Eventイベント

人文科学研究所

人文科学研究所主催公開研究会開催のお知らせ(「リアリティの哲学」チーム)

日程
2019年11月30日(土)13:00~17:00
場所
多摩キャンパス 2号館4階研究所会議室1
日程
2019年11月30日(土)13:00~17:00
場所
多摩キャンパス 2号館4階研究所会議室1
内容

テーマ:生の無形式性と形式の物象性:ルカーチにおけるリアリティの問題

報告名:秋元 由裕 氏 (独立行政法人日本学術振興会特別研究員PD)

 

要旨:

 ヘーゲル死後、「理性」と「現実」との絶対的なものにおける統一という思想は自明性を失っていった。人文主義的伝統の凋落とも相まって、一九世紀後半以降のドイツ語圏は「幻想喪失」(プレスナー)の時代に入る。その只中で、従来の観念論によっては把握され得ないリアリティを追求する動向が、「生の哲学」の名の下に成立した。生の哲学は、瞬間的で移ろいゆく個体的なものに対する感受性を喚起してモダニズムの美学を準備する一方、左右両翼にわたる政治的ロマン主義の下地ともなる。これに対し、生の哲学から出発しながら生の哲学に対する批判者として自らの思想を形成したのがルカーチ・ジェルジュ(1885-1971)だった。本報告はルカーチの初期美学を題材とし、そこでの「現実性」概念の諸相を分析することによって、リアリティをめぐる思想史の一断面を示すことを目的とする。

 

テーマ:汎心論的実在観の諸相――W・K・クリフォード、W・ジェイムズ、G・ストローソン――

報告者:大厩 諒 客員研究員(中央大学文学部兼任講師)

 

要旨:

 2000年代以降、汎心論が心の哲学において盛んに議論されている。この立場は、あらゆる存在者が心的性格を持つとする立場であり、消去主義、還元主義、創発主義といった従来の物理主義のいずれにも与せず、意識や経験を自然主義的に説明する思考の枠組みとして注目を集めている。他方で、汎心論的な特徴を持つ思想は、西洋哲学の歴史のなかにつねに存在していた。とりわけ19世紀後半から20世紀初頭にかけて、実在の本性をめぐる形而上学的議論のなかで汎心論が繰り返し論じられた。本報告では、汎心論とはどのような立場であるかを瞥見したうえで、世紀転換期の代表的な汎心論者であるW・K・クリフォードと、汎心論に強く惹かれつづけたW・ジェイムズ、最後に現代の汎心論の牽引役であるG・ストローソンの議論を検討する。

                                         以 上

企画実施名義

人文科学研究所研究会チーム「リアリティの哲学」