学生相談室

学生の皆さんへ【2022学生相談室からのメッセージ Vol.1】

2022年04月01日

学生の皆さんへ

 

学生の皆さんへのメッセージを考える段になりまして、はたと考え込みました。今でも悩み事は多いのですが、学生時代には、出家でもしようかと思い詰めるほどの悩みを多く抱えていましたので、応援メッセージを送るに相応しいかどうか、迷いがありました。それでも、少しでも参考にしていただければと思い、自分自身の悩みとの付き合い方を紹介させていただくことにします。

 

 まずは、名前です。「のぶ」という名前が嫌で、同じ「のぶ」の付く織田信長に共感を覚え、強い信長にあやかることで、名前に対する引け目や弱い自分を克服しようと努めてきました。信長が好んだ『敦盛(幸若舞)』「人間五十年、下天の内を…」という1節を口ずさむことで、信長の心境になって世の中を考えることもありました。信長が亡くなった歳(48)を越え、50を過ぎてからは、ようやく名前に対する嫌悪感は薄れましたが、特定の人にあやかって、自分の弱みを克服しようとする試みは、未だに続いています。豊臣秀吉(同じ百姓出身)の歳を越えましたので、今では、徳川家康(同じ三河地方出身)を目指すようにしています。

 

 中学1年の授業中に、いきなり立たされて、「髪にポマード(整髪料)を付けている」と詰問されたことがありました。当時は、整髪料を付けている生徒が「不良」視されており、当の教員は、風紀担当として注意したのです。洗髪するシャンプーもない貧乏農家で育ちましたし、それまでは、脂性の髪を気にすることはありませんでした。しかし、その日を境に、早朝に石けんで洗髪してから学校に行くことになりました。その後、石けんはシャンプーに替わりましたが、以来50年以上も、毎朝の洗髪が習慣になっています。科学的な根拠は定かではありませんが、洗髪によって清潔さを保つとともにマッサージをした成果でしょうか、祖父と父の髪の薄さを知る中学の同級生から、「お前はハゲる」と言われて恐れていたものの、未だにその兆候がないのは、風紀担当教員のお蔭かもしれません。まさに、マイナスをプラスに転化する切っ掛けが与えられました。

 

子どもの頃からの悩みとして、人前で話す際に、あがって赤面することがありましたし、今でもその悩みがあります。子供心にも、できるだけ場数を踏めば、あがり症は克服できるかもしれないと思い、生徒会などへの立候補や人前に出る役割を積極的に担う努力をしてきました。しかし、未だに赤面症もあがり症も克服できていません。ただ、その付き合い方は、上手くなりました。学生時代に学んだ「対立物の統一(矛盾の運動)による発展」という弁証法的思考は、悩みという葛藤(対立物の統一)によって自分自身を成長させるというプラス思考として、自分を評価する方法に繋がりました。また、ドイツの地方都市を調査・研究対象とする関係で、10年前までは、調査地への移動はもっぱらレンタカーでした。あるとき、空港で予約したランクの車種が出払ったという理由で、同じ料金で2ランク上の高級ベンツに乗ることになり、アウトバーン(ドイツの高速道路)を時速200キロ走行して得た「スピードを出せば出すほど、沈み込んで安定化する」という体感から、「緊張してあがればあがるほど、落ち着いて安定化する」境地を目指すようになりました。

 

悩み事は、千差万別ですし、その解消方法も、千差万別かもしれません。学生時代に、学生相談室を訪ねていれば、こうも七転八倒する人生になっていなかったかもしれないと思うこともあります。学生相談室は、敷居がありませんし、専門カウンセラーや専門医と相談することができます。気軽に学生相談室を利用していただければと思います。

 

学生相談室長:鳥居伸好(学生総合支援担当副学長)