人文科学研究所17.ヴィジョンと現実 十九世紀英国の詩と批評

(表紙カバーより)
表紙の絵はバーン=ジョ?ンズの「青銅の塔内のダナエ」(部分)、ダナエはその産む子が祖父を殺すという神託を得た父によって、男を近づけぬよう塔内に幽閉されたが、神が黄金の雨となって侵入し彼女を懐胎させる。絵ではダナエが輝く外界を眺めている。直接的には抑圧された女のセクシュアリティを表現しているとは言える。だがこの絵はより象徴的に、自己の限界の外に飛翔する精神、時代の制約に繋がれてその彼方を見やる心,個人の心に溢れる願望と、不条理に進む外界の現実の対置、障壁を越えて人の希求を結実させる時代の必然?その他多くの ロマン派的、ヴィクトリア朝的寓意をも今日では感じさせる。

1997年3月31日発行
中央大学人文科学研究所 編 中央大学出版部発行
本体価格6,800円(税別)
ISBN 4-8057-5312-9
(A5判688頁)

第一部 口マン主義の時代  
ロバート・バーンズとイギリス・ロマン派 岡地 嶺
『隠者』の構想 川口 紘明
「近代」イギリス詩人と文化論-S.T.コゥルリッジの場合 松本 啓
コゥルリッジの批評とその後-哲学的詩人と「感性の分離」 原 孝一郎
ハズリットの批評と想像力の共感作用 上坪 正徳
永遠なる希求 坂川 雅子
第二部 ヴィクトリア時代  
女性は子供から生まれる?
—エリザベス・バレット・ブラウニングの人生と文学への挑戦
井上 美沙子
初期ヴィクトリア朝詩人の世界観と詩法管見
—ブラウニング、テニスン、アン・ブロンテ、アーノルド
森松 健介
テニスンの 'process of speech'—『国王牧歌』の言語宇宙 里麻 静夫
マシュー・アーノルドの転換期 中川 敏
ⅩⅠ マシュー・アーノルドの悲劇感覚—その目覚めの頃の作品について 兵藤 雅子
ⅩⅡ 幻想の都市彷徨—ジェイムズ・トムソン(B・V)『恐ろしき夜の都市』 笠原 順路
ⅩIII 虚と実の間-スウィンバーンの詩 土屋 繁子