人文科学研究所18.英国ルネサンスの演劇と文化

(カバーより)
表紙の絵は、無名の画家によるエリザベスー世42歳の折の半身像。最も油の乗っていた時期である。ロジャー・アスカムを師と仰ぐヒューマニスト(人文主義者)でもあった女王らしい、意志の強さと気品をただよわす。その女王はまた大の芝居好きで、独り芝居お得意の天才的道化役者ウィリアム・ケンプも、しばしば女王の前で演じたひとりである。彼はシェイクスピアの劇団を退団した直後の1600年、ロンドンからノリッジまでの9日間の旅程を、モリス踊りをおどりながら歩きとおし喝釆を浴びた。裏表紙木版画はその折の光景、彼の著書の扉を飾る。
By the courtesy of National Portrait Gallery,London,and Bodleian Library,Oxford(from 4°L.62.Art).

1998年3月31日発行
中央大学人文科学研究所 編 中央大学出版部発行
本体価格5,000円(税別)
ISBN 4-8057-5313-7
(A5判466頁)

第一部 英国ルネサンス演劇の諸相  
1 バスタードとフォールスタッフの誕生-エリザベス朝喜劇構造試論 百瀬 泉
  Ⅰはじめに?ネオ・プラトニズム哲学とその変容をめぐって  
  Ⅱプラウトゥス喜劇の土着化  
  Ⅲアッティカ古喜劇とママーズ・プレイ  
  Ⅳ道化二類型の渾融と歴史ヴィジョン  
2 受難劇から美徳劇へ-チューダー朝ドメスティック・ドラマの誕生 奥田 宏子
  はじめに  
  Ⅰ受難劇と美徳劇  
  Ⅱルネサンスの女性観  
  Ⅲ家庭劇の誕生  
  Ⅳ貞操と勤勉  
  おわりに -喜劇としての美徳劇  
3 エリザベス一世の結婚問題とシェイクスピア喜劇 川地 美子
  はじめに  
  Ⅰエリザベス一世の結婚問題  
  Ⅱシェイクスピア喜劇における求婚のテーマ  
     (1)『恋の骨折り損』  
     (2)『夏の夜の夢』と『ヴェニスの商人』  
  おわりに  
4 『尺には尺を』と新約倫理の問題再考-神の法から自然の法へ 青木 和夫
  Ⅰ審きの不可能性  
  Ⅱ二王国論  
  Ⅲ絶対王権  
  Ⅳ自然法  
  Ⅴ応報原理  
5 シェイクスピア思想研究に関する基礎考察
-ヨーロッパ中世とイギリス・ルネサンスとの脈絡を中心として
小山 郁夫
  Ⅰ導入???多面的な問題意識の共有に向けて  
     (1)全体論の可能性について  
    (2)全体論の意義と方法論の問題  
     (3)日本語、「世間」、日欧比較思想の問題  
  Ⅱシェイクスピアにおける「未完成の完成」の哲学の概念
-シェイクスピアの「歴史性」における「法」と「敗れる者」
第二部 英国ルネサンスの文化と社会  
6 法学院とエリザベス朝の文化-ジョン・マニンガムの「日記」を読む 上坪 正徳
  Ⅰ法学院生ジョン・マニンガム  
  Ⅱマニンガムの「日記」  
     (1)クラブとしての法学院  
     (2)祝祭と仮面劇  
     (3)シェイクスピアと法学院  
     (4)エリザベス一世の死  
  Ⅲジェントルマンの「アカデミー」の伝統  
7 古文書と物語 或る旅廻り一座の記録 竹中 昌宏
  Ⅰ『聖クリストファー』  
  Ⅱサー・ジョン・ヨーク裁判  
  Ⅲ『マイケルとフランセス』  
  Ⅳヨークシャーの『リア王』上演  
8 初期近代の旅行記における食人言説 本橋 哲也
  Ⅰコロンブス的発見  
  Ⅱローリー的領有  
  Ⅲスウィフト的転覆  
  Ⅳモンテーニュ的結語  
9 狩猟・鷹狩と音楽?その文化的一考察 富永 道夫
  Ⅰプロローグ  
  Ⅱ猟犬と音楽  
     (1)概観  
     (2)猟犬と音楽  
     (3)角笛と狩の歌  
     (4)ハンツ・アップ(朝の歌)  
  Ⅲ鷹狩と音楽  
     (1)鷹狩の文化史的概観  
     (2)鷹狩と音楽  
  Ⅳ補論?日英文化交流史の一側面  
  Ⅴエピローグ  
10 驚異拾遺?17世紀イングランドにおけるいくつかの形態のコレクションをめぐって 秋山 嘉
  Ⅰコレクションの移譲、または事の次第  
  Ⅱトラデスカントの箱(アーク)、または驚異という物語  
  Ⅲ好奇心の解放、自由としての所有?コレクションについての巡礼の旅  
  Ⅳアシュモール再び、または未編集(ラフ・カット)版収集の近現代史  
  Ⅴ懐に吹き入る風のそよぎ?驚異目録・古物研究・コモンプレイスブック  
索 引