Eventイベント

人文科学研究所

人文科学研究所公開研究会開催のお知らせ(「視覚と認知の発達」チーム)

日程
2016年3月18日(金)16:00~18:00
場所
中央大学駿河台記念館 570号室
日程
2016年3月18日(金)16:00~18:00
場所
中央大学駿河台記念館 570号室
内容

テーマ: 「視知覚と視覚認知における身体の役割」

 

講 師: 田谷 修一郎(たや しゅういちろう) 氏
(大正大学人間学部人間科学科・専任講師)

 

要 旨:私たちの見る世界が私たちの身体に左右されていることを示す実験結果について報告する。本講演では以下の三つの話題を提供する。一つ目の話題では右眼と左眼の間の距離や腕の長さなど,身体の形態計測学的特徴が両眼視に及ぼす影響について報告する。二つ目の話題では身体の可動範囲が知覚恒常性を左右していることを示唆する錯視について報告する。三つ目の話題では私たちの口の動きが音象徴(ex ブーバ・キキ効果)の背後にあることを示す健聴者と聾唖者を対象にした調査結果について報告する。そして最後に,独立して見える以上の話題に出現頻度の高い情報を「好む」知覚系の性質が共通して見て取れることを示す。知覚における身体の役割を考えることは,所与の感覚情報について統計量を抽出するという知覚系の一般的性質を明らかにする上で有益であるということを提案し,参加者と議論したい。
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テーマ:「McGurk効果を利用した自閉症スペクトラムの発話知覚の特異性についての検討」

 

講 師: 氏家 悠太(うじいえ ゆうた) 氏
(千葉大学融合科学研究科、博士後期課程/日本学術振興会特別研究員)

 

要 旨:発話知覚では,視覚情報が音声の聞き取りの助けになることが知られており,この働きはMcGurk効果(McGurk & MacDonald, 1976)という錯覚に反映されている.自閉症スペクトラム障害(ASD)では,視覚情報の利用が少なく,McGurk効果の生起が減少することが報告されているが,このような結果が生じる要因については,未だ明らかとなっていない.この問題について,講演者らはこれまで,ASD診断群・一般健常者の間で自閉症傾向の連続性を仮定した自閉症スペクトラム仮説(Baron-Cohen et al., 2001)に基づき,健常大学生を対象としたアナログ研究を行ってきた。本講演では,質問紙で測定した自閉症傾向とMcGurk効果の関連を示した相関研究(Ujiie, Asai, Tanaka, & Wakabayashi, 2015, Letters on Evolutionary Behavioral Science),顔(発話映像)の全体処理がMcGurk効果に影響することを示した研究(Ujiie, Asai, & Wakabayashi, 2015, Frontiers in Psychology)を紹介し,それらの結果から,自閉症スペクトラムの発話知覚の特異性について考察する.

 

主 催:人文科学研究所研究会チーム「視覚と認知の発達」