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受賞論文【佳作】
バイオトイレは次世代型トイレとなりうるのか

北海道 立命館慶祥高等学校 3年 時岡奏多

バイオトイレは次世代型のトイレとなりうるのか、というテーマをもとに、現在主に使われている水洗トイレに比べて優れている点が多くあるバイオトイレの有用性を調べていきたい。

第一章 微生物パワー!バイオトイレ

バイオトイレは、またの名をコンポストトイレという。コンポスト(Compost)とは、直訳すると堆肥、肥料という意味になる。バイオトイレでは、糞便の処理のためにおがくずを用いる。おがくずは便座の下に準備し、そして糞尿と混ぜることで、そのおがくずは将来有機肥料*1として生まれ変わるのである。私は、農業に使用可能な有機肥料を日常で使用できるトイレから生成できる点でも、バイオトイレは非常に役立つと考えている。

ところで、バイオトイレが成立するためには三つの条件が必要である。それは、水、酸素、温度である。この条件が揃わない限り、バイオトイレは機能しない。また、良質な有機肥料も作れなくなるのである。水に関しては、糞尿を有効利用することで補うことができる。なぜなら、糞尿の成分はほとんど水分であるからだ。バイオトイレは、おがくずが糞尿を吸収するが、おがくずを使用する理由は、おがくずには水分を蒸散させることができるからである。通常、人間の糞尿に含まれている水分は80~90%である。だが、コンポスト化を進めるためには、開始時に60~65%程度の水分でなくてはならない。また、微生物は水分が40%以下になると活動が鈍化してしまう。おがくずはその水分のバランスを保つことができるのである。そして、おがくずには空隙率*2が大きく、80~90%もある。このことは、非常に重要な要素である。もし酸素が不足した状態が続くと、悪臭物質が多量に生成されてしまうからである。

最後に、温度は混合物を発酵させるために重要である。温度は60℃以上にすることで、病原菌や寄生虫*3を死滅させることもでき、一石二鳥なのである。

第二章 バイオトイレのメリット・デメリット

  1. 震災に対応可能なトイレ
    バイオトイレには、現在主に使われている水洗トイレと比べ多様なメリットが存在する。まず、バイオトイレは何らかの災害で下水道が被災した場合でも使用できる点である。東北地方太平洋沖地震では、下水道処理施設は120箇所が被災し、48箇所が稼働停止した*4。また、断水などが生じ、水洗トイレが使用できなくなるという被害も生じた。人間は排泄を当然するが、トイレが無いとどこに排泄して良いのかわからなくなる。そして、野外排泄をしてしまうのである。この行為は、衛生上非常に危険な行為である。つまり、トイレが使用できなくなることは、非常に危険な問題なのである。今回の地震では、対策として下水道処理施設が辛うじて稼働している地域ではマンホールトイレ*5の使用が考えられた。だが、私はこれよりバイオトイレの方が優れていると考える。バイオトイレは水を使用しないトイレのため、下水道処理施設が稼働停止していても、使用することができる。また、バイオトイレは仮設トイレとしても設置しやすく、また、太陽光発電などと組み合わせることで、停電した場合でも使用できるようになる。私は、以上の点から震災が起こった際、衛生の保護にはバイオトイレが役立つと考える。
  2. 寒冷地にも対応
    次に、水洗トイレの場合、水道が凍結した際にトイレが使用できなくなる。しかし、バイオトイレは水道凍結の影響を受けないため、使用できるのである。良い例として、北海道旭川市にある旭山動物園が挙げられる。ここでは以前、冬になるとトイレが使用できなくなるため、閉園していた。しかし、バイオトイレを設置してから、冬でもトイレが使用できるようになったため開園し、冬にしかできないようなイベントを行うようになった。そして、現在では日本一を争う動物園となることができたのである。
  3. 合流式下水道の環境汚染対策に
    合流式下水道とは、水洗トイレや風呂など、家で使用し終わった水を汚水として流すところであるが、同時に、雨水も同じ下水管で流すものである。この合流式下水道の問題点は、もし雨が多量に降った場合、未処理の汚水を含めて、雨水を川や海に垂れ流す点である。平成21年度末で、191もの都市が合流式下水道を使用している。これは、下水道実施都市1442都市のうちの13%にあたる。2)私は、合流式下水道を維持することで、地球環境が少しずつ破壊されていくと考える。その理由は、上述した問題が広がるからである。合流式とは別に、汚水と雨水を分けて流している下水道(分流式下水道)もあるが、費用的な面ですぐに交換できるとは限らない。そのため、水環境の汚染を遅らせるために、私たちでなるべく汚水を排出しない努力が必要なのではないか。
    私は、この対策にバイオトイレが役立つと確信している。排泄という行為は人間の本能的な行動であるため、全国民が水洗トイレで流す汚水の量も非常に莫大になる。合流式下水道の場合、雨が降った時、未処理のまま排水される汚水の量も比例して多くなる。しかし、バイオトイレを家庭に取り入れることで、トイレに関しては汚水を下水道に流さないで済む。したがって、水洗トイレからバイオトイレに推移することは、水環境の汚染する速度を緩めることにもつながるのだ。私は、この点でもバイオトイレを推進したい。
  4. 今後の課題
    しかし、そんなバイオトイレでもデメリットがある。先述したとおり、バイオトイレの成立には三つの条件が必要であり、どれも欠けることでバイオトイレが機能せず、さらに混合物内で病原菌が繁殖するなどの問題が生じる。バイオトイレを発達させるためには、この三つの条件を、いかに簡単に維持できるかを研究することが大事なのではないか。

第三章 バイオトイレは次世代型トイレとなりうるのか

地球上に存在する水の総量は14億立方キロメートルあるが、そのなかで、私たちが容易に利用できる水はわずか0.035%にすぎない。さらに、開発途上国を中心に年々人口が増加してきている。1900年には10億人しかいなかったのが、2000年には60億人に達した。人口が増えるということは、水の使用量も増える。水の使用量は、1950年と1995年では、2.6倍も増加している。このままだと2025年までに開発途上国を中心に40億人もの人が水不足に陥ることになる*6。私は、これからますます節水が大事になるのではないかと考える。その打開策の一つとして、水洗トイレからバイオトイレへの推移も考えなくてはならない。バイオトイレは水を使わず、おがくずや糞尿などの不要物を使用するため、水の節約には非常に役立つ。さらに、一部の団体や地域だけで取り込むのではなく、世界全体としてこの推移を取り組むことによって、バイオトイレの技術がもっと開発され、問題点が無くなりで、新たに日常に存在するトイレとして定着するのではないか。

私は、バイオトイレを日常に定着させるためにまずは肥料を直接的に使用できる農家に設置すべきであると考える。バイオトイレが生成する肥料は、農家にとって有益である。つまり、バイオトイレの有用性を実感できるはずだ。このように、まずはバイオトイレが役立つ地域で徹底的に普及させ、それから全国的に広めていくと良いのではないか。

おわりに

私は、バイオトイレを調べてみて、非常に有用性があることに気づいた。水環境の汚染を食い止め、水洗トイレに比べ広範囲で使用できる。現代トイレの代打として現れたそれは、次世代型のトイレになりうる可能性を充分に秘めていることがわかった。今後は、バイオトイレ設置に関してどのような問題があるのか調べ、それを解決する方法を探し、いかにバイオトイレを普及させていくかを考えていきたい。

引用文献
  1. http://www.seiwa-denko.co.jp/civil.html 聞いて流せぬトイレの話 土木学会誌より||正和電工株式会社 より引用 2011/08/17
  2. 21世紀の水インフラ戦略―『スマート下水道』20の提言―谷戸善彦 理工図書 2011 p.77より引用