インターナショナル・ウィーク【テーマ4】世界に冠たるドイツ音楽とその背景

『指揮者フルトヴェングラーとドイツのクラシック音楽』

上映会:7月 5日(木) 11:00-12:30(3354号室)

フルトヴェングラー指揮の『ドン・ジョヴァンニ』 ドイツのクラシック音楽と文化的記憶

ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(Wilhelm Furtwängler, 1886 - 1954)

ドイツ・ロマン派音楽の系譜にあるドイツの世界的指揮者。1922年にベルリン・フィルの常任指揮者に就任。ナチス政権時代にはドイツ国内に留まり、ナチスの文化政策やユダヤ人迫害に抵抗した。戦後はナチズムへの関与が問題視され、演奏活動を禁止されるが1947年から復帰。その後は再び、世界的指揮者としても名声を獲得した。曲目の独自の解釈による個性的な指揮と、情熱的な指揮法によって知られている。トスカニーニ、カラヤンとは終生のライバルであった。

資料:
戦争責任に関する終戦後の非ナチ化裁判におけるフルトヴェングラーの最終弁論 「私の考えによれば芸術は、政治や権力闘争とは無関係であり、民族間の憎悪から生まれ、こうした憎悪を生み出すものとはいっさい無関係です。芸術はこうした対立を超えたところに位置しているのです。人類は全体としてはひとつの共同体である、という考えから出発しするものがなければなりません。それを表現し、その存在を証明するのです。」
(訳:高橋慎也)
"Nach meiner Auffassung hat die Kunst nicht mit Politik, mit Machtpolitik, mit allen den Dingen, die dem Völkerhaß entspringen und ihn hervorbringen, zu tun. Sie steht über diesen Gegensätzen. Es muß Dinge geben, die von einer Gemeinschaft der Menschheit im ganzen ausgehen, sie darstellt, von ihr zeugt."

上映作品:

フルトヴェングラー指揮、ウィーン・フィルのモーツァルト『ドン・ジョヴァンニ』 (1954年ザルツブルク音楽祭)

『ドン・ジョヴァンニ』(Don Giovanni,1787、ロレンツォ・ダ・ポンテ脚本)

登場人物:
ドン・ジョヴァンニ(歌手:チェーザレ・シエピ):女たらしを生きがいとするプレーボーイの貴族。女たらしの果てに殺人を犯し、地獄に落ちる。
レポレッロ(歌手:オットー・エーデルマン):ドン・ジョヴァンニの従者。ドン・ジョヴァンニの悪行に呆れながらも、しぶしぶ付き従う。
ドンナ・アンナ(歌手:エリーザベト・グリュンマー):ドン・ジョヴァンニに誘惑される貴族の女性。彼に殺された父親の復讐を果たそうとする。
騎士長(歌手:デジェー・エルンシュテル):ドンナ・アンナの父。ドン・ジョヴァンニに殺され、亡霊となって悔悛を迫るが、それを拒んだドン・ジョヴァンニを地獄に落とす。
ドンナ・エルヴィーラ(歌手:リーザ・デラ・カーサ):ドン・ジョヴァンニに捨てられた娘。彼の改心を促そうとして、彼を追い求める。

ザルツブルク音楽祭(Salzburger Festspiele)

1920年発足の世界的な音楽祭。ザルツブルクはモーツァルト生誕の町。演出家のマックス・ラインハルト、作家のフーゴー・フォン・ホフマンスタールらの尽力によって発足。第一次世界大戦によるオーストリア・ハプスブルク帝国崩壊後のオーストリアの、国民的アンデンティティ形成に寄与する。例年、初日にはホフマンスタールの宗教劇『イェーダーマン(Jedermann)』が上演される。第二次世界大戦後は、指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤンの尽力によって世界的な音楽祭となる。オーストリアのソフトパワーとして重要な役割を演じてきた。また1955年にようやく国家主権を回復したオーストリアが、ヒットラーの母国でありナチズムを積極的に支持した、という歴史を相対化するという政治的機能も果たした。

文化的記憶(kulturelles Gedächtnis)

メディア(文字、画像、動画など)によって継承され、加工される記憶。数百年以上にわたって継承される長期的記憶。国民や民族といった共同体を形成し維持するために用いられる重要な記憶。文化学の領域ではアレイダ・アスマンの記憶論が、スタンダードな理論として定着している。

現代のドイツでは、ナチズムを直接体験した世代が亡くなりつつあるため、ナチズムの記憶をどう継承すべきが、ドイツの重要な国家的・国民的課題となっている。

ドイツ・リートの会「ことばとイメージと音楽と」

音楽会:6月23日(土) 16:00-18:00(Cスクエア)

授業でドイツ語の詩を読み、学生はそこから受けた印象や浮かんだ連想、自分の解釈を絵や写真などに視覚化し、さらに、同じ詩が有名な作曲家によって付曲されている、いわゆるドイツ・リートの生演奏を聴いて比較鑑賞する、そしてその体験を聴衆の方々にも共有して頂くというのが狙いの企画でした。小ホールは満員、学生の作品もAlexander Naji、大津亜矢子両氏の演奏も大好評でした。