ナオト・インティライミ
1979年三重県生まれ。2002年中央大学文学部社会学科社会学コース(現:人文社会学科社会学専攻)卒業。中学時代から曲作りを始め、中央大学附属高等学校在学中に柏市内でストリートライブを行う。2001年、中央大学在学中に「なおと」でメジャーデビュー。2003年8月~2004年末、世界一周の旅へ出る。2005年4月~「ナオト・インティライミ」の名前で活動開始。2010年4月ユニバーサルシグマからメジャーデビュー。
大学を一つの社会に見立て、自分の音楽の宣伝活動に励んだ4年間。
ナオト・インティライミ
抱いた興味を掘り下げたくて文学部社会学科に入学。
私が文学部社会学科(現:人文社会学科)を専攻したのは、「自分が興味を持ったことを深く掘り下げてみたい」と思ったからでした。ある意味、今も毎日社会学に取り組んでいるようなものです。人や出来事、あるいは歴史や文化といった、自分が興味のある対象にアプローチしていくことで自分の世界が広がり、それが曲作りにもつながっています。
ミュージシャンだからといって音楽だけをやっていれば良い曲が作れるわけではありません。いろいろな物を見て、いろいろなことを感じてこそ初めて曲や歌詞が書けるようになり、そうして作ったものを、いろいろな感情表現で歌ってこそシンガーと言えるのです。学生時代に社会学という学問と出会い、自分の関心事を掘り下げる習慣を身に付けられたことは本当に良かったと思っています。

「つまり、出会いだ!」
人間関係を育んだ大学生活。
中央大学で軽音楽とサッカーの同好会に入っていた私は、学部を越えた友人もたくさんできました。昼休みに文学部棟から学食に行こうとすると、次から次に友人が声をかけてきて、立ち話が弾んで学食までたどり着けないのです。そのうちに始業のチャイムが鳴り、結局パンを買って文学部棟まで走って帰ることが日常茶飯事でした。
授業がない時は、自分が作った音楽を友人に聞いてもらい、デモテープを売り、ライブの勧誘もしました。学内のどこにチラシを張れば人に見てもらえるのかも常に考えていました。中央大学を一つの社会に見立てて、そこでどうやったら自分の曲を人に聞いてもらえるのか、自分の存在を知ってもらえるのかをいつも考えていた4年間でした。
そんな私の宣伝活動に協力してくれた友人や、サッカー同好会の仲間たちとは今も交流が続いています。同好会の先輩は一生先輩ですし、私のライブにダメ出しをしてくれる仲間もいます。そうした関係が私にはとても心地良く、またありがたいとも感じています。そう言えば、学生時代の私は「つまり、出会いだ!」とよく言っていました。嬉しい時も、落ち込む時も、相手があってのこと。要は「人」じゃないですか。中央大学は人間関係を育んだ場所でもあり、すべてはこの言葉に集約されていたと思います。

3つの目的を果たすために世界一周の旅へ。
世界中を旅した経験もまた、私にとって大きな財産となっています。中央大学在学中、20歳の時、初めての海外経験となったアメリカに行ってから、続けてタイ、ケニア、ブラジルとそれぞれ1カ月単位で一人旅をしました。その後、28カ国を515日かけて世界一周の旅をしたのは、大学を卒業して2年目のことでした。
すでにその頃はプロデビューを果たしていましたが、なかなか思うようにいかず挫折を感じていた時でもありました。仕事がうまくいかないのは自分に力がないからだと思い、人間的なパワーアップと世界中の音楽を感じること、そしていつかワールドツアーをする時のために語学を学ぶこと、これら3つの目的を引っさげて旅立ちました。すると、キューバでは90歳のおじいちゃんがストリートで歌っていますし、どこに行っても、お金や物はなくても歌はあるという世界が広がっていたのです。世界一周の旅で培った精神的なタフさが、その後の音楽活動の支えになったことは言うまでもありません。

就職活動は大学入学の日からすでに始まっている。
皆で一緒に物事を進めていく小中高校時代とは違い、大学は「個人戦」です。自分で時間割を組んで、授業の合間や放課後の過ごし方を決め、誰と付き合い、どこでプライベートな時間を過ごすのかもすべて個人の自由です。そこで日々の生活が面白くないと感じたら自分のせいですし、面白いと感じれば自分のおかげです。
そして将来について考える時間もたくさんあります。幸いにして私は、中学生の頃から曲作りに目覚め、大学に入った時にはすでに自分で作ったCDを友人に売り歩くなどして自分の夢を叶えるための準備をしていました。周りの人たちがスーツを着始めた時に初めて自分の将来を考える人が多いですが、これから先何十年もある人生を、付け焼刃で慌てて決めるなんて、そんな怖いことはないと思うのです。
大切なのは、自分は「何がしたいのか」と「何ができるのか」の2つをしっかりと把握しておくことです。この2つは必ずしも一致するものではありませんが、だからこそ大学時代に自分自身としっかり対峙しておくべきだと思います。就職活動はスーツを着て説明会に行き、面接を受けることではありません。就職活動は入学式の日から始まっているのだと思って大学生活を送って欲しいと思います。そうでなければ、せっかくの4年間が無駄になってしまいます。
自然に囲まれた中央大学は、何と言っても空気がいいし、気取らない雰囲気が私はとても好きでした。情報の宝庫と言える中央図書館ではいつも落ち着いて勉強することができましたし、和洋中の味が楽しめるヒルトップ’78に、私もどれだけ通ったことでしょう。皆さんも、他の大学にはない魅力的な環境の中で多くの友人とかけがえのない時間を過ごしながら、それぞれの夢や目的に向かって羽ばたいてほしいと思います。
ナオト・インティライミを知る
ナオト・インティライミの軌跡
シンガーソングライターのナオト・インティライミは、音楽以外でも国内外で活躍している。2014年はFIFAワールドカップブラジル大会関連番組に多数出演。「ナオト・インティライミLIVEキャラバン2014-15」では全国9カ所、15公演で17万人を動員。2015年1月17日全国ロードショー公開された映画「神様はバリにいる」では念願の役者デビューも果たす。1カ月に及ぶバリでのロケでは、共演者の堤真一、尾野真千子らと寝食を共にし、緊張とプレッシャーを感じながらも開放感あふれる環境の中で楽しく演技ができたと言う。「これからも芝居の勉強をして、チャンスがあればいろいろな役に挑戦していきたい」(ナオト)
自らのアイデンティティーを大切にした音楽
日本人ならではのJ-POP、しかし世界を旅していなければ生み出せない音楽こそが自らのアイデンティティーだと語るナオト・インティライミ。例えば、インド発祥のカレーやイタリア発祥のパスタが日本のオリジナルとしてアレンジされている日本食のように、ジャマイカのレゲエも、南米のラテン音楽も、全て自分のフィルターにかけて「ナオト流」に表現していきたいと意欲を燃やす。