Eventイベント

人文科学研究所

人文科学研究所公開研究会開催のお知らせ

日程
2015年3月7日(土)13:30~
場所
多摩キャンパス 2号館4F 研究所会議室3
日程
2015年3月7日(土)13:30~
場所
多摩キャンパス 2号館4F 研究所会議室3
講師

金子 雄司 客員研究員(中央大学名誉教授)
 

内容
テーマ:「編纂者ニコラス・ロウ (1709)――近代シェイクスピア編纂本への遺産」
要 旨:ニコラス・ロウ (Nicholas Rowe 1674-1718) が編纂者となって1709年にシェイクスピア全集を出版した。近代的編纂本の嚆矢である。8折り版6巻本のこの全集は好評を得て、1714年には更に小さな12折り版(いわゆる、四六版)8巻本として第2版が出版された。版元トンスンの経営手腕もあって、18世紀英国ではロウ版以降、20種以上のシェイクスピア全集本が出版されることになる。
1623年にシェイクスピア作品集成が2折り版(ファースト・フォリオ)という形で出版されてから約90年経った英国において、シェイクスピアはどのように受容されていたのかを、ロウ全集の特徴を検証しながら、書物 (the book) としてのシェイクスピア出現の事情を論じたい。この関連で、1709年に制定された著作権法は翌1710年4月から施行されたことは注目に値する。ミルトン『失楽園』およびシェイクスピア作品の出版権を版元トンスンが18世紀の大半に渡り独占していた事実は、ある意味で、書物としてのシェイクスピア受容を決定づけたからである。ゆえに、ロウ全集本は近・現代の偶像崇拝の対象としてのシェイクスピア誕生に寄与したと考えられる。

主 催:人文科学研究所研究会チーム「十七世紀の英詩とその伝統」