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2020年08月05日

文学部学生の皆さんへ(2020年度後期授業に関するメッセージ)

 文学部長から文学部の皆さんへのメッセージを掲載します。併せてこちらの動画をご覧ください。

 

文学部学生の皆さんへ

文学部長 宇佐美毅

 

1.前期オンライン授業をふりかえって

 新型コロナウィルスの影響で、前期すべての授業がオンラインによる遠隔授業で実施されました。加えて、後期授業は、一部の実験実習をともなうやむを得ない場合は集合型で授業をおこなうものの、原則としてオンラインによる遠隔授業で実施することになりました。学生の皆さんの落胆や不安は大きなものでしょう。そのことは痛いほど理解しています。

 しかし、緊急事態宣言が解除されても、首都圏を中心に感染者はむしろ増加しています。このような状況の中で、後期も原則としてオンライン授業で実施することは、やむを得ない措置だと考えています。ただ、やむを得ない措置だとしても、そのようなオンライン授業が、皆さんに大きな不安や困難やストレスを与えたのではないでしょうか。

 文学部の先生方は全員、皆さんの学びを停滞させないように、懸命にオンライン授業に取り組んでくれました。ライブ型の授業、録画配信型の授業、課題型・自習型の授業など、どのような形態の授業をおこなうにしても、先生方には不慣れな形態でした。その不慣れな授業に懸命に取り組んでいただきました。ただ、不慣れなために学生の皆さんに迷惑をかけたことがなかったとはいえません。音声がつながっていないことに気づかないまま先生が一方的に喋っていたとか、課題の配信が遅れているのに気づかずに授業をしたとか、いくつかの不適切な事例の報告を受けています。それ以上に多かった皆さんからの不満は、課題の量が多すぎることや教員と学生の双方向のコミュニケーションができていないといった内容でした。これらのことは、前期の途中にも私から全教員に伝えて注意を促しましたが、それでも対応が不十分なところがあったかもしれません。後期も原則としてオンライン授業になるにあたって、私から再度、文学部で授業を担当する全教員に、学生の皆さんからの声の代表的な例を伝え、不十分な点は改善していただくように注意を促しました。後期の授業では改善されるものと考えています。

 もっと根本的な皆さんの不満としては、学費や施設整備費に関することがあるかもしれません。皆さんからすれば、「授業だけで学生生活が成り立っているわけではない」「大学の施設が使えないならせめて施設整備費を返してほしい」といった要望が出ることは理解できます。このことは全学的立場から回答すべきことですので、学部長の立場で私が回答できることではありません。ただ、これだけは理解してほしいのですが、キャンパスに入れないのだから大学の施設・設備を使っていないというのは正確ではないと思います。皆さんはオンライン授業なんて、と思うかもしれませんが、このような困難な状況の中で、皆さんの学びを停滞させないようにするためには、多くの費用を大学として出費しています。たとえば、Webex授業のためのライセンス契約やサポート人員の配置、通信回線やmanabaの容量の増強など、例年ならかけなくてもよかった費用を、現在のオンライン授業のために次々と支出していかなければいけませんでした。manabaを使うことも、Webexで授業を受けていることも、すべて大学の費用で整備された施設・設備を利用していることですから、キャンパスに入構しないから大学の施設・設備を利用していないというのは、正確な理解ではないと思います。さらには、今回の新型コロナウィルスの影響で経済的に困窮している皆さんのための各種の奨学金や、全学生を対象とした総額13億円をかけた経済支援もおこないました。皆さんが例年通りの学生生活を謳歌できないという不満は十分理解できますが、大学としては例年以上に、施設整備や経済支援に費用をかけている、ということも、同時に理解していただくようお願いしたいと思います。

 

2.後期授業の方針について

 さて、前に触れたように、後期も原則としてオンラインによる遠隔授業をおこなうことになりました。文部科学大臣から面接授業と遠隔授業を併用するというコメントも出ていますので、その点を進めたいという考えはもちろんありますが、現在の感染状況と「3密」回避などを考え併せると、キャンパスに集合する授業は限定的にならざるを得ません。また、小中学校や高校では学校に集まって授業を受ける学校が増えているのに、なぜ大学は学校に集まって授業を受けられないのかと疑問に思う人もいるかもしれません。しかし、多摩キャンパスだけでも2万人規模の学生が学ぶ中央大学を、小中学校などと同じに考えることはできません。また、大学生の場合は県を跨いで通学する学生も多くいますので、他大学も含めて多くの大学が、後期も原則オンライン授業としています。したがって、一部の科目ではキャンパスに集まる集合型授業を実施しますが、後期も原則はオンラインによる遠隔授業となります。今後感染が収束すれば、また集合型授業を多く実施することもあり得ますが、現在は東京都を中心に感染者が増加している中ですから、原則オンライン授業という後期の方針は、やむを得ない措置だと考えています。後期に集合型の授業を実施するのは、実験実習をともなう科目などに限定する予定で、どの科目を集合型で実施するかについては、できるだけ早く皆さんにお知らせしたいと思います。

 なお、文学部は他学部に比べて開設科目数が多く、従来から3号館の教室をいっぱいに使用してきました。教室を定員の半分以下の人数で使用するなどの「3密」回避策を考えると、文学部が、多くの科目を集合型で実施することは、物理的にも不可能です。集合型で大学キャンパスを使用する授業は、ごく少数の限定された科目にとどめたいと考えています。

 ただし、少数であっても集合型授業を実施し、オンライン授業と併用することは、学生の皆さんにとって困難が多いことは十分に承知しています。やむを得ない理由があって、集合型の授業に出席できない学生の皆さんが、それによって不利益を受けないようにすることは、文学部として徹底したいと考えています。

 やむを得ない理由で集合型授業に出席できない場合とは、たとえば、「基礎疾患を持っていて重症化リスクが高い」とか、「遠隔地に住んでいるために少数の科目のためだけに出校することができない」とか、そういう学生の皆さんのことです。そのような皆さんが集合型授業に参加できなかったとしても、不利益を受けないようにすることは学部として確認しています。なお、この場合の「不利益を受けないようにする」とは、単位の取得や成績評価の面と、学ぶ機会を保証するという二つの面を意味しています。集合型授業にやむを得ない理由で出席できない場合は、担当教員から何らかの代替措置が提示されることになっていますので、後期授業を履修する際に、まずはそれを確認してください。

 

3.キャンパスへの入構について

 先にも触れたように、後期授業を原則オンライン授業とするという方針は、現時点の感染状況から考えるとやむを得ないと考えています。しかし学生の皆さん、特に1年生の皆さんは、大きな疎外感や孤独感を感じているかもしれません。まだ一度も大学キャンパスを訪れていない人や、同級生たちと面識も連絡手段もない人がおおぜいいるかもしれません。現在は学生の皆さんの入構がかなり制限されていますが、今後感染が縮小していった場合には、徐々に入構規制が緩和されていきます。そうなった場合には、科目単位や専攻単位でキャンパスに入って、大学生になったことが実感できるような機会を持てればと考えていますので、それが可能になるまで、もう少しお待ちください。

 

4.新型コロナウィルスとの闘い

 以上が私から皆さんにお伝えしたい内容ですが、最後に私個人としての思いを伝えさせてください。

 私は、今回のような困難な状況の中にいるときほど、人間としての真価が試されると考えています。こうした困難な状況の中では、人間はより身近なものに不満をぶつけたくなります。たとえば、あの先生の授業のしかたが悪いからこんなにつらいのだとか、感染を拡大させたのは特定の業種の店だといって非難するとか、地方で都会ナンバーの自動車を見たら追い出そうとするとか、そういった目先の現象に怒りが集中してしまいがちです。もちろん、皆さんから学費をいただいている以上、前に触れたような授業実施上の教員のミスなどは、あってはいけないことです。ただ、皆さんに不快感を与えてしまったその先生も、皆さんの学びを進めるために新型コロナウィルスと懸命に闘っている、ということも、一方で確かなことです。そのことも視野に入れて、どうかここは冷静になってほしいと思います。特定の誰かに怒りをぶつけることで感情のはけ口を見つけようとしたり、自分だけが苦しい思いをしていると感情を内面に閉じ込めたりするのではなく、この中央大学の中だけでも、約26,000人の学生、約1,200人の専任教職員がともに新型コロナウィルスと闘っている、そのような意識をぜひ皆さんに共有してほしいと考えています。文学部は皆さんからの問い合わせや相談にも、できるだけ丁寧に対応しています。私たち文学部の教職員は、皆さんを全力で後押ししていきます。

 

 以上、後期授業の全学方針が示されたこの時期に、学生の皆さんに文学部長としてのメッセージをお伝えしました。近い将来に、新型コロナウィルスという困難に打ち勝って、キャンパスで皆さんと直接お会いできることを、心から願っています。