Eventイベント
人文科学研究所
人文科学研究所公開研究会のお知らせ
- 日程
- 2013年11月30日(土) 14時~17時
- 場所
- 多摩キャンパス 3号館9F 3913号室
- 日程
- 2013年11月30日(土) 14時~17時
- 場所
- 多摩キャンパス 3号館9F 3913号室
- 講師
- ①柏野 牧夫 氏 (NTTコミュニケーション科学基礎研究所上席特別研究員・人間情報研究部 部長) ② 軍司 敦子 氏 (国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所)
- 内容
- テーマ:①「成人高機能自閉症スペクトラムにおける基礎的聴覚機能の特異的欠損」 要 旨:①自閉症スペクトラム障害(ASD)の当事者の中には、純音聴力に問題がないにもかかわらず、複数の音が同時に存在するような状況では所望の音を聞き取ることが困難であると訴える人がしばしばいる。この原因を突き止めるため、我々は、成人ASD当事者の基礎的聴覚機能(周波数分解能、時間分解能、両耳機能など)を心理物理学的実験によって多角的かつ詳細に測定し、対照群と比較した。その結果、ASD群の一部には、感音性難聴や加齢効果とは異なる、きわめて特徴的な機能欠損が見られた。具体的には、音響信号波形の時間微細構造に基づく音の高さの弁別や、両耳間時間差に基づく音の空間定位の弁別の成績などが特異的に低下していた。これらの機能は、複数音源を分離して特定の対象を選択的に聴取するうえで重要な役割を果たすものであり、聴覚系の比較的低次の、脳幹の神経核(上オリーブ核など)で処理されることが知られている。解剖学的知見も考慮すると、ASDにおいては、先天的な脳幹の機能不全が基礎的聴覚機能の欠損を引き起こし、円滑な音声コミュニケーションの発達を阻害したのではないかという仮説が浮上してくる。脳幹の機能不全という観点から、ASDにおける感覚系や運動系の様々な問題を統一的に理解できるかもしれない。さらに、感覚系や運動系の基礎特性に基づくASDの客観的かつ早期のスクリーニングの可能性も拓けてくる。 テーマ:②「音声コミュニケーションを支える認知の発達と障害」 要 旨:②発達障害児にしばしば認められる対人関係のつまずきは,社会性認知に基づく障害との関連が指摘されつつある.しかし,その病態の個人差は著しいため,支援ニーズを実質的に満たすためには,それぞれの認知についての詳細な状態把握が必要となる.そこで私たちは,彼らの社会性認知の状態を客観的に評価するため,神経生理学的検査による指標作成に取り組んできた.本日は,音声コミュニケーションに関連する認知に焦点を絞り,自閉症スペクトラム児にみられる行動や脳機能のデータを紹介する。 主催:研究チーム「視覚と認知の発達」