Eventイベント
人文科学研究所
人文科学研究所主催公開研究会開催のお知らせ(「アーサー王伝説研究」チーム)
- 日程
- 2018年10月27日(土)13:00~17:00
- 場所
- 駿河台記念館320号室
- 日程
- 2018年10月27日(土)13:00~17:00
- 場所
- 駿河台記念館320号室
- 内容
講 師: 石倉 敏明 氏 (秋田公立美術大学准教授)
テーマ: 「回帰する神話と創造性 ―芸術人類学の実践から―」
要 旨: 現代芸術の営みは、もはやヨーロッパやアメリカといっ
た地理的に限定された文脈を超えて、世界中の場所性
や歴史的現実と関わりを持ちつつある。こうした中で、
人間と非人間からなる、複数種の絡み合った現実を表
現する形式として、世界各地の神話に関心が集まって
いる。過去・現在・未来の現実を取り扱う神話という現
実認識の方法は、どのような回路で地域的に継承され
たテキストやイメージの文脈を超え、アーティストの制
作やアートの鑑賞体験と結びつくのか。芸術人類学の
立場から、いくつかの事例を取り上げて考察を行う。
講 師: 中川 洋一郎 氏(中央大学経済学部教授)テーマ: 「ジョルジュ・デュメジル《三機能性》論、1950年の蹉
跌―神話形成期(前4千年紀)、原インド・ヨーロッパ
語族民組織における社会的三階級の不在という難
題―」
要 旨: 1938年頃にデュメジルが《三機能性》(trifonctionalite
)を提唱し始めた際に、彼は、「背景に何らかの社会
的な三階級構造が存在し、その反映として《三機能
性》が形成されて、祖神話に反映された」と考えてい
たが、実証的には、《三機能性》を裏付ける三階級構
造という社会的な実態はなかった。しかし、前4千年
紀に遊牧民として生成した原インド・ヨーロッパ語族
民を観察すると、彼らは、ヒト(牧夫とその家族)と非ヒ
ト(家畜群と仲介者)からなる特異な組織を形成して
おり、この初期遊牧組織は見事な三階級構造を形成
していた。この三階級構造こそ、デュメジルが想定し
た《三機能性》の根拠としての社会的な三階級構造
にほかならない。従って、もし、デュメジルが、「初期
遊牧組織においては、《牧夫→イヌ→ヒツジ》からな
る三階級構造が形成され、それが《三機能性》の基
盤となった」という地に足の着いた堅実な発想を得て
いれば、《三機能性》論は、比較神話学の枠組みを大
きくはみ出して、今日に至るまでのヨーロッパ史の中
でヨーロッパ文明の基底に流れる思想的な核である
と位置づけられたのではないだろうか。以 上
- 企画実施名義
人文科学研究所研究会チーム「アーサー王伝説研究」
共 催: 神話学研究会