研究開発機構

研究成果プレスリリース:セルフクローニング法で微細藻の油脂生産性改良に成功

2018年08月08日

研究開発機構研究員 笠井 由紀、機構教授 原山 重明(単細胞性緑藻の育種の開発ユニット)の研究成果をプレスリリースしました。

 

セルフクローニング法で微細藻の油脂生産性改良に成功 ~バイオ燃料生産実用化に期待~

 

 研究開発機構研究員 笠井 由紀、機構教授 原山 重明らのグループは、外来遺伝子を使用しない遺伝子組換え(セルフクローニング)技術を用いて、微細藻Coccomyxaの油脂生産性改良に世界で初めて成功しました。


 近年、微細藻を利用したバイオ燃料の生産が注目を集めています。本研究グループは、微細藻Coccomyxaが合成する油脂を原料としたバイオ燃料の実用化を目指し、セルフクローニング技術を利用した分子育種に取り組んできました。
 遺伝子組換え技術とは、ある遺伝子をある生物のゲノムに人工的に組み込むことにより形質転換体を得る方法ですが、遺伝子がゲノムに組み込まれる頻度は低いので、一般には選択マーカーを利用して形質転換体を選抜します。現在Coccomyxaのセルフクローニングに利用可能な選択マーカーは1つしかなく、同一株に複数の遺伝子を個々に導入する事ができませんでした。本研究グループは、Coccomyxa形質転換体から選択マーカーを特異的に除去することにより、選択マーカーの繰り返し使用を可能にしました。本方法を使い、脂質合成に関与する2遺伝子を逐次導入し、油脂の生産性が元の株の1.4倍に増加した形質転換株の作製に成功しました。
 本研究成果は、他の微細藻にも適用可能で、微細藻を利用したバイオ燃料の実用化を促進することで、CO2削減等の環境問題の解決に貢献することが期待されます。

 

本研究成果は、英国時間8月6日10:00(日本時間8月6日18:00)に英国科学雑誌「Scientific Reports」のオンライン速報版で公開されました。

 

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