ビジネススクール

知識創造戦略論にてエーザイ株式会社ナレッジクリエーション・フェロー高山千弘氏による講演を実施

2023年01月26日

●概要
2022年12月17日(土)、中央大学ビジネススクール(CBS)MBAプログラム発展科目「知識創造戦略論」(担当:遠山亮子教授)において、エーザイ株式会社ナレッジクリエーション・フェロー高山千弘氏をお招きし、講演を実施しました。

「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を理念として掲げるエーザイが、理念を単なる美しい言葉で終わらせず、共感に基づく患者との共同化から始まる知識創造プロセスに本気で取り組むことで、患者にとっての価値が生まれ、それが結果としてエーザイの価値を高めることにもなるというお話を様々な具体例を交えながら、熱意と迫力を持って語っていただきました。さらにその活動はエーザイ1社に留まらず、他業種の様々な企業と協働しエコシステムを築いていくという、hhc理念+エコシステム (hhceco)への進化についてもお話頂きました。質疑応答も活発に行われ、受講生にとってはこれまで学んだ理論を現実の企業のケースに当てはめて考えることで、多くの気づきを得るとともに自組織についても深く考える機会となりました。

●受講生の感想

・知識創造理論こそが人を変え、これからの時代に求められる考え方であるという高山様の強い信念が伝わる熱量ある講演でした。エーザイの事例を伺い知識創造理論が実際に成果の出る考え方だと実感し、心が動かされました。早速自社でも活かしていきたいと思います。

・講演の途中で涙が出そうになったのは初めてでした。仕事上、認知症患者様と毎日ご一緒させて頂いていますが、共同化の真の意味を初めて理解しました。今までの自分自身の仕事は真に共同化できておらず、自身の「エゴ」から抜け出せていないことに気がつきました。エポケー(判断停止)の重要性、真に寄り添うこと、その状態から間身体性を通して感じる大切さ、全てが学びとなりました。私自身の仕事観が180度変わった講演でした。本当にありがとうございました。

・エーザイの企業理念と経営は、人を大切に思い、共感し、表面的に課題をする一般の方法を超えて、人々の応援と心を動かす経営理念が浸透しているところにも大いに感動しました。

・高山さんが繰り返しおっしゃっていた共感という言葉、共同化にまず力点を置いた場の重要性、駆動目標が組織を動かしているということ、非常に勉強になりました。自社組織に置き換えてどのように実践していけばよいのか、改めてしっかりと考えてみたいと思います。

・企業活動は売上を追うことでは無く、理念・目的を追うことで結果、利益が生まれる仕組み。知識創造戦略の本質が分かった。SECIを回し続けること、共同化を進めることによってファンが増えて結果、歓喜を得て利益が生まれる。

・これまでの講義でエーザイの知識創造経営のことに触れていたし、事前に「流れを経営する」でエーザイのケースを読んで、知識としては理解していた。しかし、直に知識創造プロセスに関わった本人からのインプットは、その事前理解を遥かに上回るもので圧倒された。理念経営とか知識創造とか言うと、実践が伴わない理論先行のアタマでっかちな印象があるかもしれないがそんなことは全然ない。内藤社長の想いが起点となり、掲げたhhcが会社全体で具体的な行動に落とし込まれ、共感と共同化から始まるSECIプロセスが回っていることがよくわかった。理解にとどまらず、高山さんから発せられる熱量が伝わってくる、大変素晴らしい講演であった。

・テレビCMで耳にする「ヒューマン・ヘルスケア、エーザイ」。単なるコピーライティングと認識していたこの言葉は、顧客向けというよりも、社員をベストアプローチに導く経典なのかもしれない。それほどに、エーザイの患者との共同化への取り組みは強烈でした。相互作用の場、目的を持たずに患者の前にとにかく飛び込み、何かを感じ取りにいく。それを社内の仕組みとして用意している。少子高齢化、医療の変革期の中で、政府や医療者は機能分化を推進しているが、そこでは境界線を引くだけ、前後を見ようとはしていない。エーザイには、今の医療現場が見習うべき姿があった。製品開発には、メタファー、コンセプト創設が重要だとされているが、それだけではなく、それらを組織に浸透させること、リーダーからの強烈な意味づけ、訴えかけが必要だと強く感じました。講師の高山様からの言葉や患者様への想いを聞いて、知的創造戦略は、本気の誇りと意欲をもたずして成し得ないと。書籍では理解できない貴重な体験であり、エーザイという企業を超えて、今自分にもSECIモデル、知識の転移が起きています。

●CBSについてもっと知りたい方へ
「知識創造戦略論」は、現在「もっとも重要な経営資源」と考えられている「知識」という視点から企業経営をとらえ、知識とは何か、その獲得、創造、蓄積、活用にはどのような組織と戦略とリーダーシップが必要かを学ぶ科目です。講義においては知識創造経営を行っている企業としてエーザイ株式会社のケースを取り上げており、高山氏の講演はケースについてさらに深く学び、知識創造経営の実践について考える機会として受講生に提供されています。

CBSのカリキュラムの全体像は、以下のリンクをご覧ください。
https://www.chuo-u.ac.jp/academics/pro_graduateschool/business/mba/