Eventイベント
人文科学研究所
人文科学研究所主催公開研究会開催のお知らせ(「アーサー王伝説研究」「西洋合理主義にかんする比較思想的研究」チーム)
- 日程
- 2018年5月26日(土)14:00~17:00
- 場所
- 多摩キャンパス 研究所会議室2
- 日程
- 2018年5月26日(土)14:00~17:00
- 場所
- 多摩キャンパス 研究所会議室2
- 内容
講 師: 若松 功一郎 氏 (早稲田大学文学部哲学コース助手)
テーマ: 「エックハルトとディートリヒ―ケルン・ドミニコ会の能動知性論」
要 旨: 本報告の目的は、中世ドイツで活躍したドミニコ会の
思想家マイスター・エックハルト(ca.1260-
1327)の知性論を検討し、彼の死後異端として一方的
に断罪されたこの知性論が、実のところケルンにおけ
るドミニコ会の思想伝統に則って語られていたという点
を示すことにある。
エックハルトはドイツ語説教のうちでたびたび、人間
の魂には非被造的なひとつの力として知性が備わって
おり、人間はこの知性によって神そのものを認識するこ
とができるとして、一般に「魂における或るひとつの力
」と呼ばれる教説を語る。しかし人間の知性による現世
における神認識を語るこうした教説は、彼の死後教会
当局から異端として断罪されてしまう。しかしながらこ
の教説が語られる際、アルベルトゥス・マグヌスをはじ
めとするケルンのドミニコ会に伝統的な、新プラトン主
義的かつ非トマス主義的な知性論が前提とされていた
ことが明らかになりつつある。
そこで本報告では、ケルン・ドミニコ会のうちエックハ
ルトの知性論に影響を与えたとおぼしきフライベルクの
ディートリヒ(ca.1240-
ca.1318)による知性論をとりあげ、これをトマス・アクィ
ナスの知性論と対比しながら概観する。ケルン・ドミニ
コ会の知性論に特徴的ないくつかの思惟は、トマス主
義との比較により明白になると思われる。マイスター・
エックハルトはこうした思惟を明確に踏まえて、「魂に
おけるひとつの力」の教説を構築したのである。
以 上
- 企画実施名義
人文科学研究所研究会チーム「アーサー王伝説研究」「西洋合理主義にかんする比較思想的研究」共催