ビジネススクール

ビジネススクールの研究活動 教授 松下光司(マーケティング分野)

2014年05月07日

ビジネススクール教授・松下光司(マーケティング分野)の研究課題「グループ消費における顧客満足度の形成モデル:文化的自己観を要因とした日米比較実験」が、平成26年度・科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)「挑戦的萌芽研究」に採択されました(研究代表者:青山学院大学 土橋治子教授、研究分担者:松下光司、明治学院大学 斎藤嘉一准教授)。

「挑戦的萌芽研究」とは、「独創的な発想に基づく、挑戦的で高い目標設定を掲げた芽生え期の研究」に対して与えられる研究資金です。

なお、同じ3名による研究「サービスの失敗に対する顧客の苦情発生プロセス:文化的自己観を要因とした実証研究」は、平成25年度・科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)「基盤研究(C)」に採択されており、研究が進行中です。

科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金/科学研究費補助金)は、人文・社会科学から自然科学まで全ての分野にわたり、基礎から応用までのあらゆる「学術研究」(研究者の自由な発想に基づく研究)を格段に発展させることを目的とする「競争的研究資金」であり、ピア・レビューによる審査を経て、独創的・先駆的な研究に対する助成を行うものです。

【研究の目的】
顧客は、レストラン、アミューズメント・パークなどで、家族、恋人、友人といったグループによってサービスを享受することが少なくありません。このとき、ある顧客の満足度や再利用意図は、提供されるサービスの品質に大きな影響を受けることは言うまでもありません。しかし、このようなグループによるサービス消費を研究対象とした場合、これだけでは十分とは言えないのではないでしょうか。「同伴者がこのサービスに満足したようだ。だから私も満足だ」といったような顧客の心理プロセスが喚起されると考えられるためです。

私たちの研究では、このようなグループ消費という文脈に注目し、サービス消費時のグループ内の他者に関する情報処理プロセス(具体的には、友人の表情の観察や気持ちの推測など)、および、その情報処理プロセスが顧客満足形成に対して与える影響を、文化心理学の分野で注目されている「文化的自己観」を規定因としながら、実証的に明らかにしようとしています。

この研究は、「顧客の満足度は、顧客個人によって決定される」という従来型の「自律的な個人型顧客満足モデル」という支配的な見方にチャレンジし、結果として「グループ共有型の顧客満足モデル」の提案を目指しています。