研究推進支援本部

経済学部教授 深町英夫が、第一回林同春・孫文記念館学術賞を受賞

2017年11月13日

 2017年11月12日(日)、孫文記念館(神戸市)にて、授賞式・受賞者講演会が開催されました。
 深町英夫教授の専攻は近代中国史です。2016年7月に発行された著書「孫文ー近代化の岐路」(岩波新書)が評価され、このたびの受賞となりました。

 

【深町英夫教授の推薦理由(概要)】
 深町先生の孫文研究は、市民に向けた、研究成果の社会還元を意図するものです。
 百年来の中国史を見通す視点から改めて孫文像を組み立てた成果と言えます。
 中国政治をどう捉えるかというときにはいろいろと困難を伴いますが、そこには政治的に分散する傾向と、政治的に集中する傾向が、ある種のサイクルを為しているように思われます。
 深町先生の研究においては、孫文自身も、民主と独裁という二つの枠組みを自ら体験してきたのではないか、ということが示されています。
 孫文研究の理解を、民主主義者なのか独裁志向なのかという二者択一ではなく、両方を視野におさめた統一的な孫文理解を、今の時点で提起していると思われます。
 深町先生の到達した孫文理解は、日本における新たな孫文理解の水準をも表しているのではないでしょうか。孫文という人物の、ある意味複雑で重層的なありかたを、もう一度、統一的に理解し直すという、新たな孫文理解を提供しています。
 ちなみに深町先生は1966年生まれです。ちょうど100年前の1866年に孫文が誕生しました。100年後の若い研究者が孫文を改めて解釈しなおしたことに、孫文もきっと喜んでいるはずです。