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2019年07月02日

2019年度連続公開講座「LGBTをめぐる社会の諸相」第一回「LGBTと統計—統計調査の読み方・使い方」を開催いたしました

 2019年5月25日(土)、本学後楽園キャンパスにて、2019年度連続公開講座の第一回、「LGBTと統計—統計調査の読み方、使い方」(司会進行 谷口洋幸氏、登壇者 釜野さおり氏、日高庸晴氏)を開催いたしました。当日は夏のような暑さの中、約100名もの方々に来場いただき、熱気あふれる会場となりました。

 

 講座は、谷口氏の司会進行により、まずお二人の登壇者による短い講演があり、後半は3名でのクロストーク形式で進められました。

 

 最初に釜野氏より、統計調査の種類について、また統計を読むときに注目すべき「調査目的」「調査事項」「調査対象」「調査方法」の4点について基本的な解説がありました。そこから、ご自身が調査に関わった「性的マイノリティについての意識」(2015年全国調査)を例に、性的マイノリティ当人にフォーカスするのではなく広く社会の意識を調査するための設計と、調査結果を読み解くポイント、特に安易な因果関係を読み込んでしまうことがなぜ間違いなのかについて丁寧に説明いただきました。さらに、本年4月末に結果が報告されて話題となった「大阪市民の働き方と暮らしの多様性と共生にかんするアンケート」を取り上げ、SOGIを尋ねる表現の難しさ、一般人口とマイノリティ当事者とを統計的に比較できるデータを取るために行った工夫、今回の結果の意義と限界についてもお話しいただきました。

 

 次に、日高氏からは、豊富な調査実施のご経験の中から、セクシュアル・マイノリティ当事者のような、調査に参加してもらうことが難しいとされる集団に研究に参加してもらうためにこれまで行ってきた様々な方法の詳細をご説明いただきました。スノーボールサンプリングやインターネット利用など、それぞれの手法の利点と欠点を理解する必要があること、その上でできるだけ欠点を補うために実際に行った工夫について、2001年の大阪・心斎橋(アメリカ村)での街頭調査や2016年のREACH Online というインターネット調査などについて、ユーモアを交えつつ具体的にお話いただく大変貴重な機会でした。また、調査結果の活用に向けて、再現性を重視することや、経年変化をたどる意義、世界の先行研究との比較、さらにはベースとなる回収率を高めることの重要性についても、わかりやすく丁寧に説明をいただきました。

 

 後半のクロストークでは、調査にかかる金額やその経費の調達方法、国の機関が今後調査を実施する可能性、回収率の課題など、会場から投げられた様々な疑問に対して、お二人の登壇者から率直な答えを聞くことができました。特に、統計結果を読み解くリテラシーに関して、メディア関係者がリテラシーを十分に持っていないために報道内容が誤解を招いてしまう問題については、メディア関係者が正しく理解して伝えて欲しいという強い要望が示されました。

 

 最後に、自分の調査結果を今後どのように使って欲しいかという質問に対して、日高氏からは、調査のおかげで数値として「見える化」された情報を、法律やガイドライン等施策に反映されるように活用して欲しいという答えをいただきました。また、釜野氏は、すぐにニーズがないように見えるデータでも基礎的資料としてしっかり蓄積され、今後の様々な研究や社会における取り組みの検討に活かされていくことを望むというお答えでした。

 

 実はお二人が同じイベントに登壇されるのは初めてということで、お互いに調査における力点の相違もありながら、統計調査に対する熱意がお二人それぞれから強く感じ取れる、大変貴重な時間となりました。終了後のアンケートでは、参加者から「実際に長く統計調査に関わってきた二人の登壇者の経験に裏打ちされた話を聞けてよかった」「統計調査の苦労を具体的に知ることができた」「今後仕事で統計を利用する際に参考にしたい」などの感想をいただきました。また、今後の講座の運営や中央大学のダイバーシティ推進の取り組み全体についても、励ましやご意見をいただきました。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。今後の講座へのご参加もお待ちしております。

 

 今後の連続講座の予定はこちらでご確認ください。

 (なお、今回の講座は資料、動画ともに非公開とさせていただきます。)