社会科学研究所

国際シンポジウム「グローバル下の日本と中国」開催報告(社会科学研究所)

2017年03月03日

2017年2月27日、清華大学(中国)において、下記の国際シンポジウムを開催しました。

 

【テーマ】 グローバル下の日本と中国

【日 時】 2017年2月27日

【場 所】 清華大学甲所第二会議室(中国)

【主 催】 中央大学社会科学研究所・第27回中央大学学術シンポジウム「理論研究チーム」

      清華大学日本研究センター(中国)

                                      ******************

【要 旨】

 2017年2月27日に、清華大学甲所第二会議室にて、社会科学研究所の学術シンポジウム「地球社会の複合的諸問題への応答」の「理論研究チーム」のメンバーによる「中央大学・清華大学の国際シンポジウム」を開催した。テーマは「グローバル下の日本と中国」で、グローバル化に直面している中国と日本におけるさまざまな政治的・社会的問題に関して、それらにどのように対応しているのかということをめぐって報告と討論がなされた。シンポジウムは日中の歴史と社会的変化を扱った午前の第一部と、日中の環境問題を扱った午後の第二部に分かれて行われた。

 

 第一部では、廣岡守穂(「明治維新期における政治発展」)が、19世紀後半にグローバル化に直面した明治維新期の日本における政治発展、民主化の問題を取り上げ、自由民権運動が「国民」形成を進め、政治文化を変えた点を指摘した。劉暁峰(「平成学の研究」)は、1989年の冷戦終結、平成年号の制定などによる日本社会の変化を「平成日本学」という視点から分析した。胡彭(「日本社会の変化と日中関係」)は、日本社会を「格差社会」、「無縁社会」、「低欲望社会」というキーワードで捉え、それを中国との比較で分析した。李廷江(「政治と輿論-新聞からみた日中関係」)は、日中関係の悪化という問題を日本の新聞記事から読み解く報告であり、グローバル化の反動として一国主義が噴出した事態を取り上げた。

 

 第二部の李文(「日中環境合作の現況と意義」)は、日本の環境政策の成果、日中環境協力を取り上げ、今後、日中両国が東アジアの環境協力において中心的な役割を果たしていくべきとした。星野智(「日本における廃棄物問題と循環型社会」)は、1990年代以降の日本環境政策の中核となる循環型社会の基本的な考え方と各種の法システムについて紹介し、グローバル化に対応して国際的な循環型社会の形成の必要性を問題にした。牛嶋仁(「日本の環境紛争におけるADR(代替的紛争解決)の役割」)は、公害等調整委員会などによる代替的な紛争解決の問題を取り上げた。張新軍(「中国視点化の海洋法問題」)は、南シナ海にかかわる14カ国において明確な国境画定がなされていない状況下において、中国は二国間の交渉を進めようとしている点を指摘した。

 27日の午前9時から午後5時まで開催されたシンポジウムでは、活発な質疑応答が行われた。(主催チーム 記)