Eventイベント
人文科学研究所
人文科学研究所主催公開研究会開催のお知らせ(「言語の理解と産出」チーム)
- 日程
- 2016年5月30日(月)18:15~19:45
- 場所
- 多摩キャンパス 3号館5階3529(3535英語文学文化研究室を通ってお入りください)
- 日程
- 2016年5月30日(月)18:15~19:45
- 場所
- 多摩キャンパス 3号館5階3529(3535英語文学文化研究室を通ってお入りください)
- 講師
小川 睦美氏 (日本大学商学部助教)
- 内容
テーマ: 「日本語における抽象名詞の個別化と有界性の考察 」
要 旨: 本発表では、抽象名詞の個別化と語彙意味に基づく有界性の関連を検証する。名詞を数えることができるかどうか、つまり名詞句が表すものや概念が個別的に認知しやすいかという点において、具体物と抽象物の認知の共通性が指摘されている(眞野2004)。物理的に境界を持ち得る対象物を指す具象名詞(例:石、鉛筆、水)とは異なり、無形のものや概念を表す抽象名詞(例:問題、考え、愛)を個別的に認知する場合、どのように境界を見出すのかが鍵となる。本研究では、その境界概念が語彙意味に基づく有界性と関連していると仮定し、アスペクトにおける動詞分類(状態・継続・瞬間)に基づき選出した名詞(例:存在、運転、結婚)を用いて、日本語母語話者を対象に3種類の実験を行った。(1)抽象名詞と類別詞「個」「つ」との共起容認度、(2)固体メタファー、気体・液体メタファーの使用(例:~を壊す、~が膨らむ)、(3)異質性の解釈の容認度(例:同じ二つの存在を示す、異なる 二つの存在を示す)を測ることで、抽象名詞の個別度合いの指標とした。暫定的な結果では、有界とされる瞬間タイプの名詞が、非有界とされる状態・継続タイプの名詞より個別度合いが高いことが示された。本発表ではこれらの結果を熟考し、抽象名詞の 可算性に語彙意味に基づく順位があるのかを考察する。
- 企画実施名義
人文科学研究所研究会チーム「言語の理解と産出」