラエル『ユダヤ人の救済』の「序文」  
   四 『エルサレム』  
   五 『ユダヤの儀礼法』とユダヤ人の宣誓の改革  
   おわりに  
十八世紀ドイツにおけるユダヤ人像の変容 飯森 伸哉
   序    
   一 新しいユダヤ人像?レッシングの戯曲『ユダヤ人』について  
   二 レッシングと啓示宗教  
   三 ユダヤ教徒とキリスト教徒の交流?モーゼス・メンデルスゾーンの例  
   四 ユダヤ人解放前史?クリスティアン・ヴィルヘルム・フォン・ドームについて  
   五 ユダヤ教とキリスト教の共生?ユダヤ人サロンについて  
   結語    
いとも幸福な出会い?ジャン・パウルとユダヤへの小さな散歩 飯塚 公夫
   一 ユダヤ人のジャン・パウル  
   二 ジャン・パウルのユダヤ人  
第二部 繰り返される試練  
異教的反ユダヤ主義?L・クラーゲスの思想と反ユダヤ主義 田島 正行
   一 問題の所在  
   二 クラーゲスの反ユダヤ主義資料  
   三 クラーゲスの根本思想と反ユダヤ主義  
   四 「自己憎悪」としての反ユダヤ主義  
ナチ体制下の反ユダヤ主義 ?立法政策を中心として 白根澤 正士
   はじめに  
   一 匕首伝説とワイマール共和制の崩壊  
   二 ナチ体制の反ユダヤ主義政策  
   おわりに  
ソビエト・イディッシュの運命?1920年代ソビエトの現場から 高尾 千津子
   一 ユダヤ人とことば  
   二 ユダヤ人コムニストたち  
   三 ロシア語とのバイリンガリズム  
   四 コレニザーツィヤとユダヤ人  
   五 インターナショナルな言語  
   六 「祖国ソ連」の求心力  
   おわりに  
第三部 内なるツァロート(苦難)  
カール・クラウスにおける「ユダヤ性」
?ディアスポラ・アイデンティティの戦略としての諷刺パフォーマンス
河野 英二
   一 選び直された同化志向  
   二 アウトサイダーとしての諷刺家  
   三 「ユダヤ性」への回帰  
   四 パフォーマンスとディアスポラ・アイデンティティ  
ヨーゼフ・ロートの手紙?シュテファン・ツヴァイクにかかわらせて 相馬 久康
   一 書簡集を再読して  
   二 「ユダヤとドイツのはざまで」  
   三 鎮魂のアムビヴァレンツ  
   四 「僕のこと、ヨッセル・ロート」  
二人のユダヤ人作家?フランツ・カフカとヘルマン・ブロッホ 入野田 眞右
   一 ヘルマン・ブロッホにとってのカフカ  
   二 ユダヤ人作家としてのブロッホ  
   三 ユダヤ人作家としてのカフカ  
   四 ギュンター・アンダースの見たカフカ  
   むすび  
アメリーを読むツェラーン 北 彰
   一 ユダヤ人であることの強制  
   二 ツェラーンの場合  
   三 破局に瀕しているユダヤ人  
   四 「悲惨」の語源としての「追放」、あるいは「亡命」  
   五 「絶対的亡命」あるいは「普遍という荒野」  
第四部 表現の模索  
イディッシュの結婚式におけるクレズマ楽士 牧野ウーヴェ
マルク・シャガール ?シュテトルに育まれた絵画 伏谷 幸子
   はじめに  
   一 シュテトル  
   二 イディッシュ語と民話とシャガール  
   三 愛と花束  
   四 ハシディスムと旧約聖書  
   五 『ノアの箱舟』と『戦争』  
   おわりに  
ヴィクトル・ウルマンとテレージエンシュタット?あるいは、収容所のなかの「死の舞踏」 小林 正幸
   一 テレージエンシュタット  
   二 収容所の音楽家たち  
   三 プラハからテレージエンシュタットへ  
   四 オペラ『アトランティスの皇帝?あるいは死神の拒絶』  
ルイス・モロー・ゴッチョーク?アメリカのユダヤ/クレオール系作曲家 黒田 晴之
   一 ポピュラー音楽からゴッチョークへ  
   二 ゴッチョークのフットワーク  
   三 ケイブルとハーンの「バンブーラ」をめぐる動き  
   四 「アメリカの作曲家」としてのゴッチョーク  
第五部 ヘブライ語  
ヘブライ語関係詞の推移について 植田 兼義
人名索引