ビジネススクール

知識創造戦略論において株式会社セブン‐イレブン・ジャパン大橋尚司氏による講演を実施

2022年12月25日

●概要
2022年12月17日(土)、中央大学ビジネススクール(CBS)MBAプログラム発展科目「知識創造戦略論」(担当:遠山亮子教授)において、株式会社セブン‐イレブン・ジャパン取締役常務執行役員リクルート本部長の大橋尚司氏をお招きし、講演を実施しました。

大橋氏にはセブン-イレブン・ジャパンの出店戦略と店舗開発のプロセスについて、具体的なデータに基づきお話しいただきました。担当者個人の暗黙知に頼りがちであった店舗開発を、担当者の知見や過去のデータを徹底的に洗い出し、AIも活用しながら標準化して共有することで、より高いレベルで全社的な取り組みとして行えるようになったというお話は、まさに知識創造のプロセスであり、受講生にとってはこれまで学んだ理論を現実の企業のケースに当てはめて考える機会となりました。質疑応答も活発に行われ、受講生にとっては多くの気づきを得るとともに、自組織についても深く考える機会となりました。

●受講生の感想

・セブンイレブンジャパンの出店の流れや戦略、AIを使ったデータ解析など大手企業であっても試行錯誤しながら過去の踏襲から抜け出すために様々な努力を行っていることが分かった。オーナーとの関係改善や、各店舗の利益を守るためにも様々な趣向を凝らしており、ニュースを見ていただけでは分からない事実がたくさんあった。
 また、暗黙知を形式知に変換しそこからさらに試行錯誤している例はまさしくSECIモデルを体現しており、自社においても本質の部分をぜひ取り入れていきたいと思っている。

・SEJ大橋様のご講演は極めて実務に忠実で、ひと言も聞き漏らすまいと拝聴した。時折ぽろっとユーモラスなことを話されるときは笑いもこぼれた。しかし、終始真剣にリアルな話をしていただけたことは大いに学びになった。大企業の役員の方の話を学生として聴くことができ、また質問にも真摯に回答いただき、感謝申し上げたい。回答の中にも重要な示唆がたくさんあったこともありがたかった。

・リクルートで新規出店することだけが目的ではなく、出店後のオーナーや地域、顧客との関係性の大切さを学んだ。時代は変わり、街やヒトも変わり続ける中で、「近くて便利」を提供し続けていく、ビジネススケールの大きさと深さのお話がとても圧巻だった。

・各店舗におけるビッグデータを用いたAI分析、相関関係がはじき出した優良出店の打ち手。そして、こうした形式知だけではなく、実際店舗での印象や、出店オーナーの人間関係、地域の中でのしがらみなど、暗黙知のお話も伺えた。データ社会においては、見せかけの相関関係にも騙される。そして様々なデータ、勝者のデータを手に取ると、何も考えずに相関関係だけで攻めがちである。セブンイレブンにおける「なぜ?」という習慣、仮説検証、そして内省。こうしたサイクルが商品開発や新規出店における勝利を導きだしていると想像しました。仮説から内省までに持ち込む、この習慣を個人としても自社としても身につけたいです。

・候補地選定や売上予測に関して、過去の経験や業務上情報のデータベース化を進め、更に最近ではAIを使い経営判断ツールとして使っている現状のお話は非常に参考になった。組織内の店舗展開決定プロセスが非常に効率化されている結果そのものよりも、日々の業務で得られた情報や知見を、長期に積み上げていく努力を続けることの大切さが最も重要なポイントではないかと思う。更に現場に直接出向いて、肌感覚を確かめつつデータベースの利用を行っていることも非常に良い取組みだと思った。またこのような取組みが暗黙知の表出化、連結化、内面化、共同化のプロセスそのものであると強く認識できた。

・「変化への対応と基本の徹底」・「過去の成功体験を壊す」。まさにその通りだと思います。他の組織が出来ない、することを恐れていることを躊躇なく出来るから今のセブンイレブンがあるのだと腹落ちしました。

・大橋さんの実務の内容を、かなり細部にわたり具体的にご説明頂き大変勉強になりました。
直面する課題に対しての解決策が明確であり、FCオーナーへの思いやりや配慮と同時に、経営とのバランスを取りながら、愚直に実施されていることに大橋さんと企業の姿勢に対し好感と感銘を抱きながら拝聴致しました。

・売上予測の精度向上へのお取組みや、環境の変化に直面したときに、新しいチャレンジをされていらっしゃる点は、過去の成功体験の中での事業活動から抜けだせず、なかなか新しいことへのチャレンジに踏み切れていない企業でも真似できることが沢山あるのではないかと、省みる良い機会にもなりました。
 

●CBSについてもっと知りたい方へ
「知識創造戦略論」は、現在「もっとも重要な経営資源」と考えられている「知識」という視点から企業経営をとらえ、知識とは何か、その獲得、創造、蓄積、活用にはどのような組織と戦略とリーダーシップが必要かを学ぶ科目です。講義においては知識創造経営を行っている企業としてセブン-イレブン・ジャパンのケースを取り上げており、大橋氏の講演はケースについてさらに深く学び、知識創造経営の実践について考える機会として受講生に提供されています。

CBSのカリキュラムの全体像は、以下のリンクをご覧ください。
https://www.chuo-u.ac.jp/academics/pro_graduateschool/business/mba/


今回の講義は、南甲倶楽部のご高配により実現しました。南甲倶楽部は中央大学出身の経済人による交流会であり、中央大学ビジネススクールは設立時より南甲倶楽部より多大なるご支援を頂いています。

南甲倶楽部の詳細は、以下のリンクをご覧ください。
https://nanko-club.jp/