Eventイベント
人文科学研究所
人文科学研究所主催公開研究会開催のお知らせ(「近代英文学の基盤」チーム)
- 日程
- 2018年6月30日(土)13:30~
- 場所
- 多摩キャンパス 2号館4階研究所会議室2
- 日程
- 2018年6月30日(土)13:30~
- 場所
- 多摩キャンパス 2号館4階研究所会議室2
- 内容
講 師: 上坪 正徳 客員研究員 (中央大学名誉教授)
テーマ: 「Robert Burton の時代意識 (第2回) 学究・学徒
のメランコリー ― Love of Learning, or overmuch
Study. With a Digression of the Misery of the Scholars,
and why the Muses are Melancholy. ( Part. 1, Sect. 2,
Memb. 3, Subs. 15. ) について ―」
要 旨: 今回はBurton がメランコリーの原因を論じた(The
Anatomy of Melancholy の)Part. 1 の中から上記の
subsection を選び、自らも Christ Churchの一員であった
著者が、同時代の大学の学者、卒業生、卒業を控えた
学生たちの置かれた状況や彼らをめぐる問題をどのように
捉えていたかを考えてみた いと思う。Burtonがまず取り
上げるのは、学問研究に携わる人々は何故にメランコリー
に罹りやすいかという問題である。しかし 著者はこの
本来のテーマについては比較的短く論じる にとどめ、
やがて本題から「脱線」して、大学出の聖職希望者を苦し
めていた「聖職売買」とそれがもたらす悪 影響へと話題を
移している。Burtonによれば、この問題の主な原因は、
「聖職禄 ( Churchliving) の受領者を指名する権利
(advowson)」が、俗界の信者(貴族やジェントリー)に与
えられるという中世以来の慣行である。Burtonはこの
慣行を厳しく批判したあと、幸運にも聖職にありついた
新米の牧師に待ち構えている様々な困難についても
触れている。このあと著者は約3頁にわたってラテン語
の文章を書き加えて、彼の時代の大学とその教育を担
う人々の無責任な体質を弾劾し、さらに批判の対象を
イングランド教会の「聖職者」に移して、彼らの間に広
がる堕落を厳しく非難している。珍しく筆者の感情の昂
りを感じさせるこのsubsection は、長年 Christ Church
のチューター兼ライブラリアンであり、また幾つかの教
会の牧師を務めたBurton自身の実体験に基づいた、貴
重な歴史的記録と見なすことも出来るだろう。以 上
- 企画実施名義
人文科学研究所研究会チーム「近代英文学の基盤」