人文科学研究所主催公開研究会開催のお知らせ（「アーサー王伝説研究」)チーム）

ナタリア・ペトロフスカイア 氏 (ユトレヒト大学准教授)

テーマ：  『イマゴ・ムンディ』と中世ヨーロッパ文学―叙事詩とロ
           マンスに見られる地理学書の影響」

要 旨： 中世ヨーロッパの世界観を表す最も有名な例は、ヘレ
            フォード・マップのように東を上にした丸い世界地図で
            ある。こうした地図が描く世界の形は、中世のヨーロッ
            パ思想に深く浸透していた。12世紀に書かれた『イマゴ
            ・ムンディ』（Imago Mundi）は、
           こうした地図と同じ内容を表したものであり 、
           当時のベストセラーと呼べるほどだった。ラテン語に
            よるこの百科全書的な地理学書は、13世紀後半までに
            はヨーロッパの各国語に翻訳され、修道士や学者だけ
            でなく、貴族にも読まれていた。200点以上の写本が伝
            えるこの文書は、ヨーロッパの文化・文学に多大な影響
            を与えた。その一例として挙げられるのは、中世期の
            貴族が読んでいた叙事詩やロマンスである。この報告
            では、フランスとウェールズの叙事詩とロマンスが、『イ
            マゴ・ムンディ』の描いた世界観と特にそのヨーロッパ
            の描写からどのような影響を受けたのかについて論ず
            る。

講演言語： 日本語

人文科学研究所研究会チーム「アーサー王伝説研究」