学生相談室

学生の皆さんへ【2023学生相談室からのメッセージ Vol.1】

2023年05月22日

学生の皆さんへ

 

在学生の方々にとっては、これまで巣ごもりやマスク生活が普通でしたので、4月からの大学生活には戸惑っている人も少なくないと思います。それでもせっかくの学生生活なので、なんとか頑張ってきたのではないでしょうか。

 

そのような頑張りは、長続きが難しく、ちょうど今頃になると息切れし、大学に行きたくなくなったり、授業を欠席し始めた人もいるかもしれません。

 

このような経験は5月の連休明けの今頃の時期に多いため「五月病」とも呼ばれていますが、本当の病名ではありません。この頃に多くの人が経験するので、それを言い表すために作られたことばです。

 

少し古い新聞を見てみても「新入生の五月病」(1968年5月1日、朝日新聞)、「ふれあい恐怖、五月病に代わる大学生症候群」(1989年5月9日、朝日新聞)というように、今に始まった現象ではなく、皆さんのご両親やおじいさん・おばあさんの世代も経験してきたことなのです。

 

五月病はまた、大学生だけではなく、新入社員や職場を異動した方にもよくあることのようです。働いている人の場合は、職場への適応の問題や抑うつとして理解されることが多いようですが、大学生の場合は目標の喪失も影響しているようです。

 

大学に入ることが目標であったり、大学生活を送ることが目標であったりすると、それらが実現されることで、「自分が何者なのか、何をしたいのか分からない」状態となることがあります。

 

疲れてしまった場合には、休息やギアチェンジ(少しペースを落としてみること)もいいかもしれませんし、自分のペースを知る機会になったのではないでしょうか。また、悩んで立ち止まることに罪悪感があるかもしれませんが、立ち止まることは決して悪いことだけではありません。自分のことを見つめられるようになった、周囲のことを見渡せるようになった、という意味では成長の証でもありますし、これから先のステップへと向けたと準備期間とも言えます。

 

このように、この時期のヘトヘトやモヤモヤは、あなただけの経験ではなく、昔の人も、周囲の人も経験していることですし、成長の証でもあるのです。

 

文学部 心理学専攻   緑川 晶