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受賞論文【佳作】渋谷のごみ問題

渋谷教育学園渋谷高等学校 2年 志佐 麗奈

はじめに
 私がごみ問題に興味を持つようになったのは高校一年生の頃に環境対策ボランティアに参加したのがきっかけでした。いくつかの環境対策ボランティアを通じて、環境問題に取り組むことの大切さを学びました。さらに、これらの活動は現存のごみ問題や環境問題に応用できるのではないかと考えました。私は今渋谷区の学校に通っているのでぜひ渋谷のごみ問題に結びつけて考えてみようと思います。そこで目に留まったのがハロウィンで賑わう渋谷のごみ問題です。この問題については海外からも様々な反応が見られています。私が経験したボランティア活動の記録を紹介し、渋谷のごみ問題の現象を把握したのちに、ハロウィンのごみ問題解決の手段を提案し予想される効果を提示していきます。

ごみゼロナビゲーションでのボランティア活動
 まず、私が参加した環境対策ボランティアの活動について紹介します。私が参加したのはNPO iPledgeがコーディネートしているごみゼロナビゲーションというものです。
"「ボランティアがごみを拾う」のではなく
「来場者参加型」のしくみをつくる、イベント環境対策プロジェクト"
"人々の行動力や主体性を引き出し、地球にやさしく、人にやさしいイベントの創造"(1)
 これらはごみゼロナビゲーションのコンセプトです。NPO iPledgeのごみゼロナビゲーションが目指しているのは「参加型のイベント」を作り上げることです。イベントに参加する全ての人々にごみ削減の意識を喚起し協力体制を組み、クリーンでピースフルなイベントを作ろうというものです。普通、イベントでのボランティアといえばスタッフや清掃員がごみ袋を持ってごみ拾いをするというのが主流です。しかしごみゼロナビゲーションでは、イベントに関わる全ての人々が、「ごみの削減へ向け協力体制を組む」ことの「手助け」をするのが活動の狙いなのです。(2)そのようなコンセプトのもとコーディネートされたボランティアの中で、私が参加したのは「肉フェスボランティア」と「お花見クリーンキャンペーン」の2つです。
 まず、「肉フェスボランティア」では肉フェスという日本全国・世界各地の肉料理を集めた日本最大級のフードイベントの会場でごみ分別ナビゲートをしました。会場内に設置してある、エコステーション(ごみ箱)の後ろにボランティアスタッフが立ち、ごみを捨てに来る来場者にごみの分別を呼びかけます。ボランティアスタッフが来場者の代わりに分別をやってあげるのではなく、捨てに来た人に分別をナビゲートすることで、来場者自身にごみの分別をしてもらいます。そして各ごみ箱で収集されたペットボトルやキャップ・空き缶・紙コップなどの資源物は、環境対策本部やキャンペーンブースに集められ、その後適切にリサイクルされています。これは来場者のゴミ分別意識向上に大いに貢献すると考えられます。
 次に、ゴールデンウィークのお花見シーズンに行った「お花見クリーンキャンペーン」のボランティアについてです。主な活動はお花見を行っている団体や来場者の方にごみ袋を配布する事と、エコステーションでのごみ分別ナビゲートでした。ボランティアスタッフが1枚ずつごみ袋を配ることで、ポイ捨てやごみ放置を防ぐことができます。また、来場者に活動を知ってもらう1つのきっかけにもなります。ここで配布したごみ袋はペットボトルのリサイクル素材で作られていており、通常のポリエチレン製のごみ袋に比べ、燃焼カロリーが低いので焼却炉にも優しく、燃焼時の二酸化炭素の排出量を10%も削減するという優れものです。また、原料となるペットボトルはごみゼロナビゲーションが参加している他のイベントで回収されたものです。このようにごみゼロナビゲーションは資源でフェスティバルを繋げているのです。さらに、この袋にごみゼロナビゲーションの活動内容やイベントごとのメッセージを印刷し、リサイクルの重要性や環境対策活動の趣旨や来場者の自主的な参加も呼びかけています。(3) オリジナルごみ袋を配布するという簡単な活動ではありますが、ごみゼロを目指すだけではなく、来場者の方がより気持ちよく、より楽しくお花見をすることへのサポートとなっています。
 これらの活動以外にもごみゼロナビゲーションでは、音楽フェスでのボランティアや古民家改装イベントなどの活動を行い、ごみゼロ活動を進めています。このようなイベントの環境対策活動から始まり、全てのイベント参加者の日常のライフスタイルへ「環境保全への配慮」が浸透するきっかけを提供することも、ごみゼロナビゲーションの一つの大きな目的となっています。(4)このようなボランティアを通して来場者の行動力や主体性を引き出し、地球にやさしく、人にやさしいイベントの創造という概念に関心を持ちました。

渋谷のごみ問題
 渋谷は交通の便がよく、若者向けのショップやイベント会場などが密集しています。そのため国内だけでなく海外からも多くの人が訪れ、日本の観光地「若者の街=渋谷」として魅力を放っています。そんな渋谷ですが、もちろん治安が悪いというイメージがあります。"東京都23区の治安ランキング"によると渋谷区は第20位にランクインしていました。この治安ランキングは犯罪の少なさ・地域性・防災対策(放置自転車や落書き対策など)・街の衛生面(ごみの管理・落書きや放置自転車の多さなど)の4点を評価の対象としています。(5) つまり渋谷区は治安が悪いと位置づけされているのです。通学中渋谷の街を歩いていても、歩道へのポイ捨てや壁・看板への落書きが目立ちます。渋谷は東京都23区の中でも決して綺麗で清潔な街とは言えません。
 特に、ここ数年大きな問題になっているのはハロウィンイベント後の渋谷に溢れかえるごみです。仮装をして渋谷の街を歩き回った人々がポイ捨てして帰ってしまうことで街はごみだらけになってしまうのです。さらに翌日、近隣の方や子供達がボランティアでごみ拾いの清掃を行っている様子も毎年話題となっています。これは数々のニュースにもとりあげられ、「ハロウィン経済効果の犠牲」や「日本のハロウィンは大人が汚し、子供がキレイにするイベント」などと揶揄されています。
 このような現状を踏まえて私は何ができるのかを考えていこうと思います。

問題解決手段
 私はNPO iPledgeのごみゼロナビゲーションによる「人々の行動力や主体性を引き出し、地球にやさしく、人にやさしいイベントの創造」という概念をこのハロウィンイベントに応用する事を提案します。ハロウィンイベントに参加する人が自分たちの手でイベントを作り上げていくのです。環境対策に向け私が提案する主な活動は、エコステーションの設置・ごみ袋の配布・ごみ拾いポスターの掲示・SNSやショップでの呼びかけです。

エコステーションの設置
 これはごみゼロナビゲーションで行っているものと同様のものです。ペットボトル・ペットボトルキャップ・ペットボトルのラベル・燃えるごみ・燃えないごみ・空き缶・空き瓶を分別するごみ箱を設置します。渋谷駅や渋谷のセンター街など、特に人が多く来ると予想される場所や飲食店が密集している地帯に設置します。そこに人を派遣しエコステーションに立ちナビゲートすることはかなり危険に思われるので人は派遣しない事とします。しかし、エコステーションが目に付く場所にあるだけでごみをポイ捨てするのではなくごみ箱に捨てようという行動に人々を促す事ができます。これだけでも大きな変化となるでしょう。
 さらに、エコステーションにただゴミ箱を設置するだけでなく、ハロウィン仕様にアレンジすることでハロウィンの際、ひとつの有名スポットを作り上げることができます。また、近くに写真スポットを用意すれば、さらに若者が集まりやすくなるでしょう。

ごみ袋の配布
 これもごみゼロナビゲーションで行っているものと同様のものです。渋谷駅の改札付近やセンター街の入り口でオリジナルのごみ袋を配布します。燃えるごみ用と燃えないごみ用の2種類のごみ袋を配布します。ごみ袋を持つだけなら荷物にもならないし、近くにごみ箱がない時もごみを捨てる事ができると思い受け取ってくれる人も多いでしょう。また、ごみ袋のデザインを工夫しカボチャのデザインにするなどハロウィンに似合うデザインにする事でさらに若者受けを狙えるでしょう。

ごみ拾いポスターの掲示
 ボランティアスタッフや警備委員が一方的にごみ捨てを強制したとしてもそれほどの効果は現れず逆に反発する人がでて逆効果になってしまうかもしれません。それでは解決には難しいでしょう。そこで、ごみ拾いポスターの掲示に一工夫加えます。日本人は周りの人がしていることに同調する傾向があるので、それをうまく利用するのです。それは仮装した人がごみ拾いをしている人をポスターに使用する事です。例えば、渋谷区清掃委員というタスキをかけてごみ拾いをしている人のポスターより、魔女やプリンセス、さらにはマリオなどのキャラクターの仮装をのした人がごみ拾いをしているポスターの方がより絵的なインパクトが大きいです。さらに、ハロウィンで仮装をしている人がこのようなポスターをみれば、私たちもごみ拾いした方がいいのではないかという意識を自然と換気する事ができます。とても簡単な手段ではありますが一石二鳥の効果を狙える有効な手段ではないでしょうか。
 2015年のハロウィンの際は、クラブカルチャーを守る会(Club and Club Culture Conference : C4)の代表を務めているZeebra(ジブラ)さんやキングコング西野さんがごみ拾いを行っている様子が話題になりました。このように有名アーティストがごみ拾いに協力する姿を紹介することも大きな影響を与えていました。(6)

SNSやショップでの呼びかけ
 これはすでに実践しているところも多いと思いますが「ごみ分別にご協力ください」という呼びかけをする事です。また、センター街近くのお店は店内または店頭に③のポスターを掲示し、公式のSNSのアカウントで呼び掛けをすることも効果的だと考えられます。SNSが普及した情報社会だからこその手段といえます。さらに、ショップの店頭で②のごみ袋を配布する事でさらなる効果を見込めます。
これらの4つの方法は比較的低予算で実施する事ができます。さらに、若者向けにアレンジを加える事でさらに有効になると思われます。

まとめ
 私は渋谷区に通学しているため、渋谷のハロウィンのゴミ問題にスポットをあてて解決策を考えました。しかし、この「人々の行動力や主体性を引き出し、地球にやさしく、人にやさしいイベントの創造」という概念はその他の様々なイベントでも応用できるものだと思います。ハロウィンやフェスなどの楽しいイベントを長年継続するには、マナーを守ることも必要不可欠となります。来場者が自分自身の手で作り上げていくイベントを増やしていき、環境問題への意識喚起も続けていきたいです。このような活動が2020年にむけて綺麗な東京を作り上げる第一歩になるのではないかと考えます。

参考文献・引用資料

(1)(2)(3)(4)
iPledge「ごみゼロナビゲーション」ホームページ
(最終閲覧日2016年9月4日)
http://www.gomizero.org/

(5)
【決定版】東京都23区の治安ランキング[治安の良い区・悪い区はどこ?]
(最終閲覧日2016年9月4日)
http://xn--23-1b4awkpa45akcb8859dhsjs4w4u6acno.xyz/

(6)
【実録】渋谷ハロウィンをキレイにした人々とZeebra氏とキンコン西野氏。
(最終閲覧日2016年9月4日)
http://shibuyajournal.tokyo/halloween_zeebra.html/