Eventイベント
人文科学研究所
人文科学研究所主催公開研究会開催のお知らせ(「英文学と映画」チーム)
- 日程
- 2017年1月21日(土)14:00~18:00
- 場所
- 法政大学外濠校舎4階(S401)
- 日程
- 2017年1月21日(土)14:00~18:00
- 場所
- 法政大学外濠校舎4階(S401)
- 内容
講 師: 小川 公代 客員研究員 (上智大学准教授)
テーマ: 「コウルリッジの伝記映画『パンデモニアム』―ロマ
ン主義的天才の解釈」
要 旨: ジュリアン・テンプル監督の『パンデモニアム』(P
andaemonieum; 2000)は、ロマン派詩人コウルリッジ
の伝記映画であるが、同時代作家をテーマとする
『ジェイン・オースティン 秘められた恋』、あるいは
『ブライト・スター いちばん美しい恋の詩』とは一線
を画している。この映画には、(ワーズワスの)外的
自然と調和しようとするピクチャレスクの感性よりも、
内面世界への驚異―常習的な阿片チンキ飲用が
誘発するイマジネーション―に夢中になるコウルリッジ
の感性が描かれている。知覚から取り込まれた映像や
音が天才詩人のフィルターを通して「クーブラ・カーン」や
「老水夫の詩」という荒唐無稽な世界に再創造されてい
くプロセスを、ヘリテージ映画とは異なるジャンル(Vigo:
A Passion for Life; The Filth and the Furyなど)を手がけ
てきたテンプル監督がどのように解釈し、映像化したかを考えてみたい。講 師: 加藤 めぐみ 客員研究員 (都留文科大学准教授)
テーマ: 「ヘリテージ映画としての『上海の伯爵夫人』――ナ
イトクラブに展開するノスタルジアとグローバル・ポリティクス」
要 旨: カズオ・イシグロ原作の『日の名残り』(1993)はマ
ーチャント・アイヴォリー・プロダクション製作の
ヘリテージ映画の代表作であるが、同プロダクショ
ンが最後に製作し、イシグロが脚本を手がけた『上
海の伯爵夫人』(The White Countess,
2005)もまた、一捻り加えたヘリテージ映画といえ
るかもしれない。1930年代、日中戦争勃発前夜の上
海のナイトクラブで展開するこの作品は、一見、ヘ
リテージ映画とは対極にあるようだが、ノスタルジ
アの対象が、古きよき「大英帝国」から「帝政ロシ
ア」の時代に置換され、「世界の縮図」としてグロ
ーバル・ポリティックスが展開する仮想空間が「英
国カントリーハウス」から「上海のナイトクラブ」
へと移設された『日の名残り』のアジア編と捉える
ことはできないだろうか。本発表では、ヴェルサイ
ユ体制に激震が走る歴史の一コマをアジアの視点か
ら描いた『上海の伯爵夫人』のヘリテージ性の再定
位・再評価を試みたい。
- 企画実施名義
人文科学研究所研究会チーム「英文学と映画」