社会科学研究所

公開研究会「女性の政治意識と投票行動」開催報告(社会科学研究所)

2017年03月14日

2017年2月27日(月)、多摩キャンパス研究所会議室3にて、下記の公開研究会を開催しました。

【テーマ】 女性の政治意識と投票行動

【講 師】 寺村 絵里子(明海大学経済学部准教授、社会科学研究所客員研究員)

【日 時】 2017年2月27日(月)13:00~15:00

【場 所】 中央大学多摩キャンパス研究所会議室3

【主 催】 研究チーム「政治的空間における有権者」(社会科学研究所)

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【要 旨】

 寺村氏の報告は,現代日本における女性の政治意識,政治行動のジェンダーギャップの状況を,最新の学術調査データから分析したのが骨子となっている.
 日本におけるジェンダー研究は,理論的,歴史的分析は比較的蓄積はあるが,データによる実証研究は欧米と比較すると少ないのが現状であろう.
 分析から得られた知見は次の4点である
(1)日本の女性の政治意識と投票行動について,女性の属性別に分析.
(2)仕事をもつ女性が,専業主婦,無業女性よりも政治活動が多いという結果は得られなかった.
(3)女性の政治参加を高める要因は,年齢,学歴,世帯年収,専業主婦である.
(4)女性活躍推進に関する主観的変数の政治参加に対する効果は無い.
これらの分析結果は,最新の学術データから得られた知見であるから,現状を理解するには大いに役立つであろう.
 ただし,これらの分析結果で,ジェンダーギャップの全てが理解されるわけでもない.女性を取り巻く社会環境は,男性のそれよりも変化が早いように感じられる場合もある.20〜30年前の状況と現在では女性を取り巻く社会環境は大きく変化している.よって,欧米などの先行研究における仮説もそのまま用いることも困難であろう.

(主催チーム記)