Eventイベント
人文科学研究所
人文科学研究所主催公開研究会開催のお知らせ(「惑星的視点とアメリカ文学の可能性」チーム)
- 日程
- 2017年3月18日(土)16:30~19:30
- 場所
- 専修大学神保町校舎8号館8階会議室B
- 日程
- 2017年3月18日(土)16:30~19:30
- 場所
- 専修大学神保町校舎8号館8階会議室B
- 講師
牧野 有通 氏
(元明治大学教授、米・メルヴィル協会会長)
- 内容
テーマ: 「反逆する個性の創出――「ホーソーンとその苔」再読」
要 旨:
メルヴィルのイシュメイル・ヒーローは、『タイピー』の
トンモから始まるといえるが、その後の作品群を経て
、本格的に反逆する人格へと発展するうえで、最も重
視すべき飛躍の契機をなすのは、メルヴィルの評伝「
ホーソーンとその苔」であるように思われる。1850年
の夏、メルヴィルはホーソーンの短編集「旧牧師館の
苔」を読み、直ちに称賛の筆を執る。たしかにその中
の短編のいくつかは、主著『白鯨』を執筆中の彼に深
い衝撃を与えており、その事例のいくつかは論ずる
必要がある。しかし、メルヴィルのイシュメイル・ヒー
ローが、荒野へと追放されてさまようような孤児では
なく、むしろ主流の既成集団に激しく反逆する個性の
持ち主となってゆくことに注目しなければならない。
そこにはホーソーン流の孤児とは異質な個性、すな
わちシェイクスピア悲劇の主人公の個性との接点が
認められるのである。したがって『白鯨』の主人公エイ
ハブ船長がイシュメイル・ヒーローの延長線上に来る
ことが予想される。そしてこのメルヴィルの根源的な
反逆への姿勢が、後年のホーソーンとの再会の際に
、ホーソーン自身の心にも強烈な印象を刻印すること
になる必然性を確認してみたいと思う。
- 企画実施名義
人文科学研究所研究会チーム「惑星的視点とアメリカ文学の可能性」